私は、日陰。
陰日向なく
ただただ、存在するものです。
日影は光りでもあるけれど
私は、日陰。
それだけです。
【お題:日陰】
柔らかな湯でほぐすように
気持ちを濯ぐ。
日々の疲れや
悲しみや
暮らしの中で、浴びたような気がする
相反する嫌な感情も。
そこに、囚われぬように。
捕まらぬように。
瞳を閉じて、空になる。
自分に、問う。
大地に、問う。
過去の過ちに、問う。
そうすると、熱を帯びただけの
衝動的な感情が
ゆっくりと、また元の場所に
戻ってゆく感覚を、確かに感じる。
けれど、全てが解決する
わけではない。
どれだけ、ひとりで濯いでも
閉じた瞳を開いた時に
遠くに住う、貴方がいたらと
思ってしまう。
【お題:瞳をとじて】
必ずしも、私の羅針盤が
行くべき道を指し示すとは
限らない。
羅針盤は、常に同じ方角を指す
それだけなのだから。
どこに行き、誰と出会い
食べたいものを食べ
見たい景色を見て、感じること。
羅針盤は、教えてはくれない。
ただ、必要なのは
踏み込む勇気と、羅針盤ではなく
自分を信じれるかどうか。
羅針盤は、危険を教えてはくれない。
それは、自分の経験値で
育むものだから。
【お題:羅針盤】
クラゲのように燻る煙を眺めていたら
タバコの灰が、ポトリとシンクに落ちて。
押し潰すように、火を消すと
また、無気力に次の一本に火をつける。
就職してから
動きもしなかったグループLINEに
通知が来たのは半月前だった。
急な訃報の知らせだった。
学生時代に、毎日のように
連れあった。
時には、安い酒でお互いに
朝まで夢を語った。
就職してからは、がむしゃらに
食らいついてお互いに働いた
そんな、あいつが何故…先に逝った。
何故…自ら…命を…
ズルズルと足の力が抜けていく。
最近じゃ、毎晩こんな感じだ
受け入れきれない感情が
夜になると、襲ってくる。
俺は、何ひとつ受け入れていない
葬儀の日も、火葬の時も
ただ、俺にはこのまま進むしか術はない
今はこのまま生きるしかない。
いつか、この感情の落としどころを
見つけるまで
まだ、泣くことすら出来ないけれど
【お題:明日に向かって歩く、でも】
てのひらは、空なんだよな。
宇宙は、広いんだよな。
ただ、手と手が触れるとき
誰かの背中をさする時
大好きな本の表紙を撫でるとき
ぎゅっと、てのひらを
握りしめた時や、涙を拭うとき
その時だけは…
心が動くようなそんな時だけは
てのひらに宇宙が
あるかもしれない。
星空を眺めることはあっても
宇宙にまで、意識を向けることは
なかなか無いから。
てのひらを眺めて、首をかしげる。
相変わらず、てのひらは空っぽだ。
【お題:てのひらの宇宙】