「子猫」
ミキコは初めて子猫を出産した。
ミキコは私が小学3年生のとき転校しこの島にやって来たとき初めて出来た最初の友人だった
はじめは野良猫だったが、
餌をあげ次第に仲良くなり4年たった今ではでは家族同然の中だった
学校で内向的な私には友人は居なかったため、ミキコと子猫3匹が私の拠り所になっていた。
子猫が生まれしばらく経った頃3匹は外で歩けるようになり私も少し気が緩んでいた
私がトイレに行ってる間、その時アイツがやってきた
お手洗いの中で悲痛な猫の叫び声が聞こえた。
私は慌てて戻るとそこには血だらけ倒れている3匹の子猫と大きな雄の猫がいたがあった
「いあっああああっ!!」
私は人生で今まで出したことのないような大きな声を発した、
私が子猫に駆け寄ると大きな猫はその場をすぐに離れていった
「お母さん早く来て!子猫が大変なの!」
母が来て慌てて3匹を病気に連れていった
2匹は死に1匹は重症だった、
私は視界が深く沈んでいくような感覚に陥った
あの大きな猫は3匹の父親だった、アイツはほとんど外で生活している野良猫人間にはほとんど懐かない、
出産した子猫を父親の猫が殺してしまうことがあることを当時の私は知らなかった。
自分を呪ったと同時に殺意のような淀みが芽生えた
私は野生動物を捕まえる罠を作り始めた
ゲージやロープを買い
罠が完成すると山盛りのキャットフードを罠に敷き詰めた
キミコを家にいれ私はカーテンから罠の様子を静かに待った。
3日たった頃あの雄が罠にかかっていた
私はロープを持って静かにオス猫に近づいて行った。
森の中を一台の車が走っていく、私を乗せるためにわざわざお母さんが車を出してくれた。
森の置くまで来て私とお母さん車をおりて後ろ積まれたゲージを出す
中にはあの雄猫が震えながら縮こまっていた、
私は激時する気持ちを噛み殺しながら雄に言った
「本当ならこの場でオマエを殺してやりたいけど、私はアンタとは違う 生かしてやるから二度と私の前に現れないで」
ゲージを開けると、雄猫はそそくさと去って行った。
病院の子猫は一命を取り留めた、
私は安心した泣きながら座り込んでしまっていた。
それから、私は社会人になり、あの子猫と暮らしている、すっかり肥満体型のオジサン猫になったけど
「お互いダイエットがんばらないとね」
私は猫を撫でながら優しく呟いた。
「秋風」
秋風が寒い
仕事場を離れ、早々に俺は地下鉄に乗り自宅に帰る。
去年撮影した映画、ゾンビオブザカンフーは散々な結果だった
動画投稿サイトでもネット記事でも俺のゾンビオブザカンフーは今年最大のクソ映画に認定された。
「ふざけるな、こいつら俺の映画を何もわかっていない」
また新作映画を撮らないといけないが、アイディアが湧いてこない
もしかしたら思っていたより俺には才能がないのかもしれない、
午後三時、俺はふて寝を決めこむことにした、
するとその日、奇妙なな夢を見た、
霧が立ちこめる、大きな城
霧が立ちこめる森の中で記憶を無くした女性が一人目を覚ます、女は不安に押しつぶされそうになるが目の前の霧の城を目指していた歩き出す、霧の中から何かが女の背中に飛びかかる。
俺はそこで目が覚めた、不思議な夢だった
しかしあの情景は俺の心を掴んで離さない
あの夢の中の情景をフィルムに収めたい
不意にそんな気持ちに駆り立てられ俺はすぐに机に向かう。
夢に出てきた謎の女 霧に包まれた城、セリフと画面の様子を俺は忘れないように書き出していく
悪魔に取り憑かれてように俺はこの映画を作り始めた、自分の夢を頼りに。
「また会いましょう」
14歳の誕生日ついに私にも例の呪いが発症した
3年前に国全体で流行りだした呪い
私の村は小さな集落にある
森の中を行く
呪われた娘
全身に呪い 全身に黒い渦の模様
青年が彼女のもとに訪れた
「除念師の方がきてくたまさった」
「助けてくださりありがとうございます、また来てくださいね」
また来てくださいね
」
男は少し寂しそうに笑う
お爺さんに話を聞く
