「プレゼント」
私の父親は去年卒寿を迎えた。
せっかくだからきちんとした贈り物をしたいと思い、父に「何か欲しいのある?」と聞くと「ショルダーバッグかなぁ。そんなに重い素材じゃあないやつ」
「そんなので良いの?」「ええよ。ちゃんとしたのだと逆に使いづらいねん」
やっぱりずっと使って欲しいと思うと、必死になって探してしまう。
我が家の経済事情を気にしてくれての事に申し訳なく思いながら探したバッグを素敵な包装紙に包んでもらい実家に宅急便で送った。
後日父からお礼の電話があり「有り難う」の言葉を貰った時、思わず嬉しくて目頭が熱くなった。
今まで親に迷惑かけたり心配かけたりしてきた過去があってそれを乗り越えての今がある。
この先何年いてくれるか分からないから出来るだけ顔を見に実家に帰ろうと思った。
「ゆずの香り」
今日は冬至。お風呂に柚子を浮かべて入ると風邪を引かないとか。
風邪は引きたくないけど、湯船に浮かぶ柚子から醸し出すあの香りは心も身体もリラックス出来て気持ちいい。
我が家では柚子を絞ってそれを味噌汁に入れて飲んでいた。
酸味と苦味が味噌の風味に上手く乗っかって美味しく感じる。
懐かしい味と香りは昔の子供時代を思い出させてくれる。
「大空」
大空を見ているとその果てしない広さに吸い込まれて消えたいと思う時がある。
自分という存在が消える感じはやっぱり「無」なのかな。
それともその大空に溶け込んだ「透明」なんだけとそこに存在している「魂」なんだろうか?
「ベルの音」
新幹線発車のベルの音
3年ぶりの帰省。年老いた両親とそれなりに年をとった私はホームで「又来るからね」。
「元気でね」と寂しげな表情の両親と。とりあえずの別れを知らせる新幹線発車のベルの音。
「寂しさ」いつも当たり前のようにいてくれたから、今更いない事への寂しさは涙が溢れても溢れても止まらない。
泣いて気持ちがスッキリするかと言われたらそうでもなくて。
この悲しみしかない気持ちの持って行き場に困ってる。