「ススキ」
夕焼けが差し込む寂れた田舎町
俺は制服も着替えず
自転車を漕ぎ、いつもあの場に向かう
森をぬけて
真夜中のススキ畑で
俺は自転車を降りた
「おーい狐出てこいよ」
俺が大きい声で呼ぶと気だるそうにススキの間を白髪の男が全裸で顔を出す
白髪の男は美し顔立ちで相変わらず白い尻尾が生えていた。
「なんだお前さん今日も証拠にもなくやってきたのか、ちゃんとお供え物はあるんじゃろうな
」
「要件を済ませたらな、今日も例のやつ頼むよ狐」
「お前さんも懲りないの」
狐の男ははやれやれと言う様子で奇麗な女子高生に変身した
「これで良いかお前さん」
「ああ、相変わらず最高の完成度だ」
いつも学校で隣のクラスの立花さん
黒髪ロング、黒い制服がよく似合う
まつげは長く、切れ目の美少女だ
立花さんに変身した狐だがやっぱり尻尾だけは隠せないようだった
「じ、じゃあ始めるか」「ああそうじゃな」「わかってるな狐、明日昼休み、俺はいよいよ立花さんをデートに誘う、お前は机に座りながら立花さんなりきるだぞ」「はいはいやればいいんじゃろう」
「そし、いくぞよーいアクション!」「た、たちばなさん」「どうしたんじゃ」「今日もいい天気ですね」「そうかわしは晴れ間は嫌いじゃがな」「……」
「あ、あのさ良ければなんだけど映画のチケット余ったんだけど今度の土曜日一緒に見に行かない」「ああ良いぞどんと来いじゃ」「本当、ありがとう」「こんな感じでどうじゃあ」
「ああ!なんだかデートに誘えそうな気がしてきたよ狐。」
「そうか良かったのう」
「ではではさっさと褒美をよこすのじゃ」
「はいこれ」「なんじゃこれは」「映画のチケットだけど」「なんじゃと」「わしはいつもの団子が欲しいんじゃ、映画とやらの紙などいらん」「それがさ狐」「なんじゃ」「やっぱりまだ心配だから映画デートお前が予行練習してほしんだ」
脳裏
15年愛用した愛車
点検はこまめにしてきたけど
さすがに限界だ
明日この車ともお別れだ
最後のドライブ今日はどこに出かけよう
いつものようにシートベルトしめて、扉を閉める
そろそろ彼女が現れる
気づけば、彼女は隣りに座っていた
5年くらい前、彼女はこの車の中だけに現れるようになった
僕の脳裏のイマジナリーフレンド? はたまた幽霊?
彼女が曰く、この車の元の住居者だとか
「おはよう」
「今日はどこに行く」
「君が決めていいよ」
「うん」
「海に行こうよ」
「今日は晴れたみたい」
しばらく車を走らせると海が見えてきた
「車新しくするんだ」
「そうなんだいいと思うよ」
「ごめんよ」
「多分もう会えなくなるよ」
「君は大丈夫だよ」
「うん、ありがとう」
「海が見えてきた」
「きれいだね」
「じゃあ元気で」
そうゆうと彼女は現れない。
「意味がないこと」
朝起きて私はまず誰もいない公園で劇をやる誰もいない
生放送
人がいない壁に向かって喋る歌う笑い愚痴る
見れてなかれば意味がない
なんで続ける
誰にも見せない物語
誰かに見られたはずかしい
意味とは客観じゃない主観
人生に意味なんてない
もうやめよう。やめたあとに誰かが習う。そこから始まる物語
意味をなくした物語
断片的な物語