和不

Open App

何もないまま進んでいく。
僕には何もないままみんな同じ方向に歩いていく。
「はい」と言ってせんせいについていく。

同じ方向を向いて、同じ方向に歩かないと
軽蔑した目で見られる。見下される。
周りに軽蔑されないように、嫌われないように
同じ方向にただただ真っ直ぐ歩いていく。

時間が止まってくれないみたいに、
一度歩き出したらみんな止まってくれない。
待っていてくれない。先に進んでしまう。
一人ぼっちで取り残された僕は
軽蔑され、嫌われる。下に落とされる。

「待っていてくれなかったくせに、」
なんて言えば
「早く歩けば良かったじゃん」
なんて“正論”をぶつけられてしまうから。

それなら最初から同じスタート地点に立たせないでよ。

『時計の針』

2/6/2024, 5:15:41 PM