お題 鋭い眼差し
はぁ......はぁ......
ゲホゲホッ.........はぁ...はぁ...
もう.........無理.........はぁ...はぁ...
自分の手は血で染まっていて自分の剣もまた血塗れだ。
だが目の前の男は自分よりも血塗れである。
何十、何百、敵を倒してきただろうか。
夜中中歩き回って敵を倒し、もう今にも意識が飛びそうだ。
なぁ、もう、もう今日はいいんじゃないか...
そう問うも男は振り返りもしなければ反応すら示さない。
そして迷いなくザクザクと薄暗い道とは言えないような山道を突き進んでいく。
はぁ......
止まる気配のない男に必死に着いていく。
もう、これ以上戦いたくないのに。今日はもう充分やったでは無いか。
明日でも遅くは無いだろう。
だがここではぐれては逆に危険だ。
待てよ...!
立っているだけで意識が飛びそうだと言っているだろう...走らせる...なっ...!?
急に立ち止まる男に体勢を崩す。
どうしたというのかその男がじっと見つめる先に目線をやれば今までとは比べ物にならないくらい大きな化け物が何やら食事中らしい。
よくよく目を凝らしてみれば食しているのは人、ではないか。
俺は今までの疲労、目眩など全て忘れるくらい一瞬で背筋が凍った。
だが隣の男は違った。
見なくてもわかる。殺意。殺意。殺意。
あつい。きっとアニメなら紫や黒や赤のオーラが見えるような、殺意を感じる。
男はこちらを見ず一言、いくぞ。
と。
その鋭い眼差しは自分に向けられたものでなくても
殺される、と思わされるようなものだった。
だがその瞳に魅了されたのもまた、事実だ。
俺は湧き上がる胸の高鳴りを抑えきれずに応えた。
おう!
お題 高く 高く
書けなかったので思いついた時に書けるように...
お題 子供のように
プレゼントやお土産、貰ったら嬉しいし
その物がなんであったとしても
それを自分のために考えて選んでくれたと思うと
やっぱり嬉しいものだ。
そしてあげた側もまた喜んでくれたら喜んでくれただけ嬉しいはずだ。
お誕生日おめでとう。
はい、これ。
え!いいの?ありがとう!
嬉しい。確かに嬉しい。
でも心の底から嬉しいと思っていても
子供のように無邪気に喜ぶことも
誰にでも愛されるような子みたいに可愛く守ってあげたいと思われるような喜び方も出来ない。
ましてや嬉し泣きすることなんて絶対にできない。
嬉しいんだ。本当に。愛されてるとは思う。
でもなぜこんなにも感情を表に出せなくなってしまったのだろう。
大人になるとはそういうことなのだろうか。
自分の気持ちに対して客観的な自分が
1つガラスの扉を隔てているような感覚に陥る。
そのガラスは段々と曇ってしまって
やりたいこと、好きなこと、好きなもの
何も見えなくなってしまった。
これが大人になったってことなのだろうか。
そうだとしたら大人とはつまらない生き物なのかもしれない。
でも目を凝らして見てみてもわかない。
子供の頃の自分もそんなに感情を表に出していただろうか。
皆がぱっと想像する子供のように過ごしてきただろうか。
子供らしくってなんだったんだっけ。
大人らしくってどういうことなんだろう。
私は精一杯の笑顔を作り笑った。
ありがとう。とっても嬉しい。
ねぇねぇ
放課後、出かけない?
クシャッとした笑顔でそっと耳打ちしてくる親友は
私よりも小柄でみんなから愛されているそんな子だ。
私はこの子のことが大好きだし
きっとこの子もそれなりに私を好いてくれている。
いいけど、お金は...?
へへ、持ってきちゃった
コソコソ話す私たちを見て先生は早く帰りなさいね〜
と言いながら教室を出ていく。
もう教室には私たち二人だけしか居なくなった。
もう既に夕日が刺してきていて
日が落ちるのも早くなってきたと思わされる。
じゃあ、行こうか。
そう答えれば君はうん!と嬉しそうに頷く。
放課後、たまにこっそりお金を持ってきて
一緒に近くのショッピングモールで
何をする訳でもなく2人でふらふらする。
本当は学校にお金を持ってくるのも
放課後家に帰らず制服で出歩くのも校則で禁止されている。
早く高校生になりたいな。そうしたら可愛い制服で
いつでもどこへでも行けるのに。
そんなことをぼやっと呟けば
君はキョトンとした顔でじっと私のことを見たあと
でも先生にバレないようにこっそり遊んでるのも
2人だけの秘密みたいで楽しいよ?
と悪戯っぽく笑う。
いつもそうやって私は乗せられている。
ふふ、それもそうだね。
君とならなんだって楽しいよ。
お題 カーテン
ふわっと風が吹きカーテンに攫われていく君。
私の席は後ろから3番目、窓側から2番目。
私の目を奪って離してくれない彼は左斜め前。
授業中、眠そうにしている君も
隣の友達とくすくす笑いあってる君も
授業に集中してる横顔も
ちょっと頑張れなくて寝ちゃってる君も
窓の外をじっと見つめる君も。
どんな君もかっこよくてついつい目がいってしまう。
違うか。どんな君も見逃したくないのだ。
もちろん授業はそっちのけ。
隣になって話したい気もするけれど
そんな勇気は持ち合わせていないし
隣になったらじろじろ見られないではないか。
時々プリントを回す時に後ろを向く君。
その時一瞬だけ君の視界に入っているはずだけれども
きっと君の心の中に私はいない。
それでもいいんだ。私は今のままで幸せだ。
このままずっと居られたらいいのにな。
そんなことも叶わない。
テストが終われば席替え。
あーあ今日で最後だ。
くじ引きを引き終えて友達とはしゃぐ君を横目に
自分の席に戻る。
私は次は窓際の席らしい。窓際の前から2番目。
君は右の後ろの方。廊下側の席らしい。
離れてしまった。離れてしまっても
最悪君より後ろなら眺めることも出来たのに。
ついてないな。
今日から憂鬱な日々の始まりだ。
ふわっと風が吹きカーテンに包まれる私。
外を見てみると赤のジャージがちらほら見える。
先輩達が体育をしているらしい。
君は窓際で何を見てたのかな。
何も見えないよ。