部屋の明かりを、全て消し
秋めいてきた夜風が、わずかに部屋に
流れ込むのを肌身で感じる。
今年は満月で、見る事の出来た
中秋の名月…
静寂に包まれた部屋で
ひとり、眺める。
ただこの一夜の月が美しければ
何も、要らない。
【お題:静寂に包まれた部屋】
誕生日おめでとう!!
仕事の合間や休みを費やして
用意した、誕生日会も今年で2回目だ。
彼は、今年もめちゃくちゃ
喜んでくれた。
喜んで貰うためだけに、今日という日を
私も楽しみにしていたから
心の底から、喜ぶその笑顔に安渡した。
彼…だけど彼氏ではない。
ただ、気が合ってなんだかんだ
傍にいる人だ。
「今だけ、一個違いだねー
また、直ぐに私の方が年取るけどさぁ。」
会計を、済ませ
そろそろお開きの時間。
店を出て、そう言った私に彼は
「姉さんだねぇ」と、呟いた。
「じゃ、君は弟なわけ?」そういつもの
ノリで返しながらも
私は、心が息苦しくなるのを感じてた。
「うん、そうだね。」
うまく笑えてるかも分からないけど
「弟なら、私が守ってやらなきゃな!」
そう言って、笑顔でまたねと。
彼を見送った。
姉さん…その言葉が刺さって抜けなかった。
自分は恋愛対象じゃないと
不意打ちに、通告された気分になった。
そんな、些細なことで一気に落ち込むほど
彼の存在は、大きかったみたいだ。
彼の誕生日…涙がひと筋…頬を伝った。
【お題:別れ際に】
ももくりさんねんかきはちねん。
テレビをつければ
栗とさつま芋で溢れている。
スーパーに行けば
ハロウィンを意識させるお菓子と
期間限定の品が、どーんと
目に付く場所に陳列されている。
何気ない、日常からじわじわと
秋だぞと背中を押されている気がする。
私は秋という、季節に思いを寄せている。
少し素敵な便箋を、探してみたり
日々移り変わる風景に喜んでみたり
少し寒いなと感じれば
お気に入りの羽織りを引っ張り出して
外出を楽しみにしている。
そうして、はじまりの足音とともに
抱くこの憂いた感情も、まさに秋恋なのだ。
【お題:秋恋】
大事にしたい。
小さなサイン、何気ない変化。
見た目よりも、心の内側は
繊細なんだ。
分かるよ、私もそうだったから。
だけど、その時の私には
それに気付いてくれる大人が
居なかったんだ。
でも、だからこそ
私はいつもどんな時も
心だけは、離さないって
子どもたちに誓えるんだ。
宝物だから。
【お題:大事にしたい】
お前が泣くと
私も泣くよ
お前が笑うときは
私も笑おう
お前が美しく染まる夕刻には
私もお前に、染められるだろう。
空よ、天地に分かれ
見上げるばかりの私の
気持ちは、届いているだろうか。
【お題:空が泣く】