「ゆ〜きやこんこ、あられ〜やこんこ」
恋人の愛らしい甘い声が白い世界に響き渡る。
犬だったら全力でシッポがブンブン振っていそうなくらいのご機嫌具合だった。
少し積もっているけれど、そんなの気にしないレベルで軽やかに足跡を付けながら歌っている。
個人的にはおっちょこちょいな子だから足元に不安だけど……と見ていると、
「あっ」
「あ」
ズベシャッと顔面から転んでいた。
雪が少し深くて良かった……。
そんなことを思いながら、起き上がった彼女は涙目で俺を捉える。
「雪の上は滑るに決まっているでしょー」
「だってぇ……」
俺はそう言いながら、彼女に手を伸ばして立ち上がらせた。
身体中にくっついた雪をはらいながら、怪我をしていないか軽く確認する。
「痛いところはある?」
彼女は両手両足を軽く動かして、ふわりと微笑んだ。
「大丈夫ですー!」
俺は彼女に手を差し伸べた。
「また転ばないように、ね」
彼女は嬉しそうに笑いながら俺の手を取る。
「はい、転ぶなら一緒に!」
無垢な笑顔で言うけれど、俺はもう転ばせないからね。
おわり
六〇一、雪
1/7/2026, 1:53:25 PM