マナ

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12/16/2024, 1:51:04 AM

自分という存在に嫌気が差す


メイクを落とさずソファで目覚めた朝は、何もやる気がしない

肌が呼吸困難で絶不調なのが分かる

ただ惰眠を貪りたい

ただ雪に埋もれて正体を無くしたい

そんな空想で目を反らす

現実や未来から


雪に埋もれたら、キレイになれる

そんな気がしていた


#雪を待つ

12/2/2024, 2:28:04 AM

幼なじみの■■は変わったヤツだ。

ふらっと立ち寄った生活雑貨店で、ふと宙を見つめていたかと思えば、ぱっと振り返って周囲に視線を走らせる。

「どした?」

こっちからの問いかけに、どこか上の空な様子で、ぽつりと言うのだ。

「なんか、呼ばれてる気がして…」

断じて霊的なものではない。

何しろ、ホンモノを感知するのは自分の方が慣れているからだ。

「あ、このシリーズ…やば、全タイプ揃ってる!」

ヤツの表情がぱぁっと明るくなる。
嬉々として、屋根のように突起が並んでいる物を手に取り、しげしげと眺めている。

「ブックスタンド?」

俺は全く興味が無かったが、とりあえず尋ねてみた。

「そうそう、これ便利なんだよ~。1冊でも倒れないし、型崩れしないし」

「ふーん」

「呼んでたのは、オマエなんだね~」

ペットの猫を撫でるように、その物体を撫でる■■。

なんだ、この絵面。

「買うの?」

「ほしいタイプが有ったからね~」

と、先ほど愛おしげに撫でていた物を棚に戻し、突起が2段になっている方を新たに手に取る。

それ違うんかいっ

密かに心の中で突っ込み、俺はぼぅっと■■を見ていた。

女性の中では、高めの部類に入る身長、スラリとした体躯、ショートボブの黒髪、クールで中性的な顔立ち。

性格はさっぱりして、ノリも悪くない。

ただの幼なじみ。

ただの遊び仲間。

の、つもり。

ただの、と言い聞かせている。

こんな呪文を唱えるようになったのは、いつからだろう。

俺に彼女ができた時?

■■が見知らぬ男と話しているところを目撃した時?

共通の友人の結婚式に参列した時?


馬鹿らしい


自分の腹を探ったところで、俺は決めているんだ。

俺は動かない。

腹の中身も見ない。そんなの直視しようものなら、変わってしまうから。

俺が望んで守ってきた、この温い距離が。


#距離

11/18/2024, 8:11:59 AM

冬になったら

君との
約束の日が訪れる

あの水族館まで
君と電車に揺られて
水槽の魚たちよりも
君の横顔に見惚れた

そんなつもりがなくても
きっと
あの日を再現する
再現してしまう

君は変わっているかな

僕は
ちょっとチャラくなったらしい
そんなつもりはないけど
きっと
君が好きだと言った
素朴さは残っているかな
残っていたらいいな

冬になったら

約束がなくても
一緒に出かけよう

でもやっぱり

冬にならなくても
一緒にいてくれないかな

君との思い出は

限定じゃなくてさ
無制限にね
増やしていけたら
最高なんだ

#冬になったら

11/14/2024, 3:27:43 AM

君と会えるのは

よくて年に数回

もっともっと

会えたらいいのに


でもね

僕と君の

それぞれの

いわゆる

大人の事情ってやつで

実現不可能なのは

分かっている


君にすがりたいわけじゃない

君を一人占めしたいわけじゃない

君との会瀬が非現実すぎる今を

君との会瀬が何でもない現実すぎる未来に

したいだけ

ただそれだけ



#また会いましょう

10/8/2024, 6:17:20 AM

昼間は嫌いだ

道行く人が
キラキラとして見えるから


真夜中が好きだ

どうしようもない
ちっぽけな存在の自分も
誰にも指を差されず
黙認してもらえる気がするから


こんな僕も
誰かに認めてもらいたい欲はある


でも、
こんな自分はそんな欲さえおこがましいと
別の自分が言うのだ


取るに足らない存在のクセに

無価値の人間が何を言うのか


力を込めて

全力で否定する術を

僕は知らない


ただただ
耳を塞ぐだけだ

ただただ
目を瞑るだけだ



#力を込めて

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