雪原の先へ
立方体のブロック達からなるこの世界に、意思を持つものは自分しかいない。
たまに会う村人達も、皮を被っただけのプログラムで動くナニカであり、意志疎通を図ることは不可能だ。
悲しげな音楽BGMは、胸のどこかが叫びたいような懐かしさを覚える。
歩き続ければ、存在もしないはずの古代人の作ったピラミッドや、メサや、廃坑などがあり、全てが少しずつ廃れた文明を想起させ、私は寂寥感を催す。
ジャングルを抜けると、現実には不釣り合いなほどに綺麗な雪原が広がっていた。
きらめく街並み
夜の冷たい風は鼻腔に刺さって痛い。
だけど、冬の空気は澄んでいて気持ちがいいのだ。
夜中にイルミネーションの合間を徘徊して、今日も孤独な心を誤魔化している。
この光達は確かに私の鎮痛剤であり、しかしどうしようもないくらいに憎い。
贈り物の中身
贈り物。
それは、送り主が相手にあるメッセージを込めてプレゼントする、何かしらの物体である。
今目の前にあるこの箱は、いかにもその贈り物としての様相を呈しており、是非とも中身を覗いてみたい。
シワの無い包装紙、ピンと張られたリボン、ずっしりとした重み。
どれもが私の心を踊らせるのには充分だ。
しかし、肝心の送り主の名前がない。
先程、贈り物にはメッセージが込められている、と私は述べた。
メッセージとは、良いものばかりではない。
この薄い包装の内側に、醜い悪意が犇めきあっていないとも限らないのだ。
凍てつく星空
地球の間氷期は終わり、いよいよ氷期に突入した。
赤道直下、人類最後のエクメーネ。
今宵も僕らは、身を寄せあって眠りにつく。
ふと目が覚めて空を見上げると、まだ星で覆われていた。
僕らが死ぬときも、きっとこんな綺麗な星空の見える日なんだろうな。
心の深呼吸
「黙想」
練習前。
この時間だけは、誰もが自分に向き合う。
道場の外から聞こえる、他部活の音や、帰宅する生徒たちの話し声、校庭に生えた木々のざわめき。
空気に溶け込んで、自他の境界を曖昧にして。
そこに待つのは無の世界。
「やめ」
気は練られた。
いざ。