スミカワ

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3/31/2026, 3:32:18 PM

私には好きな人がいる。
家が近所で幼い頃からよく遊んでいた。
だから、登下校のときもずっと一緒だった。
しかし、その子は東京の大学に行くらしい。
私はそのことを聞いた時、もう一生会えないと思ってしまった。
なぜなら、私は北海道に祖父がいて、そこで就職することに決まっていたからだ。
そこで、祖父の牧場を継ぐ人がいないから私が継ぐのである。

今日は高校の卒業式。
いつも通り、私はその子と学校に登校をした。
そして、式典が終わり私たちは数人で集まって写真を撮ったり、話したりしていた。
そのときは、その子とあまり話せなかった。
しかし、下校のとき再び2人きりになれた。
いつもと変わりなく、くだらない話で盛り上がった。
すぐに別れは近くなった。
「2人だけでまだ写真撮ってないよね。」
私はその子を引き止めるようにして言った。
「そうだね。」
その子は俯いた。
「2人だけで撮りたいな。」
私は勇気を振り絞って言った。
「たしかに。撮りたい!」
その子は嬉しそうな顔で頷いてくれた。
そして、2人だけの写真を撮れた。
私はそのことにとても満足したが、その子が遠くに行ってしまうことを思い出してまた悲しくなった。
「遠くに行っちゃうけど、また必ず会おう。」
その子はそう言ってくれた。
「うん、必ず。」
私は涙を堪えながらそう応えた。

あの時の涙がまた会えるという嬉し涙だったのか、それとも別れることに対しての涙だったのかは今の私には分からない。

あの日からもう3年程経った。
その子と私は半年に1回程度の頻度で会っていた。
以前一緒に行ったカフェで彼女はこう言っていた。
「私、東京で就職が決まったんだ。これまで以上に会える頻度は少なくなっちゃうかもしれないけど、また必ず会おうね。」
その言葉を聞いて、私は嬉しい反面、悲しかった。
私は、その子が大学を卒業したら地元に帰ってきてくれるとどこかで淡い期待を抱いていたのかもしれない。

それから数年後、彼女は大学時代から付き合っていた男と結婚した。
彼女が結婚してから私たちはしばらく会えていない。
でも、私は写真フォルダを見返す度に思う。
「絶対幸せになってね。」

-叶わぬ恋-

3/29/2026, 4:43:35 PM

大学を卒業し、僕は現在社会人。
そんな僕には、幼稚園からの幼なじみがいた。
奇跡的にも、高校や大学が同じで、学校内で会えば必ず立ち話をした。
社会人1年の秋、僕はその子から二人で飲みに行こうと誘われた。
いつも大人数では遊ぶが、その子と二人で休日に会うのは初めてかもしれない。
そのくらい珍しいことだった。
飲みに行く日の当日。
僕は30分前に集合場所に着いてしまった。
本当は10分前に着こうと思っていたけれど、想像以上に家を早く出てしまったようだ。
僕は、周りを見渡してみる。
ま、まだ来ていないだろうけど。
そう思いながらも見渡していたら、まさかのその子はもう着いていた。
その子も瞳を輝かせて周りを見渡していた。
その姿に僕は少し胸が熱くなった。
「え、もう着いてたの?!」
その子は僕に気がついて咄嗟に声を掛けてきた。
「2人とも張り切りすぎだね。」
そういって笑った。
そして、予定していた飲食店に移動した。
そこはその子が提案した場所で、室内には落ち着いたクラシックが流れていた。
料理は凄く美味しかった。
ワインを片手にその子も満足気な顔をしていた。
少し酔ってきたのだろうか、僕の頬は熱を持っていた。
そのとき、その子はふと呟いた。
「実はさ、海外で新しい仕事をすることになったんだ。」
僕は動揺が隠せなかった。
ずっと今まで通りのままで入れると思っていたからだ。
「やりたいことがあって、それがアメリカでしかできない。」
その子は続けた。
僕は応援したいけど、素直に応援できそうになかった。
「そうなんだ。良かったね。頑張ってね。」
僕はぶっきらぼうになんとかそう応えた。
「ありがとう。」
その子は言った。
帰り道、その子は僕に
「ばいばい。」と手を振った。
その子はいつも「またね。」と言ってくれるのに、
そうは言ってくれなかった。
なんだか寂しげな顔をしていた。
僕は、大きい声で叫んだ。
「またね!!!」
その子は、ニッと笑って右手の親指を立てていた。
きっとその子はもう僕とは会えないと思って、最後に別れを言ってくれたんだよな。僕はその夜思い切り泣いた。

その子はアメリカに旅立った。
飛行機が空を飛んでいる。
そのとき、僕はふと思うことがある。
「あの子が乗っていたらいいのに。」

今年、高校の同窓会があった。
あの子の姿を探したけど、見つからなかった。
その時、誰かが僕の肩を叩いた。
ふと振り返ると、そこにはあの子がいた。
「また逢えたね。」
彼の顔は、僕たちが出会った時の面影を残したまま、また少し大人になっていた。