よあけ。

Open App
8/6/2024, 6:56:57 PM

:太陽

生きるよ、ちゃんと生きてくよ。苦しくても、吐いても、辛くても、泣いても、それでも生きるのをやめられないから、僕はちゃんと生きていくよ。暗がりでうずくまりながら太陽を求めて手を伸ばして生きていくよ。

泣き喚いても、叫んでも、落ち込んでも、全部僕だから。ちっぽけでも、ボロボロでも、それでも希望を探してるから、楽しい気持ちになれることを探してるから、抜け出そうと藻掻いてるから。苦痛でも希望を探して歩いてく。上手く生きようとすることを諦めて、手放して歩いていく。

どんな僕でも僕だから。僕の気持ちは他人も僕自身も否定できないから、どんなに辛くても生きていく。どんな僕でも僕でしかないから。歯を噛み締めるのも、暴力的なのも、人を刺したいのも、僕自身を攻撃するのも、赦したいのも、赦されたいのも、優しくなりたいのも、優しいのも、柔らかいのも、脆いのも、破壊的なのも、認められないのも、どんな僕でも僕だから、僕でいいから。

後がなくても、茨の道でも、どんな道でも僕の人生だから。

いつか死ねるその日まで僕はちゃんと歩いてく。
いつか死ぬその日まで太陽の光を浴びて生きていく。

8/4/2024, 3:13:23 PM

この作品には以下のような内容が含まれています。
・暴力的な描写や身体的な苦痛
・精神的な苦痛やトラウマに関する内容

:つまらないことでも

青い色した丸型のデカいゴミ箱の蓋を開けると獣臭がした。ゴミ箱の中にいるお前をただ見詰めるしかできなかった。

――あ……はは、きっと近いうちに捨てられるんだと思う。僕どうなっちゃうんだろ……。

――どうもしねぇ、さっさとソイツから離れりゃいいんだよ。捨てられる前に逃げろ、そしたら匿ってやれる。

そんな会話をした翌日から音信不通になった。こんなゴミ溜めで異臭が漂う中、ゴミ箱ん中詰められて、何やってんだ。胎児のように丸まっているが足が見えない。膝から下はどこに行ったんだ。右腕も無い。どこだ、どこに、そもそもお前、生きてるのか。なんで逃げなかったんだ、なんでこっちに来なかったんだ。ヤベェ奴から逃げて隠れて安静にしてりゃ傷も癒えて元気になって、したらそのうち堂々と外出れるようになるはずだったろ。捨てられるって比喩だろ、なんで本当にゴミ箱に詰め込まれてんだよ。なんでお前は、早く連れて帰んないと、なんで

「ねえってば!!」

「あ!?」

体が跳ねた。なんだここ、世界が横向き……いや違う、自分が寝転んでいるのだ。

「酷いうなされ方してたから起こしちゃった、ねえ、大丈夫? あ、お水持ってこればよかったね、すぐ取ってくる!」

肩に置かれた右手、歩いていく姿、手も足もちゃんとくっついてる。

「お前、生きてるよな、手足もちゃんとあるし……」

「手足? 幽霊じゃないし生きてるよ、大丈夫……もしかしてまたあの夢?」

水を受け取って落ち着かない呼吸ごと腹の中に流し込んだ。気持ちが悪い。部屋に臭いものなんてないのに、鼻の奥でゴミ溜めの臭いがする。夢の中で嗅いだ臭いってのを覚えてるのも奇妙なもんだ。

