内藤晴人

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3/9/2025, 4:54:09 PM

 嗚呼……。

 ため息ばかり出てくる。
 ため息をつくと幸せが逃げていく、そう聞いたことがある。
 知っているはずなのに、気がつくとため息ばかりついている。
 理由は特にない。
 このままでは、私は不幸の塊になってしまう。
 そんな折とあるテレビの番組で、ため息をつくと若干ではあるがカロリーが消費されると言っているのを見た。
 眉唾ものの話ではあるが、私はその説を信じてみようと思った。
 ため息ダイエット、果たして成功するだろうか。

3/8/2025, 4:14:31 PM

 薄暗い押し入れの上の段は、私にとって秘密の場所だった。
 さしずめ秘密基地といったところだろう。
 けれどもちろん押し入れは布団の収納スペースであるから、常時入れるわけではない。
 なので、夕方布団を敷き終わってから夕飯までのわずかな時間に限られる。
 独特の臭いがする薄暗く狭い空間は、安心することができた。
 何をするでもなく、そこにこもっているとなんとなく落着き安心できた。
 今や縦横に成長してしまった私は、もうそこには入れない。
 薄暗い六畳の洋室に置かれたベッドの上が、今の私の唯一安心できる場所である。

3/4/2025, 6:00:09 PM

 約束、苦手な言葉だ。
 交わすからには、必ず守らなければならない。
 守れるかどうかわからないから、約束するのが嫌だった。
 約束を破るという行為が許せないから。
 だから、約束が嫌いだ。
 約束は、守るためにある。
 破るために交わすものじゃない。
 そう頑固に思い込んでいる。
 面倒くさい性格だなあと、自分でも思う。

3/3/2025, 4:19:34 PM

 ひらり、と白いものが私の手を離れて中空を舞う。
 中空を舞っていたそれは、目標を外れ床に着地した。

「鼻をかんだティッシュくらい、投げずにゴミ箱に捨てなさい!」

 母の怒声が響く。
 花粉症なんて大嫌いだ。

3/2/2025, 6:36:24 PM

 朝、教室に一歩足を踏み入れても、誰からも声をかかられることもない。
 一年以上続いているので、もう慣れっこだがさすがにこう毎日だとメンタルに響く。
 自分の席につき、鞄を下ろす。
 教科書とノート、そしてタブレットを机にしまおうとすると、何やら手に触れた。
 取り出してみると、何の変哲もない封筒で、封はされていない。
 一体、誰かしら? こんな酔狂な真似をしてくるのは。
 中に入っている便箋を開いてみると、ぐちゃぐちゃな筆致でこれ以上ない罵詈雑言が書かれていた。
 まあ、予想通りだ。
 私は無言で便箋を封筒に戻すと、そのまま教室隅に置かれているゴミ箱へと放り込んだ。

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