アリス

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3/19/2024, 10:28:12 AM

【胸が高鳴る】
真っ暗な舞台。開園の合図とともに重たい緞帳が持ち上がる。
夢と現実の境目みたいな、客席と舞台を隔てる幕が上がるとき。
光も差す前で、何も無いようなその不安定な空間を眺める。この暗闇がずっと続くなら、いつまでも、この不思議な場所にいれるなら何をしようかー。

劇が始まる前のほんの一瞬。緊張とはまた違う,ぞくぞくするような、心が高鳴る。

2/28/2024, 10:29:12 AM

【遠くの街へ】

「あ、なんとか動きそう!ありがとうございます!」
ぷすんぷすん……と微かに聞こえるエンジン音に、心から嬉しそうな顔をして君は言った。
「よかった、気をつけてね。」

10日ほど前に、小さなレシプロ機に乗って真っ暗な夜の窓から白一色みたいなこの部屋へ飛び込んできた手のひらほどの青い少年。
堕ちたところがふわふわな布団の上で、脚が折れてしまったのだ。
ここにベッドを置いたのは別に僕じゃないけど、なんだか悪いし、その飛行機を直してあげたのだ。

「このあと、どこに行くの?」
「うーん、ずっと、ずうっと遠くの街です。」
「友達にでも会いに行く途中だったのかい?」
「いいえ。僕はあなたにも会いに来たんですよ。
あなたみたいな人を幸せにするために。」

「…そっか。」
びっくりした。言われてみれば確かに、この子が来てから話し相手ができて楽しかったな……。
不意に寂しくなってしまうが、どこかへ行くと言うのならその道中の無事を祈るべきだろう。
「…気をつけてね。」

はい、と返事をすると彼は来たときと同じように、今度は三日月の浮かぶ朝焼けの、青と白の混ざり合うようなところへ飛び立って行った。


その日、丘の上にある天文台では流星群に置いていかれたような、大きな尾を引く青い流れ星が発見されたという。

2/23/2024, 11:30:48 AM

【Love you】

あなたが好きです。
主語が私じゃなくても、あなたはきっと何度もこのセリフを言われてきたんだろうね。

12/30/2023, 11:41:56 AM

【1年間を振り返る】

誰かが言うには、高校生活は2年生が1番楽しいらしい。

そうだっけ?

1年生の学校祭が過ぎた後、開放されたようにのほほんと過ごしていたら本当にいつの間にか2年生が終わりかけていた。
「いいなぁクリスマス遊びに行けて。こっちはもうすぐ受験だからどうにも、ねぇ。」
先輩はそう言った。

美人でしっかり者の先輩だ。きっと去年はすごく充実した1年を過ごされたのだろう。

私はというと…
·3週間前から勉強うしよう! と思っても結局1夜漬け の定期テスト
·放課後はダラダラスマホとにらめっこ
·ものすごく回り道をしてやっとたどり着いたこと

…悲しくなってきた。

受験シーズンってのに向かう生徒会の先輩方。不安もあるはずなのになんだか楽しそうにも見えた。

今年は私が受験生。夢をもっと探してみれば、あなた達みたいに大人っぽく、輝けますか?



……っていうか厳密には再来年か、受験。