友だちの思い出
最近かつての友だちの訃報が届いた
忙しさを理由に不参加にさせてもらった
かつての級友たちと会わせる顔がなかったのが本音である
皆家族もいて、子供もいて、その中で自分はまだ子供のままでいるのだ
昔から一番元気であった彼が一番先に逝くとは思っていなかったので、未だに実感しづらい
父親を早く亡くした彼が父親として早く逝くとは、きっと無念であったろう
中学一のワルと言われてた彼だったが、彼ほど心配りができる人を私は他に知らない
サッカーをすること以外、常に学校や世の中に生きづらさを感じていた私にとって、彼の逞しくもユーモアのある弱きを助く姿はなぜかとても愛おしく思えた
先輩後輩、他の中学にも分け隔てなく沢山仲間がいた彼は物凄くケンカが強かったわけではないはずなのだが、いつも中心にいた
もちろんしっかりと悪さをしていたのは否定できないが、彼の為なら何かをしてあげたい、そう思わせる唯一の人だった
中学を卒業すると、私が引っ越したので、会えない距離でもなかったのだが、彼の周りでのよくない噂も聞いていたので、疎遠になっていった
そんな彼が大人になって、立派な顔つきで営業の仕事をして、家族をもったことを知った時は、私はとても嬉しかった
いつもどこか寂しげだった心優しい彼に神様は幸せな家庭を与えて下さったんだと心から思った
コロナもあり、いやそれ以前もその後の彼を聞いてはいなかったが、突然の知らせであった
彼の奥さんを知らなければ、彼の子供も知らない
彼のほんの一部分しか知らないのであろうことを思うと、とても彼を語る資格などないのかもしれない
だが、私は彼に沢山のものをもらっている
分け隔てなく、心に寄り添える気持ちがいかに大切なことかを彼に教えられなかったら、きっと今の自分はもっと孤独な人生であったろう
かつて世間の体裁にとらわれてる大人が大嫌いであった自分が、情けなくも同じ大人、いやそれ以下の大人に成り果てたかと思うと言葉もないが、彼を偲ぶ気持ちは誰よりもあるという小さな信念が私を僅かに支えている
もらった愛はいづれ与えられるようになるという
あの頃私が自由になりたかったのは、彼のように分け隔てなく心に寄り添える気持ちを遮るもの全てからだったのだと今思う
彼の心意気がいつも好きだった
もう一度追いかけてみようと思う
7/6/2024, 2:46:47 PM