「なんでだろうな、ずっと見る」

「大丈夫、現実じゃないよ。だってほら見て、こんなに元気に生きてるし!」

「そうだな……夢だ。お前がゴミ箱に入ってるところなんて一度も見たことねぇのに、はは、ほんとなんでだろな。見たことあるような気すらしてくんだ」

「気のせいだよ、大丈夫、大丈夫……」



ゴミ箱に入っていたのは僕じゃなくて君だ。

君と僕はご近所さんだったから小さい頃から一緒に遊んでいた。その日はインターホンを押しても「今日は熱を出してるから遊べないの、ごめんなさいね」と言われたから一人で遊んでいた。晴れていた空が今にも雨が降り出しそうな黒い雲に覆われて家に帰ろうとしている途中、ゴミ箱の中に入ってる君を見つけた。偶然だった。ポツンと置かれた丸くて大きな青いゴミ箱の中身が気になって、いたずらに開けてみただけだった。引っ張っても開かず諦めかけたとき、その頃親に教えてもらったペットボトルのキャップの開け方を思い出した。大きな蓋を半回転するとロックが外れて蓋が空いた。ワクワクしながら中を覗いたら君が入っていて、幼い頃だったからてっきりかくれんぼでもしてるのかと思った。それにしては半袖半ズボンから除く皮膚は傷だらけでアザができているし、具合が悪そうで、というかさっき熱を出してるって聞いたのに変だと思って直ぐに家に帰って母に伝えた。母の顔色も悪くなってすぐに付いてきてくれた。当時は理解できなかったが、虐待だったらしい。

胎児のように丸まって暗いゴミ箱の中に閉じ込められていた。今思い出しても躾というにはあまりにも痛々しくて、暴力的で、ただただ辛かっただろうなと心を痛めることしかできない。

己の過去を僕に投影して夢を見ているらしかった。それに気づいたのは本当に最近だ。週末定期的に部屋に遊びに行って夜通しゲームをしたり映画を見たりするほど仲は良い。僕はよく寝落ちしてしまうが君が眠っているところを見たことがなくて、聞けば「ショートスリーパーなんだ」と言われて「そうなんだ」で済ませてしまった。最近は少し眠れるようになってきたと言われ、変だなと思って事情を聞いた。

「ゴミ箱の夢を見るんだ」「こんな経験したことないのに、やたらリアルで気味が悪いんだよ」「正直怖い。蓋を開けてお前が死んでたら、お前が死んだら、いよいよ孤独になっちまうって」「お前が『捨てられる』って言ったのが妙に印象的だったんだ。それで夢に出てんじゃねぇかな。でもお前のせいじゃないんだ」

確かに前ちょっと厄介な恋人がいて、捨てられるだなんだと傷心したことはあった。僕がDVされてたから当時の僕は気が狂ってたんだ、捨てられるも何も僕が依存してただけで……とりあえず結果的に円満……でもないけど別れられたし、それはちゃんと伝えた。君に匿ってくれるって言われて僕も僕で甘えてしまっていたんだと思う。見捨てられたくないとか、でも怖いとか、嫌いじゃないけど離れたいとか、やっぱり嫌いかもしれないとか、さんざん吐露した。そんな僕の言葉と君の記憶が紐付いてより夢を複雑化させてしまった。

君は虐待の記憶がすっぽり抜け落ちている。だから夢を見ても自分のこととは思わないが、体験したことを体が覚えていてパニックを起こす。自分の脳と体が繋がっていない感覚は恐ろしいと思う。どうするのが正解なのか僕には分からない。無理に辛い記憶を思い出す必要はないんじゃないかとか、思い出してしっかり治療したほうがいいんじゃないかとか、しかしどれを選んでも君は傷つくだろう。ならばこのまま夢の話にしてしまって、僕を被害者だと思ってもらって、僕に投影することで巡り巡って自分自身を癒やすことに繋がれば、まだマシなんじゃないか。

一緒に過ごして楽しいことや面白いことを沢山すれば傷を癒すことができるんじゃないか。派手なことじゃなくてもいい。些細でつまらないことでも一緒にいれば孤独感だって少しはマシになるんじゃないか。恐怖や痛みより多く幸せを積み重ねれば、君だっていつかぐっすり眠れるようになったり、したら、いいな……。難しくても、少しでも楽に。

