始まりがあれば終わりがある。
だから、はじめから一人でいたい。
「ふーん…ただのエゴじゃねーか。臆病者。」
出逢ってからいつしか知らぬ間に思考全てを奪っていった奴に吐き捨てられたその言葉。
好きだ、と伝えてくれた奴に吐き捨てられたその言葉。
ぷつっとなにかが来れる音がした。
それはもしかしたら臆病者の殻を破った音だったのかもしれない。
これがあいつとともに生きることを決めたきっかけだ。
…おいそこ、笑うな。
お前らから聞いてきたんだろうが。
だから言いたくなかったんだよ…。
240731 だから、一人でいたい。
ずっと前からわかってた、
お前が俺を見ていないことなんて。
それでも、
一緒にいる時間が長くなればなるほどに愛おしさが大きくなって、
とうとう隠し切ることが出来なくなり、
口を滑らせた。
「やっちまったな…」
真夜中に後悔。
240518 真夜中
「コンビニ行かない?」
その一言で近くのコンビニまで歩く。
人通りの多いこの道も、流石に深夜はぽつぽつと家の灯りがついているだけで人っ子ひとり歩いていない。
「なんか、二人だけの世界みたい。あなたと私の二人ぼっちだ。」
『なに言ってんだよ。』
…嘘。
二人ぼっち。
僕とあなただけの世界。
あなたがいればどうだっていい僕にとって、なんて素敵な響きなのだろう。
本当にそうなってしまえばいいのに。
240321 二人ぼっち
「お金より大事なものねぇ…?」
『そんなものないだろ。』
「うっわ、言い切った!」
『だってそうだろ。車、家、美味いもん…全部お金がないと手に入らないじゃねえか。』
「…これだから堅物は嫌よ。」
『あ゙ぁ…?』
『わたしたちのこの関係性はお金では買えないものだよ?プライスレス。お金なんかよりわたしはあなたと過ごせることの方が大事だけどねー。』
『…前言撤回。俺も。』
「ふはっ!かわいー。」
240308 お金より大事なもの
帰り道にあるケーキ屋でエクレアを買った。
『昔は甘いものが苦手だったが今は好きになった。』
『特にエクレアが。』
そう話していたのを小耳に挟み、気になっていたケーキ屋に入り、少し恥ずかしさを覚えながらもエクレアをふたつ買った。
「ただいまー。」
『おかえり。…ん?何買ってきたの?』
「エクレア。たしか好きって言ってたよね?」
『あれ、言ったっけ?』
「んー…わからん。」
聞き耳を立てていたことはバレたくなくて咄嗟に誤魔化す。
『何はともあれ嬉しい、ありがとう!お風呂入ったら食べよ?』
「おう。」
たまには…なんて思い買ってはきたが、こんなに嬉しそうな顔をするなら毎日買ってこようかな…なんて思わないでもないちょろい俺。
240305 たまには