「セーター」
珍しく部活の休みこれと言ってやることもない、
決めた、今日は嘘しかつかないことにしよう
僕は立ち上がる
「どうしたのお兄ちゃん頭でも打ったの?」「ああそうなんだ痛くてしょうがないよ、実を言うと俺はオマエの本当の兄貴じゃないんだよ」「何いってんのお兄ちゃん」
「休日の暇つぶしだよ、今日は嘘しかつかないで生活してみようと思ってね」「…そうなんだ」
厚手のセーターに身を包み外に出る。
嘘だけの休日が始まった。
「夫婦」
父は7月7日、天の川を渡ってやってくる、
父は星渡りの荷馬車を降りると嬉しそうに私を抱きしめた。
私が生まれる前、父と母は彦星と織姫と呼ばれ下界でも有名なおしどり夫婦だったそうだ、実際私が物心がつく頃にはそこまで仲がいい二人を見たことがない。
私を生むときにも色々と周りの反対を押し切っての事だったそうだ、
下界で聞いていた、熱烈なイメージとはだいぶ違う気がするけど長く続く夫婦感とはそんな感じなのだろうか、
1年間会っていないのだから父は私に色々質問していた
二人がどう思っているかはわからないけど私は三人でいられるこの一日が好きだった、
たくさん話しをして、美味しい物を食べる
そして今日だけ下界に降りて三人で満天の星空を眺めるのだ。
「宝物」
今日はキツネと仮想デートをする予定だった、
キツネは俺が学校の帰りにススキ畑で仲良くなった昔からいるキツネで人に化けて変身できた
憧れの女の子をデートに誘うためにキツネに女の子に変身して仮想デートというわけだ。
「なんだってワシがお前さんに付き合わんとイカン」「尻尾はしっかり隠しておけ」「オマエはデートを演じてくれればいいから報酬は払う」「わかったよ」キツネは憧れの立花さんに成っていた
「立花さんはそんな喋り方しないぞ」「ワシは知らんぞそんなこと」
俺はキツネと映画館に入った
今日観る映画は「初恋は宝物」恋愛映画だそれっぽくしといてくれ
「まかせておけ」「大丈夫かな」
俺の近くで女の子が話しかけてきた
「ねぇ君後藤君だよね」「た、た、立花さん!?」
映画で俺は本物の立花さん遭遇した。
「冬になったら」
売れない映画監督の俺だが最近、奇妙な夢を見る
霧に包まれた城を目指し、謎の女性が歩く夢
何度も何度も俺はその夢を観るたび次第に本気で
あの夢を映画で再現しようとしていた。
映画作りの話しは進んでいき、 冬になったら撮影に踏み出すところまで来ていた。
あの夢は更新されていき、日常生活に支障をきたしかねない状況だった。
夢の内容を完璧に写し込むために俺はあの霧を行く女とそっくりな人物を探していた。
オーディションをしてみたがしっくりくる人物が見当たらない
映画の内容が決まって行くが、キャストにこだわり、まだ撮影に踏み切れていなかった。
あれは帰宅途中
電車を降りる女性の顔を見た
夢に出てきた女とそっくりだった
俺は慌てて電車から降りて彼女を追いかける
夢に出てきた女にそっくりだの中には出てきた女は
「すみません」「はい何かご用ですか?」「私映画監督をしている者ですが」「え」「良ければ私の映画に出演して頂きたいのです」「映画に私がですか」
自分でもどうかしてると思うが、俺はあの夢で観た映像を再現できるなら俺はなんでもする覚悟だった。
「はなればなれ」
僕が彼女に出会ったったのは3日前、夜の浜辺だった
僕はあの時、新しい舞台劇を企画したアイディアに煮詰まり頭を抱えていた。
夜19時になり あの日のように僕は彼女を探しに浜辺でに出掛ける。
「おーい透明女いるんだろ来てくれよ」
砂浜に足跡だけが僕のそばに来た
「よ、呼びましたか…」透明人間は弱々しく訪ねた「ああ、探したよキミ、姿が見えないから探すのが大変で」
「すみません…」透明人間は泣き出しそうに謝る
「あの…」「どうかしたかい?」「怖くはないんですか?」「怖い?何が」「イヤ…私透明人間ですし…他の人と違いますし」「まぁ、たしかに僕も31年生きてきて、透明人間なんて初めて会ったけど、君はとはこうして会話できてるわけだし別に怖くはないよ」そうだ本題を忘れていた」男はそんなことも気にせず明るく話題を切り出す「一度君に見てもらいたい詞があるんだ、この前聴いた歌声が良かったらそれで歌詞が湧いてきたんだ」「あ、ありがとうございます…」「この詞のテーマはズバリはなればなれの恋人達の言葉のやりとりだ、良かったら読んでみてくれ」
透明人間の女性は詞もらい読んでいく
「ここのフレーズとても好きです…」透明の女性も歌詞を見ると少し嬉しそうなのがわかる「よかたら今度またこれで曲を聞かせてくれないか?」「え?」
「この前ここで歌った曲とても良かった、しっかり報酬も払うよ、どうかな」「え…でも…いいんでしょうか」「ぜひ君に頼みたい、僕は君の才能をかっているんだ」「…わかりました…できるかわかりませんが」「本当か?助かるよそれじゃまたこの時間この浜辺にいるから何かあればいつでも声をかけてくれ」「は…はい」「そうだ帰る前に名前を教えてくれないか?」「…名前ですか?」「そうだ初対面の時聞きそびれていたからね、まぁ実際対面する面はないがね」「エウレナです」「よろしくエウレナ、
僕はマシューだ劇場で演出の仕事をメインに活動してる」
「また会おうエウレナ」「はい…さようなら」
二人は立ち去り砂浜に足跡だけが残る。