どっか遠くへ逃げちゃいたいな。
クラスカースト上位の私が絶対に言えないこと。
「___ちゃんならできるよね!」
「___ちゃんが一緒でよかった!一安心!」
「___さんにできないわけないじゃん!」
「___さんなら、絶対できるでしょ!」
最初は頼られてるみたいで嬉しかったけど、
できることが当たり前になってきて苦しかったな。
これなら中学の時みたいに、カースト下位でいいから
のんびり気ままに誰のことも気にせず
生きていたかった。
“全部全部捨てて遠くへ一人で逃げたい”
そんな妄想、叶うわけもなくただ虚しさが残った。
今日もできることが当たり前の世界で、
誰にも言えない、どこにも書けないことを隠して
必死に耐えて生きていきます。
『どこにも書けないこと』
何もないまま進んでいく。
僕には何もないままみんな同じ方向に歩いていく。
「はい」と言ってせんせいについていく。
同じ方向を向いて、同じ方向に歩かないと
軽蔑した目で見られる。見下される。
周りに軽蔑されないように、嫌われないように
同じ方向にただただ真っ直ぐ歩いていく。
時間が止まってくれないみたいに、
一度歩き出したらみんな止まってくれない。
待っていてくれない。先に進んでしまう。
一人ぼっちで取り残された僕は
軽蔑され、嫌われる。下に落とされる。
「待っていてくれなかったくせに、」
なんて言えば
「早く歩けば良かったじゃん」
なんて“正論”をぶつけられてしまうから。
それなら最初から同じスタート地点に立たせないでよ。
『時計の針』
「世界は平和だ」なんて言いきれない。
今だって戦争はあるし、大地震で被災した人もいる。
犯罪を犯す人もいるし、未だ逮捕されない人もいる。
僕らは平和を謳っているだけで
平和を求め行動しているのはほんの一部だ。
大して努力もしないやつが行動するやつを踏み潰す。
正義を押し付け人を傷つけていることを無視する。
きっと1000年先も僕らはこんなだと思う。
そもそも。人によって違う平和を求めようとしてる。
それ自体がきっと間違ってる。
平和の定義も主張しないくせに平和になろうとする。
曖昧なまま平和を求めたって残るのは
謎の正義感を振りかざす正義厨だけだ。
人によって正義も悪も違うのに、
全く同じ平和を求めるなんて不可能に近い。
大人達が馬鹿な言い争いをする姿を
子供がみて、そこから何を学ぶのだろう。
結局、大人になっても子供じみた考えは治らない。
子供のまま大人になっていく。
1000年後もきっとこんなだ。
正義厨が人を傷つけ、子供じみた大人が社会をつくる。
こんな世界で平和になろうとするなんて無駄なんだよ。
『1000年先も』
幼稚園生の頃、同い年なのに君の方が身長高くて、
いつも背中押してくれてたよね。
どんどん大きく揺れて高さを増していって
最初は怖かったけどだんだん楽しくなってきて
ブランコが大好きになったよ。
小学生の頃、放課後ランドセルを投げ飛ばして
君と二人でブランコを漕いだよね。
僕の背丈も増してたまに二人で立ち漕ぎなんかして。
6年生になるまでほぼ毎日一緒にブランコを漕いだよね。
中学生の頃、PTAの主張でブランコがどんどん無くなってったよね。いつも遊んでた公園からも、学校のブランコもほぼ全部が撤回されていったのを覚えてるよ。
1年生の頃はショックだったけど、時間が経つにつれ
僕達は別々の道で幸せになろうとして
放課後一緒にいることもなくなったよね。
ほんとはもっと遊びたかったな。
高校生の今、あの公園は取り壊されて今は住宅地になったよ。そのことを同級生と話したけど、あの公園のことは知らないって言っててびっくりしちゃった。同級生であの公園知ってる人は僕らくらいらしいよ。なんだか秘密の場所みたいでうきうきするな。
あの公園で遊んだ記憶は今は僕しか持ってないんだな。
なんだか少し寂しいや。
君ともっと話していればよかった。
中学を卒業した春休み。君は死んだ。
君のお母さんに聞いたけど自殺だったんだね。
ごめんね、気づけなくて。
今も時々君を思い出して、
あの公園があった場所に行くんだ。
住宅地だから長居はできないけれど、君との思い出はちゃんと僕が持ってるからね。絶対に忘れない。
もう今は話すことすらできないけれど、
いずれ僕がそっちに逝ったら思い出を語りたいな。
『ブランコ』
長い長い人生という旅を今終える。
今思えば、僕の人生には何もなかったな。
趣味も特技も青春も。全部空っぽ。
それなのに心はどす黒く壊れていた。
何もなかった、何もなかったから今終わらせる。
存在意義もここにいる理由もない。
今終わらせなかったらきっと後悔する。
だから、僕は今人生という旅を終わらせる。
僕の人生の果てに残ったのは
空っぽなまま満たされない心だったよ。
『旅路の果てに』