恋人は泣き虫で。
そこが可愛いんだけど、本当のところで泣かないんだ。
もしかしたら、俺に見せてないだけなのかもしれないんだけど。
だとしたら、彼女はまだ心の奥で辛いものを抱えているのかな。
それとも俺を信用できてない? いや、それは絶対ないな。彼女はそういう人じゃない。
涙でふと思い出す。
俺も親しい人を亡くした。
その時、どうしたっけ……。
ああ、俺自身が涙を見せていなかったな。
泣かない。
ううん、泣けないんだ。
いつか、彼女のそばなら泣けるといいな。
おわり
六七〇、泣かないよ
彼女と俺と、どちらが怖がりなのか。
ちょっと疑問に思ったけど、どうなのかなぁ。
ホラー関連なものは少し怖いんだけど、俺の彼女は当たり障りのないはずの悲鳴が事件性がありそうな悲鳴を上げるからなんとも言えないんだよね。
俺と彼女、実際に怖がりなのはどっちなんだろう?
おわり
六六九、怖がり
星を冠する言葉を名前に含めている恋人だから、夜空を見つめると、どうしても彼女を思い出してしまう。
色素が薄くて透明感がある彼女。
暗いところにいると柔らかく光っているみたいに見える時があるんだよ。
今はそばにいないけど、夜空を仰ぐと星が溢れてきらきらしていて。彼女がそばにいてくれるように思えて、胸が暖かくなった。
今日も仕事、頑張れそうだな。
俺は空を背中に仕事場に戻った。
おわり
六六八、星が溢れる
ようやくの思いで気持ちを伝えた。
いや、情けないことに事故に近いんだけどさ。
引くに引けなくなって、彼女に「好きなんだよ」って伝えられた。
驚いた顔をしていたし、白い肌が真っ赤になっていて。俺にはそれも可愛いって思っちゃったよ。
俺の真剣な気持ちを受け止めてくれたあと、穏やかな瞳が俺をじっと見つめてくれた。
穏やかな瞳だったけれど、なんて答えてくれるか分からないから不安が押し寄せる。
そして、開いたくちびるから伝えられた言葉。
聞き間違いかと思ったんだ。
でも彼女は輝くような笑顔を向けてくれる。
これって……聞き間違いじゃない。
「ありがとうございます、好きになってくれて!」
「俺こそありがとう!!」
おわり
六六七、安らかな瞳
ちょっとずつ知っていく君に胸が高鳴って仕方がない。
それを抑えながら彼女と遊んでいると、そばに居たくなる。
俺じゃない誰かに向けている笑顔にもモヤモヤしちゃうんだ。
その笑顔は俺に向けて欲しい。
遠目で彼女を見つめる。
その無垢な表情は、心が暖かくなるんだよ。
俺の視線に気がついたのか、彼女は俺を見つけて華やかな笑顔をくれる。
その表情を見て思うんだ。
俺の隣にいてくれたら嬉しいって。
おわり
六六六、ずっと隣で