笑顔が好きだ。
くしゃっと笑った時に目尻にできる皺が年々深くなってきたが、そんな皺も含めて可愛い。
俺がふざけたら1番に笑ってくれるから、どんどん笑顔が見たくなってどんどんふざける。
そんな俺にまわりは呆れ顔。
でもそんなの関係ない。
ふたりだけが笑っている。
ふたりだけしかわからない笑い。
俺とお前だけのたくさんの想い出、どんどん増やそうな。
231118 たくさんの想い出
「「寒っ…」」
外に出た途端、寒さを纏った風に吹かれて独り言がシンクロする。
「ごはんどうする?どこか寄ってく?」
「うーん。…家でふたりでゆっくり鍋食べたいな。」
「……んじゃ買い物行こっか!」
冬になったらよく鍋を食べたくなるあなた。
毎回"ふたりでゆっくり"鍋を食べるお誘いをしてくれる。
これが、わたしが冬を好きな理由のひとつ。
231117 冬になったら
『はなればなれになったふたりは年に一回の逢瀬のみ許されました。』
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俺ならあいつと年に一回しか会えないなんて耐えられない。
会っていない間に何処ぞの誰かに盗られてしまうなんてクソ喰らえだ。
俺のそばにずっといてほしい。
だから俺の家に連れてきた。
…いや、一緒に住んでいる。
ごはんもお風呂もトイレもずっと一緒。
どんな時だってずっと一緒。
…誰の目にも触れさせない。
はなればなれになんかなってたまるか。
231116 はなればなれ
家に子猫がやってきた。
正直言って、俺は動物が苦手だ。
いや、苦手だった。
ただ、とある場所で出会ったこの子だけがぎこちなく差し出された震える手に戯れてくれた。
「…家に連れて帰りたい。」
そこからこの子と俺のドタバタな日々が始まった。
やんちゃでかまってちゃんなこの子との毎日は、
これまでとは見違えるほどに大変で、
見違えるほどキラキラしていた。
…今思うと、
星の数ほどのしあわせを貰っていたことを実感する。
231115 子猫
いつもと違う雰囲気のあなた。
自分といてもこころ上の空。
心に秋風が吹いたのだろう。
…いや、秋風を吹いてしまったのは紛れもない俺だ。
忙しさにかまけてあなたとの時間を大切にしなかった。
そのくせ別の男と話しているのを見ただけで苛々が止まらず、ついには別の人と関係を持った。
あなたは気づいていないフリをして、
俺のそばにいてくれた。
だから俺は、
あなたは俺のもとからずっと離れないと鷹を括っていた。
俺にできる優しさ。
それは今から言われるさよならを受け入れること。
231114 秋風