伊宮

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1/22/2024, 2:03:56 PM

あの頃に戻れたらな。君が生きていた頃に。

君からずっと辛い苦しいって言われてたのに、
僕は話を聞いてあげることしかできなくて。
君がほしい言葉かけてあげられなくて。
ほんと最低だ。「君は頑張ったよ」って言えてれば。

「家族も先生も同級生も信じれない。信じられるのはあなただけだよ。私の一番はあなただけ。」
その言葉が僕には重すぎて受け止めきれなかった。
君の一番だったのになんにもできなかった。

君は去年の春、天使になった。
崖から海に飛び降りたらしい。
君の部屋には遺書だけ。

「大切なあなたならきっと分かってくれるよね。
さきに逝って待っとく。ごめんね。」
ただそれだけ。分かってあげたかったな。

『タイムマシーン』

1/20/2024, 5:04:25 PM

「助けて、っ!」

放った言葉は泡となって空へ向かう。

溺れないように藻掻いても逆効果。
誰も気づけずにただ沈んでいく。


肺を満たしたきみの言葉で、ただ沈んでいく。
きっときみはまだ気づかない。

真っ暗な海の底。
沈んでった先には死があっただけ。

『海の底』

1/19/2024, 4:59:36 PM

朝起きる。さっきまでいた君がいない。

朝ごはんはトースト。君は牛乳派。
おかしいな、どこにもいない。

身支度をする。君は髪をとく。
ずっと一緒にいたじゃん、どこいったんだよ。

玄関の戸をあける。やけに光が眩しい。
光に吸い込まれて溶けてしまいそう。


目を覚ます。見知らぬ天井。仕切られたカーテン。
部屋に響く機械音。独特な匂い。

「目が覚めたのね、!! ずっと眠ってたのよ?」
「やっと、目を覚ましたのか、!!」
久々に聞く両親の声でやっとわかった。

長い長い夢をみていたのだ。
最初から君はいなかった。
僕の長い長い夢の1部に過ぎなかったのだ。

ある日突然消えてしまった君。
せめて一言ちょうだいよ。
もう二度と会えないんならさ、

『君に会いたい』

1/18/2024, 12:16:21 PM

押し入れを掃除していたら、
ふと懐かしい日記帳をみつけた。

「しにたい、生きるの疲れたよ。」
中学の頃書いた日記にはそんな事が書かれていた。
この時は少々うつっぽくて、ずっと死にたかったな。

「お疲れ様。生きていてくれてありがとう。」

しにたいと綴られたページにそっと書き残した。

今もまだ生きていたいほどの気力はないけど、
まだもう少しだけ生きてみる。
死ななかった中学の僕を裏切らないように。

『閉ざされた日記。』

1/17/2024, 2:34:35 PM

小学生の頃は大好きだった教室。
今は苦手どころか大嫌いな場所。

昼休みの鐘がなる。
わっと重い空気が通り過ぎる。
ろうかに響く喧騒を横目に
唯一の居場所へ向かう。

ゆでたまごふたつと水筒。
グラウンドの喧騒。
教室の重たい空気。
上手く生きられない僕。

木枯らしが吹き飛ばしてくれたらいいのに。

また馬鹿なことを考える。

『木枯らし』

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