また明日
子供の頃は下校の際、友達に告げた。
「また明日」
友達も嬉しそうに答えた。
「また明日」
再会を期待する挨拶である。
ただ、悲しいかな、大人はそうではない。
疲れ切って、言い放つ。
「また明日」
また明日も仕事をしなくてはいけないのかと
やりきれない気持ちになる。
同じ言葉でも、雲泥の差である。
でも、大人はまた明日も頑張るしかない。
よく食べて、よく眠って、明日に備える。
大人はつらいよ。
透明
色がつく前か?
色を失った後か?
透明とは、そういう色だ。
私は残念ながら、色を失った後の方だが、
若い人たちには、恋愛とか、仕事とかで、
色んな自分なりの色をつけて行って欲しい。
人生って、捨てたもんじゃないから。
好きな色で彩って下さい。
理想のあなた
言われてみたい気がするが、
プレシャーが強いのは、間違いない。
理想と現実は常に違い、それをどう埋めるかが、
大事なことである。
理想は大事だが、固執してはいけない。
また、理想を押し付けてもいけない。
理想に達してなくても、それを許せる相手が、
理想の相手だと想う。
一方的に理想を追求しても、無意味である。
我を顧みて、よく考えるべきである。
色々足りない部分があっても、あなたが理想である。
突然の別れ
父親との別れだ。
父親は大学四年生の時だった。
亡くなった晩、兄から明日帰るよう連絡があった。
東京で大学の試験が終わった日に、亡くなった。
私は半信半疑で、慌てて翌日帰省した。
顔に白い布が掛けられている父親に縋りついた。
突然の別れが、現実になった瞬間だ。
ひとしきり泣いた後、懐いている甥が電車を見たいと
言って抱きついてきた。
ここから離れたい私は、抱っこして線路に向かった。
今から思えば、この時間が冷静さを取り戻すために
必要な時間だった。甥に感謝している。
父親が早くに亡くなったお蔭で、私は独立できた。
突然の別れとは、人を変える力がある。
恋物語
私にとっては、13年前に終わった。
家内と結婚した瞬間に終わった。
結婚まで、結構苦労した。
毎週プロポーズして、毎週断られる。
でも毎週デートする。
家内の気持ちがわからなかった。
今にして思えば、試されていたのかもしれない。
でも、私は前しか見ていなかった。
余計なことを考えつつも、前に押し出した。
そして、何とか結婚に繋げた。
あの修行は何だったのかと、たまに振り返る。
でも、結婚したから、あまり考えないようにする。
これが、私の直近の恋物語である。