雑多に人々が集まる中、彼女の声が聞こえた気がして、俺は周りを見渡した。
人が多いから咄嗟に見つけられない。
気のせいかと思いたいけど、自然と周りを見渡してしまう。
意識を耳に集中させて、もう一度あの声を探す。
話しかけたいんだ。
会いたいんだ。
そんな風に願っていると確かに届く願いの声。
自然と足が動いてしまった。
だって、会いたかったんだ。
彼女に。
おわり
七一八、耳を澄ますと
彼女と話をするのが楽しくて。
他の人とはちょっと違って、胸が暖かくなるんだ。
彼女とは友達になった……とは思うんだけど、なんだろ。もう一歩近づきたいって思っちゃった。
だから……
「ねえ、今度一緒に遊びに行かない?」
そう告げた時に、驚いてから眩い笑顔を向けてくれた彼女にドキッとした。
「行きます。やった、嬉しい!」
眉を八の字にして微笑むのが、やっぱり可愛くて、俺もつられて笑顔になる。
と、彼女を誘っちゃったけど、俺の周りにも彼女の周りにも勝手に盛り上がる連中が多いから、待ち合わせ場所とか、遊びに行くところとか注意しよう。
この胸の暖かい気持ちがどういうものなのか、ゆっくり知りたいんだ。
おわり
七一七、二人だけの秘密
困った時に笑顔で助けてくれた。
それが気になるきっかけだったの。
その後も気にかけてくれて、声をかけてくれて。
好きな色が同じなことをきっかけに、さらに友達として仲良くなった。
そんな彼は救急隊員だから、本当は誰にでも優しい。
私に対しても普通の対応だった。
だって、彼の優しさに惹かれて想いを寄せているのを知ってるんだもん。
だから、私への気持ちは友達なだけで。
生来の優しさだけで。
私は服の上から胸を掴む。
「こころが……痛いよ」
おわり
七一六、優しさだけで、きっと
ピンクは社長のイメージカラーで。
黄色はあの子で、紫はこの子で。
シンプルで同じ型のピアスだから、沢山の色が並んでいる。
最近は〝推し色〟という概念があって、同じ商品でも色とりどりのカラーを取り揃えていることが多いんだって。
だから、私の周りの人にあててみた。
その中でどうしても私の目を引く赤色。
これは私の恋人のイメージカラー。
私も彼も、好きな色は青なんだけど、私も彼も周りの人がイメージに持つ色は別だったりする。
そっとそのピアスを手に取った。
シンプルだから彼が付けても問題ないんだけど……。
「目立たないな……」
それぞれのイメージカラーが髪の毛の色に近くて、結局ふたりの好きな色が一番映えると思ってしまった。
おわり
七一五、カラフル
「あー、かわいいなぁ」
首も座ったけれど、まだ頭のバランスが取りにくそうにしている俺たちの天使。
「う?」
大きな瞳で俺を見上げては、全力で微笑んでくれるもんだから悶絶ものなんだよね。
本当に天使なんです。
愛しい奥さんがいて、可愛い天使がいる。
ここが楽園だぁ……。
おわり
七一四、楽園