「気のせいだよ、大丈夫」

この言葉がもし呪いになっていたら……のろいでもまじないでもどちらでも良い。君が眠れるようになれるならどちらでも。

8/3/2024, 2:47:55 AM

:病室

「どうしたら赦してくれる、どうしたら償える、どうすれば良い」

虫が良いことを言ってるのは自覚している。むしろ殴られるか詰られることを覚悟していた。なのにお前はそんなことすらしなかった。

「いじめた奴を抱きしめるなんて神経がイカれてる」

そう言ったらもっと強く抱きしめて笑ったんだ。やっぱりずっとお前のことなんか分からなかった。どうしようもなく 自分の感情が理解できなかった。お前に対して何を感じてどういう思いを抱いたのか分からなくて暴力になった。一番最初、始まり、優しくされたのに腹が立ったことを思い出した。今は腹が立つ思いなんて微塵も湧いてこなかった。



抱きしめたとき「イカれてる」って言われた。そんなにイカれてるかな。だって泣いてたんだ。助けてあげなきゃって思った。君の名誉に関わることだろうから言っておかなきゃいけないと思うんだけど、可哀想だから抱きしめたんじゃないよ。ただ少しでも楽になってほしかった。痛みを一人で抱えるのは辛いから、ここにいるよって。君に一人になってほしくなかったんだ。

心から後悔して謝罪したとしても過去が消えるわけじゃない。「殴ってごめん、暴言吐いてごめん、いじめてごめん」と言っても過ちが無くなるわけでもないし相殺されるわけでもない。それでも君がぐっちゃぐちゃな顔して「ごめん」って言ったんだ。どうしようもない感情に駆られてぐちゃぐちゃになって苦しんだんだと思う。されたことを忘れることはないし、されたことを「良いことだった」とは言えない。でも苦しんでるなら君を抱きしめたいと思った。

「自分が赦されて楽になりたいがために『ごめん』って言ってるんだ、謝罪するなんて卑怯者だ」と言う人もいる。その意見も間違ってはいないと思うし、実際そんな思いで「ごめん」と言う人だって沢山いるだろう。でも「ごめん」って言葉がないと相手がどんな風に考えているかなんてこちらには分からない。伝わってこない。君がちゃんと口にしてくれたから、君が過去を考えていることを知れた。誰だって赦されたいよ。苦しんでるならそれが償いだと思う。

こっちだって君が「ごめん」って言ったから赦してもらえたような気持ちになった。何かしでかしたから君を怒らせたんじゃないかって思ってたんだ。例え第三者から見てこちらに落ち度がなかったとしても、君が傷ついたなら傷つけたってことだから謝りたかった。でもこんなこと言ったら君はより苦しんだ。「なんでお前が謝るんだ」って言て泣いた。まるでお腹からナイフが飛び出していて、抱きしめれば抱きしめるほど君を刺しているみたいだと思った。傷つけたくないよ。でも、その痛みが君の償いになるんだろうから、安易にやめてなんてあげられない。「赦してあげる」なんて簡単には言わない。楽をさせることもしない。ちゃんと「ごめん」に痛みを伴わせて、ちゃんと苦しんだ方がこういうのは良いんだと思う。

嫌われてると思ってたんだ。でも嫌われてなかった。なら戻れるって……もう一度やり直しができるって言うのかな。一緒に遊んでた頃みたいになれるならなりたいよ。いがみ合って憎んでるよりそっちのほうがずっと良い。それをするのが「イカれてる」って言うなら、イカれててよかったって思うよ。

7/31/2024, 3:31:29 AM

:澄んだ瞳

君は多くの光を瞳孔に集め、キラキラした景色を見ているんだろうか。

彼女は日傘を後ろに倒して上機嫌にはしゃいで笑っている。地面には柔らかい草が広がり、色とりどりの花が花弁を広げ、彼女と共に笑っているかのように小風を受けて首を揺らしていた。第一ボタンまで留られた真っ白なブラウスが春の日差しを浴びて閃き、ふんわり広がる青いスカートが大きく揺れて、後ろで結ばれたリボンが風に乗って見え隠れしている。服すら陽気で朗らかであった。

彼女は笑っている。濁りを知らない透き通った美しい目、澄んだ瞳で。その目で君はこの景色を、この世界を見ているのか。そんなに楽しく見えているのか。

――君の目は美しい。美しくて、いっそ醜い。

ハードダーツを手に取る。無意識だった。金属の先端を瞳目掛けて思い切り振りかぶる。想像より硬い感触、滲み出す血、どこまでも刺さっていくダーツ、笑顔の君。

潰した。醜い嫌悪の対象だからその目を潰した。どこまでも澄んだ汚れを知らない脳内お花畑のイカれたクソ女の目を潰してやった!!!!

