Omu

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7/22/2024, 9:59:20 AM

その瞳が欲しい。

ふと欲しいものを尋ねてきた彼に、うっかり本音が漏れてしまった。
「いやごめん、ま、間違えた。忘れて。」
横並びで歩いていたが、恥ずかしくなって彼を追い越す。

…あなたの瞳が欲しい。熱のこもった視線で見つめられたい。視界を独り占めしたい。本当はずっとそう、想っている。
でも、彼がこれに気づいたら怖がられないか気が気じゃなくて、伝えられずにいた。長い間隠してきた、なのに。

彼は見逃がしてくれないようだ。
『先輩待って。僕は誕生日プレゼント聞いてるんですから、遠慮しないで言ってください』
「違うんだ、遠慮とかじゃなくて……」
彼は、俯いてもごもご言う私の手を引き留めたまま話し続ける。
『…そんな真っ赤になるほど欲しかったものって、なんですか?』

恐る恐る顔を上げる。そこには、私が手に入れたいと願って止まない熱視線があった。


『欲しいもの』

7/20/2024, 1:18:54 PM

視線の先には、鮮明な赤。

なんだ、なにが起きた。1分前が思い出せない。
窓に映った私は何故赤に塗れているのか。

「はっ、はぁっ、ひゅ、」
ふと、荒く短い息が聞こえる。誰かが過呼吸を起こしている。
周囲に人の気配は無いが、やけに音が近い。ともかく助けなければと、ぼんやりとした頭で思う。

…雷鳴が轟き、ハッとする。息苦しさに気づく。過呼吸は自分だ。手足が痺れている。
身体に力が入らず、その場にうずくまった。

あぁ、でも、思考の靄は晴れてきた。
私は一家惨殺を図った殺人者。今ただひとりを残して、作業を終えたところ。そして、残ったひとり、彼が私の元に辿り着くのを待っている。


これは、いつも見る夢。

彼への恋を自覚した日を境に、見るようになった。
この想いが成就しなくても、彼の記憶に深く残りたい。たとえそれが最悪な形だとしても。無意識のうちに、そう考えているのかもしれない。

5分後私は、最愛の彼にとどめを刺される。


『視線の先には』

7/18/2024, 11:11:33 AM

私だけ、特別。
思い出すと顔が火照る。あの日、真っ直ぐな目に射抜かれた瞬間。初めて恋に落とされた。


『特別』