NoName14

Open App
11/22/2024, 2:46:49 PM


健やかなる時も病める時も。

沢山の幸せを、見送ってきた。
時には、仕事を忘れそうになる程に
涙腺が緩むような
場面に幾つも、立ち合った。

年齢やお立場は関係なく
来られるお客様は皆、幸せを
纏われている。

そんな私は、早々に結婚生活に
幕を下ろしてしまったけれど
子どもたちは、無事に巣立ちを迎え
それなりに社会人として
頑張っている。

そんな中、今日のブライダルの相談は
私の娘とその恋人なのだ。
私の仕事柄なのか『花嫁さん』に
憧れていた、小さな娘の姿が思い出される。

綺麗だねぇと、ドレスを眺めていた
大事な娘が…いま目の前に恋人と頬を
少し赤らめて座って居る。

溢れそうになる、涙を押し殺して
私は、初々しい2人に声を掛けるのだ。

『この度は、おめでとうございます』と。

そうして、最高の式になるよう
全力を尽くそう。
健やかなる時も、病める時も…
2人が末長くお互いを愛せるように。


【お題:夫婦】

11/21/2024, 10:52:26 AM

迷い道、寄り道、後戻り。

出口のないトンネル
振り向けない恐怖

開かない扉を叩き続けて
首元にかかった、鍵にすら気づかない。

どうすればいいのと、思うほどに
視野はボヤけて世界は狭まる。

迫り来る壁に挟まれたくないからと
足元から上がってくる水で
溺れたくないからと

思えば思うほどに
思考の縛りは強まるばかり。

ただ、目を閉じて
深く呼吸を整えて
もう一度、世界の広さを
見る事が出来れば

苦しみばかりでは、無いのに。


【お題:どうすればいいの?】

11/20/2024, 12:10:16 PM


父親が、私の事を宝物と死ぬまで
言っていた。
ぶたれた記憶は1度しかない。
理由は、忘れたけど…
頬はいつまでも熱く耳は高音を響かせた。

私は、抵抗しない子どもだった。
それでも、年頃になり
親が離婚後は無気力の塊で
時々、襲ってくる無我のトラウマが
私を狂わせた。

手に負えないと、思った母が
父親を呼んだ。
父が私の部屋に顔を覗かせるとすぐさま
私は、手元の目覚まし時計を
投げつけた。
時計は、壁に当たり砕けた。

ショックな顔をした父親に
『おまえのせいで、こうなってんだよ!』
と、言葉を浴びせた。

それが、私の本音か八当たりかは
わからない。
父親は、何も言うことなく
扉を閉め帰った。

それでも、母との衝突が絶えない日は
父親の家に転がり込む事もあった。
こたつで、2人寝た日の朝
下着に違和感を感じた。
嗅いだことの無い奇妙なモノが
ドロっと付着していた。

父親は、既に仕事に行っていた。
私はソレの正体をまだ知らない年齢だった。

だから、忘れた。

そして父親は、あまりにも突然に
あまりにも早くこの世を去った。
死因は不明。病死。
孤独死だったので、解剖の結果は
書き殴られたような、その一文のみだった。


宝物だと言われ続けて
宝物だったのかと思うこともある。
だけど、私の事を宝物だと
他に言ってくれる人は、もう居ない
かもしれない。


【お題:宝物】

10/26/2024, 2:03:59 AM



友達で、良いの?
友達が、良いの?

あなたの中の、私は
どこに立っているのかな。

言葉ひとつで
何者でもなくなってしまうのが
こわいよ。


【お題:友達】

10/6/2024, 2:07:16 PM


過ぎた日を想う事は
良いことばかりではない。

私の中のブラックボックスは
…時に、カタカタと
私自身を、脅かす。

傷だらけ、ぼろぼろ。
二重の皮を被ったような違和感。

この心は、ささやかな幸せを
感じ取ることも出来るし
人の痛みにも、ちゃんと反応
するけれど。

そうなるまでには、確かに
痛かったよ。
もう、忘れたいほどに。


【お題:過ぎた日を想う】

Next