NoName14

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6/24/2023, 12:15:36 AM


子供の頃は、知らなかった
蛍の話し。

毎年、この時期になると
蛍を見に私の住む地域は夜の
車の往来が、物凄く多くなる。

蛍の数は、幼少期の記憶から辿っても
少なくなったとしか言いようがない。

それでも、この時期になると
私は蛍を見にそっと出かける。

成虫になるまで、およそ1年
繁殖に不要な口は退化し
僅かな水分とそれまでに蓄えた養分で
2週間光り舞う蛍たち。

そういう知識は子どもの頃には
なかったけれど。
ただ、あの頃のまま
蛍の光は、やはり美しい。

また、来年もと…いつまでも
見ていたい光景を惜しみながら
家に帰るこの気持ちも、あの頃のままだ。


【お題:子供の頃は】

6/22/2023, 11:09:46 PM


忙しなく動き回る日常で
ふと、自分の腕の細さに気付いた。

内側にこもった考えに
支配されないように
必死で、掃除に明け暮れている。

仕事から離れて半年を
過ぎようとしている、いま…

玄関先に辿り着くなり
倒れ込むように居眠りをして
少しの薬と、忙しさ、やり甲斐で
心身をすり潰してきたのが
半年前までの、日常だった。

あの日々に、戻れるか
戻りたいかと、自問自答してみるが
心が、ギュッと苦しくなり

また、シンクを磨き続ける。
指先がひび割れても。
爪がはげても。

私は、何を求めているの?
私は、何?
答えは、何処にあるのか。

【お題:日常】

6/21/2023, 1:21:36 PM


いろんな色があるけれど
明るい色が好き。

目に見える色もあるけれど
場所や人や音にだって
想像すれば、色がつく。

よく笑う人の色。
賑やかな公園の色。
溜め息の色。

大事なひとは、きっと特別な色。

触れるともっと
私の好きな色になる。


【お題:好きな色】

6/21/2023, 5:16:05 AM


あいつには、随分助けられたわ…と
電話越しに聞いた
彼の言葉。

お前が、居たからと…
私もその言葉がほしかった。


【お題:あなたがいたから】

6/19/2023, 12:05:33 PM


誰もいない、雨の日の帰り道
傘をクルクルと回しながら
ひとり、帰る。

新しい傘の模様は
お気に入りで、普段見慣れた
紫陽花もより綺麗に感じる。

ふと、視線を前に戻すと
遠くからでも分かるあの人の
後ろ姿が見えた。

今朝、私の傘を「良いね」って
褒めてくれた彼だ。

ひとつの傘に、2人…
それは、私のお気に入りの傘よりも
雨の日によく似合う光景だった。

ふぅ…っと、息を吐いて
立ち止まる。
紫陽花に語りかけるように
自分に言い聞かせるように

「お似合いだね」と呟いた。

じんわり胸の奥がいたいけど
泣いたって、涙ごとこの雨と一緒に
流れてしまいそうだから。

こんどは、彼の真似をして
「良いね」って、言ってみたんだ。


【お題:相合傘】

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