和不

Open App

幼稚園生の頃、同い年なのに君の方が身長高くて、
いつも背中押してくれてたよね。
どんどん大きく揺れて高さを増していって
最初は怖かったけどだんだん楽しくなってきて
ブランコが大好きになったよ。

小学生の頃、放課後ランドセルを投げ飛ばして
君と二人でブランコを漕いだよね。
僕の背丈も増してたまに二人で立ち漕ぎなんかして。
6年生になるまでほぼ毎日一緒にブランコを漕いだよね。

中学生の頃、PTAの主張でブランコがどんどん無くなってったよね。いつも遊んでた公園からも、学校のブランコもほぼ全部が撤回されていったのを覚えてるよ。
1年生の頃はショックだったけど、時間が経つにつれ
僕達は別々の道で幸せになろうとして
放課後一緒にいることもなくなったよね。
ほんとはもっと遊びたかったな。

高校生の今、あの公園は取り壊されて今は住宅地になったよ。そのことを同級生と話したけど、あの公園のことは知らないって言っててびっくりしちゃった。同級生であの公園知ってる人は僕らくらいらしいよ。なんだか秘密の場所みたいでうきうきするな。
あの公園で遊んだ記憶は今は僕しか持ってないんだな。
なんだか少し寂しいや。
君ともっと話していればよかった。

中学を卒業した春休み。君は死んだ。
君のお母さんに聞いたけど自殺だったんだね。
ごめんね、気づけなくて。
今も時々君を思い出して、
あの公園があった場所に行くんだ。
住宅地だから長居はできないけれど、君との思い出はちゃんと僕が持ってるからね。絶対に忘れない。
もう今は話すことすらできないけれど、
いずれ僕がそっちに逝ったら思い出を語りたいな。

『ブランコ』

2/1/2024, 11:22:32 AM