とある恋人たちの日常。

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1/11/2026, 1:53:59 PM

 
 外から帰ってきて、いつものように恋人とハグをする。
 
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」
 
 そんな普通の言葉を交わしたあと、いつもならすぐ離れるんだけれど……今日は全然離れない。
 
 いや、彼女が離れないのは可愛いからいいんだけど、どうしたんだろう?
 
 俺もしっかり抱きしめたまま、彼女の腕の力が抜けなくて彼女を見つめた。
 
 彼女は俺の胸に埋まっていたんだけど、いきなり顔を上げるからビックリする。
 
「冷たいです」
「外、寒いからね」
 
 そう返すと頬を膨らませながら、さらにぎゅーっと抱きついてくる。
 寒さが堪えていたけど、彼女の温もりが幸せな気持ちと一緒に染み渡った。
 
 
 
 
おわり
 
 
 
六〇五、寒さが身に染みて
 
 
 

1/10/2026, 12:06:36 PM

 
 俺の恋人は、先に二十歳……成人を迎えていた人。
 まあ、年上彼女です。
 年上に感じられない無垢さがあるから年齢を聞いた時ビックリしたんだよね。
 
 彼女にどんな時間を過ごしたのか聞いた時、少し寂しそうな顔をして話を逸らされた。
 
 ああいう顔をする時って彼女にとっては聞いて欲しくない時だと理解したんだ。
 
 だから俺が決めていることがある。
 
 あの寂しそうな顔を、絶対にさせない。
 ……なんて言えないのが悔しい。
 
 だって俺に何かがあって、彼女を独りにする可能性があるんだから。
 
 だからね。
 この先も一緒にいてもらうためのお願いを伝えるんだ。
 
 寂しい思いなんてさせたくないからね。
 
 本当の気持ちを言うなら、家族になるだけじゃなくて、子供も望めたら嬉しいな。
 
 
 
おわり
 
 
 
六〇四、二十歳
 
 
 

1/9/2026, 12:16:12 PM

 
 時間に追われながら、ちょっとだけおめかしした。
 気になる彼からお出かけに誘われてしまい、普段通りにしたいと思いながらも、ちょっとだけ。
 
 ちょっとだけ。
 
 可愛くて惹かれて買った三日月のピアスをかける。
 首を横に振ると耳元が華やかになった。
 私は色素が薄いし、髪の毛も短い方だからイヤリングがワンポイントになって……。
 
 気合い入れ過ぎって思われちゃうかな。
 
 気になる存在だけど、まだお互いの〝特別〟じゃない。
 普段付けているピアスはもっとシンプルだしな。
 
 きっと彼は気がついてくれる。
 ほんの些細な違いを見つけて「凄くいいね」って言ってくれる人だから。
 
 私はもう一度鏡に写った自分を見つめる。
 
「うー……」
 
 変に意識させてギクシャクさせちゃうのは嫌だな。
 
 私は三日月のピアスを外して、いつものシンプルなやつに戻す。
 
 キミの出番は、もう少し待ってね。
 
 
 
おわり
 
 
 
六〇三、三日月
 
 
 

1/8/2026, 1:28:24 PM

 
 彼女の目がキラキラしている。
 眼前に広がるのは、同じくらいキラキラ輝く色とりどりの肉やら海鮮やらの豪華な食事。
 
「美味しそうです〜」
 
 世の中がお正月休みが終わってから、恋人と旅行に来た。
 俺の仕事が休みの日にこそ仕事量が多いもんだから、こんな時期外れに来ているわけだ。
 
 そして、夕飯は……このホテル自慢のブュッフェバイキング。
 
「一先ず取りに行く?」
「はい!!」
 
 瞳の星は輝きを増し、元気よく彼女はバイキングに足を向けた。
 
「バイキングは戦です!!」
 
 彼女が元気に言う背中を追いながら、俺も適度に食べ物を取りに行く。
 
 彼女はそれはもう沢山取って来るだろう。
 食べる姿が大好きだから、今回の旅行はバイキングを選んだんだよね。
 
 視線を向けると嬉しそうに色々な食材をお皿に積み上げている。
 
 バイキングだから何度も取りに行けばいいんだよと思いながら、積み上げている彼女に顔がニヤけてしまう。
 
 うん、いっぱい食べる君が好きだよ!
 
 
 
おわり
 
 
 
六〇二、色とりどり
 
 
 

1/7/2026, 1:53:25 PM

 
「ゆ〜きやこんこ、あられ〜やこんこ」
 
 恋人の愛らしい甘い声が白い世界に響き渡る。
 犬だったら全力でシッポがブンブン振っていそうなくらいのご機嫌具合だった。
 
 少し積もっているけれど、そんなの気にしないレベルで軽やかに足跡を付けながら歌っている。
 
 個人的にはおっちょこちょいな子だから足元に不安だけど……と見ていると、
 
「あっ」
「あ」
 
 ズベシャッと顔面から転んでいた。
 
 雪が少し深くて良かった……。
 
 そんなことを思いながら、起き上がった彼女は涙目で俺を捉える。
 
「雪の上は滑るに決まっているでしょー」
「だってぇ……」
 
 俺はそう言いながら、彼女に手を伸ばして立ち上がらせた。
 身体中にくっついた雪をはらいながら、怪我をしていないか軽く確認する。
 
「痛いところはある?」
 
 彼女は両手両足を軽く動かして、ふわりと微笑んだ。
 
「大丈夫ですー!」
 
 俺は彼女に手を差し伸べた。
 
「また転ばないように、ね」
 
 彼女は嬉しそうに笑いながら俺の手を取る。
 
「はい、転ぶなら一緒に!」
 
 無垢な笑顔で言うけれど、俺はもう転ばせないからね。
 
 
 
おわり
 
 
 
六〇一、雪
 
 
 

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