厄災を閉じ込める手
あの呪いは解くことはできない
あの人は自分に厄災を抱えただけだ
私がいるとまた厄災がこの村に災いを与えます
ここを去ります
この呪いは解くことはできない
いつか私の体を覆うと思う
それまでに私はできるだけ沢山の人を助けたいと思うんだ
いつか私がこの呪いを解きます、何年かかるかわからないけど
「スリル」
武力に長けた罪人を集める
死者の溜まり場
コロシアムで今日も俺たちは殺し合う。
ここは戦の神が設けたコロシアム。
死者を集めて見世物にするのは趣味がいいとは言えないがここにはたしかなスリルがある、退屈しのぎには丁度いい。
現世で使っていた肉体を与えられそこで殺し合いをする
武器は何でもありだ
コロシアムに立っていたものが正義。
ただここで生き残った者は特別な褒美が与えられる
それは好きな肉体と記憶でまた現世に帰れる権利だ。
俺はなんとしてもまた同じ姿で現世に帰りたい。
俺も現世で数え切れないほど人を殺してきたかがここではそんなの自慢にもならない。
スパイに殺し屋、ヤクザの鉄砲だま、
中華の大将軍、軍隊の隊長、
中には現世で本物のコロシアムに出ていた奴もいたらしい。
やっぱり戦いは良いもんだ、生きてることを実感するよ、今の俺は死んでるけどな。
「飛べない翼」
数千人が暮らす工場だらけの小さな小島
これが私の世界の全て
両親と出掛けるはずだった船の事故で二人を亡くし
私はそれから海が怖くていまだにこの島を出られないでいる
それから数年が経ちいつものように家で一人機械をいじっていた時
彼女が空から落ちて来た。
翼の生えた女の子左の翼から血を流して、私の家の裏ゾウゲばやし木で彼女は横たわっていた
翼の生えた鳥人、昔お母さんが本で読んでくれ、本物に出会うのは初めてのことだった
私は慌てて付き添いのロボットと彼女を運んだ
「おはよう目が覚めたんだ」「ここはどこ」「オウラフ島だよ南東の島、自己紹介がまだだったね私の名前はアンナ」「助けてくれてありがとうアンナ、私はフィオ、そうか私この近くを飛んでるときに撃たれてそれから…そうだ私が持ってた手紙はどこ」「手紙?ああ君の隣に置いてあるよ」「良かった、無事で」「大事なものなんだね」「私郵便の仕事をしているの早くこの手紙を届けに行かないと行けないんだけど」「君の翼はケガをしているの、何かに撃たれたようだったけど」「最近鳥人を捕まるやからが出てきて、逃げてる時に撃たれたんだと思う」「その怪我だと飛んで行くのは難しいと思う」「どうしよう、私の持ってる手紙を心待ちにしてる人たちがいるのに」「ねぇフィオ、良かったら、アンタの翼私が治してあげようか?」「え?ホントに!」「私こう見えてメカニックをやってるからその左の翼なんとか飛べるようにできるかも」「お願いアンナ私に手伝えることならなんでもするから私をまた飛べるようにして」「ああ、泣かないでフィオ大丈夫だから」「うんありがとうアンナ」「じゃあフィオ翼が治るまでお願いがあるの」「なに?」「島の外の話しを聞かせて欲しいの」
それから数ヶ月、私は左の翼を治しながらフィオと二人で過ごした、機械しか友達のいないような私にフィオは明るく話しかけてくれた
色んな話しを聞いた砂の荒野に湖の都市大きな世界樹、島から出られない私には彼女の話しは夢のようだった
「よし治った理論上はこれで飛べるこれで明日にはこの島を飛んでいけるよ」「ホントにありがとうアンナ」「ほら、泣かないで手紙を届けるんでしょう?」「うんありがとうアンナ私今日の晩ごはんうんと美味しいのつくるよ」
「ありがとうフィオ私あのリゾットが食べたい」「うんまかせて」
嫌だ、ホントは行って欲しくはない
ここにずっといて欲しい
彼女は飛んで行ってしまう
また、私はここに一人
でも約束したまた会おうと、彼女と約束した。
ずっとこの島から出るのが怖かった私を彼女が変えてくれた
約束するよ
またどこか遠くで会おう
私があなた翼を治したようにあなたは私に翼をくれた
失くしていた翼を
夢みる翼を。