スミカワ

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大学を卒業し、僕は現在社会人。
そんな僕には、幼稚園からの幼なじみがいた。
奇跡的にも、高校や大学が同じで、学校内で会えば必ず立ち話をした。
社会人1年の秋、僕はその子から二人で飲みに行こうと誘われた。
いつも大人数では遊ぶが、その子と二人で休日に会うのは初めてかもしれない。
そのくらい珍しいことだった。
飲みに行く日の当日。
僕は30分前に集合場所に着いてしまった。
本当は10分前に着こうと思っていたけれど、想像以上に家を早く出てしまったようだ。
僕は、周りを見渡してみる。
ま、まだ来ていないだろうけど。
そう思いながらも見渡していたら、まさかのその子はもう着いていた。
その子も瞳を輝かせて周りを見渡していた。
その姿に僕は少し胸が熱くなった。
「え、もう着いてたの?!」
その子は僕に気がついて咄嗟に声を掛けてきた。
「2人とも張り切りすぎだね。」
そういって笑った。
そして、予定していた飲食店に移動した。
そこはその子が提案した場所で、室内には落ち着いたクラシックが流れていた。
料理は凄く美味しかった。
ワインを片手にその子も満足気な顔をしていた。
少し酔ってきたのだろうか、僕の頬は熱を持っていた。
そのとき、その子はふと呟いた。
「実はさ、海外で新しい仕事をすることになったんだ。」
僕は動揺が隠せなかった。
ずっと今まで通りのままで入れると思っていたからだ。
「やりたいことがあって、それがアメリカでしかできない。」
その子は続けた。
僕は応援したいけど、素直に応援できそうになかった。
「そうなんだ。良かったね。頑張ってね。」
僕はぶっきらぼうになんとかそう応えた。
「ありがとう。」
その子は言った。
帰り道、その子は僕に
「ばいばい。」と手を振った。
その子はいつも「またね。」と言ってくれるのに、
そうは言ってくれなかった。
なんだか寂しげな顔をしていた。
僕は、大きい声で叫んだ。
「またね!!!」
その子は、ニッと笑って右手の親指を立てていた。
きっとその子はもう僕とは会えないと思って、最後に別れを言ってくれたんだよな。僕はその夜思い切り泣いた。

その子はアメリカに旅立った。
飛行機が空を飛んでいる。
そのとき、僕はふと思うことがある。
「あの子が乗っていたらいいのに。」

今年、高校の同窓会があった。
あの子の姿を探したけど、見つからなかった。
その時、誰かが僕の肩を叩いた。
ふと振り返ると、そこにはあの子がいた。
「また逢えたね。」
彼の顔は、僕たちが出会った時の面影を残したまま、また少し大人になっていた。

3/29/2026, 4:43:35 PM