夜鯨

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9/27/2023, 4:48:22 PM

通り雨
ぽつ、ぽつ、ぽつ
肌にあたる冷たい感触。少しづつ感覚が短くなり身体中を濡らしていく。雨から逃げるように走り去る人、傘をさし人を縫って歩く人。雨に濡れ体を冷やす小さな存在に誰も目を向けない。
少しづつ小さくなる歩幅、あるか足取りは重くなり大きな水たまりの真ん中でしゃがみこんで動けなくなってしまった。茶色い泥だらけの水たまりの中じっとしていると沈んでしまうのではないかと思ってしまう。
ザーザーと自分の肌を叩く雨の音。この雨の中ひとりぼっちで取り残されたみたいで少しさみしい。そんなことを考えていたら、先程まで冷たかった雨や水溜まりの水がぬるくなっていく。
「こんな所まで出とったんか」
見上げれば怖い顔がこちらを見ている。その後ろでは鈍色だった空が青く輝いていた。
「次は必ず声をかけぇ」
「うん」
道の水たまりには空が落ちていた。

9/14/2023, 11:52:35 AM

自分たちはいがみ合って殺し合う
「いい加減にして貰えませんかねぇ」
「君こそ、今日は随分しつこいね」
いつかこの白銀は自分の手で終わらせられるのだろうか
自分はいつかあの手で終わらせてもらえるのだろうか
そんなことはありえない
自分たちは一生終わることなんて出来ない
命が燃え尽きるまで

8/10/2023, 2:16:17 PM

終点

案外呆気なく自分の最後が来たと思う。

8/9/2023, 2:15:05 PM

上手くいかなくたっていい

愛情表現というものを生まれて数十年と生きてきたがまともにしたことが無い。必要なかったし必要になることも無いと思ってた。言葉なんて飾りのようなものだし聞こえのいいことを言っていればそれでいいと思っていた。

8/8/2023, 12:37:18 PM

蝶よ花よ

自分は大事なものはしまい込んで誰にも見せたくない派だ。大事に大事にしまい込んで、誰にも見つからないよう隠して自分だけが見れるようにしたい。だから自分は生き物を大切にできない。
昔、綺麗な蝶を捕まえた。逃がしたくなくて、大事にしたくてはこの中に閉じ込めた。花の代わりに砂糖水だって用意したし、毎日、様子を見てた。だけど3日もしないうちに衰弱して死んだ。その後も何度か同じことがあったけど、どれも3日ともたなかった。
自分は人を大事にする才能が無い。
だから人を好きになることは無いと思ってた。だけど、自分とは真逆なあの男が、あの赫赫と燃える男を閉じ込めたくて仕方がない。
好きだ。大切にしたい、幸せにしたい。
しかし、自分の愛し方では絶対に幸せにできない。だからあいつを見ないようにするしかない。手が届かないように遠く離れるしかない。
好きなんだ、大事にしたい、閉じ込めて自分だけが見ていたい、幸せにしたい、自分では幸せに出来ない。

だから自分は今日もあいつが嫌いな振りをする。

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