永遠を信じることがどれほど幸せなことだったかを大人になった今感じる。
今できてることは、時間に身をまかせるだけ。
それは大いなる運命に身を委ねているのではなく、ただただ不毛な人生に置かれた駒を時間で無理やり押し進めてるだけ。
その駒はとても無機質だ。
時間がなければもしかしたら止まったままかもしれない。
永遠を信じていたあの頃はきっと希望があったんだろう。時間も空間も味方してくれていた気さえする。
そんな希望に溢れた世界をなぜか永遠のように感じた。
現実が残酷なんだろうか、それとも希望や永遠という理想が残酷なんだろうか。
あの頃も今も同じ世界を生きてるはずなのに。
きっと無機質な駒の中に捨てきれない理想があるのだろう。
そんな捨てきれない理想を持ったまま永遠に生きる駒は残酷だ。
時間も空間もその駒を置きざりにしていく。
しかし、そんな駒が朽ち果てることもなくそこにあるのは、もしかしたらその捨てきれぬ理想があったからなのかもしれない。
人は一番大切なものを胸に生きていく。
絶望の中に見る希望を奇跡と呼ぶなら、その奇跡を遠目で信じよう。
動かぬ駒も、無表情な駒もいつか本当の永遠を見つけるのを待っているはずだから。
友だちの思い出
最近かつての友だちの訃報が届いた
忙しさを理由に不参加にさせてもらった
かつての級友たちと会わせる顔がなかったのが本音である
皆家族もいて、子供もいて、その中で自分はまだ子供のままでいるのだ
昔から一番元気であった彼が一番先に逝くとは思っていなかったので、未だに実感しづらい
父親を早く亡くした彼が父親として早く逝くとは、きっと無念であったろう
中学一のワルと言われてた彼だったが、彼ほど心配りができる人を私は他に知らない
サッカーをすること以外、常に学校や世の中に生きづらさを感じていた私にとって、彼の逞しくもユーモアのある弱きを助く姿はなぜかとても愛おしく思えた
先輩後輩、他の中学にも分け隔てなく沢山仲間がいた彼は物凄くケンカが強かったわけではないはずなのだが、いつも中心にいた
もちろんしっかりと悪さをしていたのは否定できないが、彼の為なら何かをしてあげたい、そう思わせる唯一の人だった
中学を卒業すると、私が引っ越したので、会えない距離でもなかったのだが、彼の周りでのよくない噂も聞いていたので、疎遠になっていった
そんな彼が大人になって、立派な顔つきで営業の仕事をして、家族をもったことを知った時は、私はとても嬉しかった
いつもどこか寂しげだった心優しい彼に神様は幸せな家庭を与えて下さったんだと心から思った
コロナもあり、いやそれ以前もその後の彼を聞いてはいなかったが、突然の知らせであった
彼の奥さんを知らなければ、彼の子供も知らない
彼のほんの一部分しか知らないのであろうことを思うと、とても彼を語る資格などないのかもしれない
だが、私は彼に沢山のものをもらっている
分け隔てなく、心に寄り添える気持ちがいかに大切なことかを彼に教えられなかったら、きっと今の自分はもっと孤独な人生であったろう
かつて世間の体裁にとらわれてる大人が大嫌いであった自分が、情けなくも同じ大人、いやそれ以下の大人に成り果てたかと思うと言葉もないが、彼を偲ぶ気持ちは誰よりもあるという小さな信念が私を僅かに支えている
もらった愛はいづれ与えられるようになるという
あの頃私が自由になりたかったのは、彼のように分け隔てなく心に寄り添える気持ちを遮るもの全てからだったのだと今思う
彼の心意気がいつも好きだった
もう一度追いかけてみようと思う
星空
宮古島の星を観てみたい
東京の空でも沖縄本島の空でもなく
宮古島の空の星
星は闇を優しく照らしてくれる
その夜空の星を時間と人間は変えた
文明の誇りと埃は無数の星たちをなきものにした
文明以前の夜の闇は深かった
しかし、そこには輝く星たちが存在した
何かを得ると何かを失う
もしかしたら、失っているものの方が多いのかもしれない
スイッチ1つでつく照明はスイッチ1つで消えてしまう
だから、教えてほしい
宮古島の空に
私の目の前で輝いてほしい
どんな照明やイルミネーション、夜景、ネオンよりも美しいはずの星たち
写真でしか観たことない世界をこの胸に届けてほしい
きっとその光は希望の光となるだろう