嗚呼……。
ため息ばかり出てくる。
ため息をつくと幸せが逃げていく、そう聞いたことがある。
知っているはずなのに、気がつくとため息ばかりついている。
理由は特にない。
このままでは、私は不幸の塊になってしまう。
そんな折とあるテレビの番組で、ため息をつくと若干ではあるがカロリーが消費されると言っているのを見た。
眉唾ものの話ではあるが、私はその説を信じてみようと思った。
ため息ダイエット、果たして成功するだろうか。
薄暗い押し入れの上の段は、私にとって秘密の場所だった。
さしずめ秘密基地といったところだろう。
けれどもちろん押し入れは布団の収納スペースであるから、常時入れるわけではない。
なので、夕方布団を敷き終わってから夕飯までのわずかな時間に限られる。
独特の臭いがする薄暗く狭い空間は、安心することができた。
何をするでもなく、そこにこもっているとなんとなく落着き安心できた。
今や縦横に成長してしまった私は、もうそこには入れない。
薄暗い六畳の洋室に置かれたベッドの上が、今の私の唯一安心できる場所である。
約束、苦手な言葉だ。
交わすからには、必ず守らなければならない。
守れるかどうかわからないから、約束するのが嫌だった。
約束を破るという行為が許せないから。
だから、約束が嫌いだ。
約束は、守るためにある。
破るために交わすものじゃない。
そう頑固に思い込んでいる。
面倒くさい性格だなあと、自分でも思う。
ひらり、と白いものが私の手を離れて中空を舞う。
中空を舞っていたそれは、目標を外れ床に着地した。
「鼻をかんだティッシュくらい、投げずにゴミ箱に捨てなさい!」
母の怒声が響く。
花粉症なんて大嫌いだ。
朝、教室に一歩足を踏み入れても、誰からも声をかかられることもない。
一年以上続いているので、もう慣れっこだがさすがにこう毎日だとメンタルに響く。
自分の席につき、鞄を下ろす。
教科書とノート、そしてタブレットを机にしまおうとすると、何やら手に触れた。
取り出してみると、何の変哲もない封筒で、封はされていない。
一体、誰かしら? こんな酔狂な真似をしてくるのは。
中に入っている便箋を開いてみると、ぐちゃぐちゃな筆致でこれ以上ない罵詈雑言が書かれていた。
まあ、予想通りだ。
私は無言で便箋を封筒に戻すと、そのまま教室隅に置かれているゴミ箱へと放り込んだ。