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お題 鋭い眼差し



はぁ......はぁ......
ゲホゲホッ.........はぁ...はぁ...

もう.........無理.........はぁ...はぁ...

自分の手は血で染まっていて自分の剣もまた血塗れだ。
だが目の前の男は自分よりも血塗れである。

何十、何百、敵を倒してきただろうか。
夜中中歩き回って敵を倒し、もう今にも意識が飛びそうだ。

なぁ、もう、もう今日はいいんじゃないか...

そう問うも男は振り返りもしなければ反応すら示さない。
そして迷いなくザクザクと薄暗い道とは言えないような山道を突き進んでいく。

はぁ......

止まる気配のない男に必死に着いていく。
もう、これ以上戦いたくないのに。今日はもう充分やったでは無いか。
明日でも遅くは無いだろう。
だがここではぐれては逆に危険だ。

待てよ...!

立っているだけで意識が飛びそうだと言っているだろう...走らせる...なっ...!?

急に立ち止まる男に体勢を崩す。

どうしたというのかその男がじっと見つめる先に目線をやれば今までとは比べ物にならないくらい大きな化け物が何やら食事中らしい。
よくよく目を凝らしてみれば食しているのは人、ではないか。
俺は今までの疲労、目眩など全て忘れるくらい一瞬で背筋が凍った。
だが隣の男は違った。
見なくてもわかる。殺意。殺意。殺意。
あつい。きっとアニメなら紫や黒や赤のオーラが見えるような、殺意を感じる。

男はこちらを見ず一言、いくぞ。
と。

その鋭い眼差しは自分に向けられたものでなくても
殺される、と思わされるようなものだった。
だがその瞳に魅了されたのもまた、事実だ。

俺は湧き上がる胸の高鳴りを抑えきれずに応えた。

おう!

10/15/2024, 12:55:43 PM