ダーツが刺さったぐちゃぐちゃの写真、所々凹んだ床、傷だらけで血が出ている己の手の甲を見て清々しさと苛立ちと憎しみと喜びが入り交じる。取り敢えず手が痛かったから絆創膏を探した。

昔撮った写真はもうデジタルには残っていない。プリントして飾ってある分で最後だ。傷をつけてしまえば二度と彼女を見ることができなくなってしまうということ。これでまた一枚消費した。徐々に部屋から君が消えていく。これでいい、これでやっと満足できる。

ぐちゃぐちゃで血の付いたゴミを拾い上げてゴミ箱に投げ捨てた。

7/29/2024, 12:50:48 PM

:嵐が来ようとも

125作品消した。だっていらないし!
如何あがいても苦しいことに変わりないし、テレビ付ければ嫌なニュースにネットは争いごとばかり。でもやっぱり笑うことだってあるから生きてる。どうしようもないことはお薬飲んでおやすみ!気にしてたってやってられない。うざかったら殴って嫌だったら蹴飛ばしてそれでいいや。あはは!本当に駄目になるまで気楽に泳いで浮かんでるよ。駄目なら死んじゃえばいいだけ!終わらせるのは簡単だよ。まだやったことないこと色々あるし、行ったことない場所もいっぱいある。ああ!いつかアニメ化されたらそれ見たい!コラボも秋にあるし、イベントもあるしまだまだ楽しいことで溢れてる。それまで耐えられなかったらいぇーいって死んじゃえばいい。はは!人生楽勝〜!

自分は自分のゴミ感性が嫌い!嫌いだなんて思ってないって思ってきたけどやっぱり嫌いだ!だってゴミカスだし。ろくでもないものしか生み出せない。使えない脳みそも嫌いだ。あ〜あ!ずっと嫌いだったんだよ。でもごくまれにごくたまに超好みで大好きなものを生み出せたらそれでオールオッケー。鼻血だって好きなだけ出せばいいし好きなだけボコボコにすればいいし首だって締めていいよ。でもゲボは勘弁してよね。あと腹痛も嫌い。

どうせ全部紛い物だしどれでもいいしなんでもいいよ!

今更嵐が来たって既にズタボロだし、マイナス×マイナスでプラスだ。好きなだけ痛めつけてくれて構わない。いやそれは無理かも!刺されたら刺し返すし。もういいんだ、お利口で賢いのを気取ってんのも疲れた!最初から馬鹿なんだから無理だよ〜。甘えただし怠け者だし人のことなんてホントは心底どうでも良いのさ。誰かが体調悪そうでも勝手に悪くなってればいいと思ってたし誰かが泣いてても勝手に泣いてればいいじゃないかと思ってるやつだったんだ。気に掛けるフリしてても無理だったね!勝手に苦しんどきゃいいよ。私もアンタもそれぞれ薄情者なんだ。だって内心お互い自己中だし。

他人の領域に侵入し過ぎなんだよ。お前はお前で僕は僕だ。どう生きようが勝手だろ?お前がどう生きようとこっちにはなんの関係もねーぞ。逆も然りだ。なんで口挟むんだ?「努力しろ頑張れ迷惑かけるな」ってそんなのアンタがそう思い込んでるだけだろ?だから他の人がそれをやってたら気に触るんだ。コンプレックスなんだよ。笑えるな。楽しいな!

好きなだけ道化演じときゃいいよ。好きなだけ偽っとけばいいよ。それをあたかも「可哀想」みたいな被害者ヅラで語ってんのは心底お前最高だよ!ありのままで生きられたらそりゃさぞ幸せだろうなぁ〜。でもそんな出来た人間じゃないから偽ってきたんだろ。しゃーないな。そんなもんだよ。よっぽど辛いならやめれば?やめられないなら他の方法探せばいいよ。それもこれもヤダヤダできないって赤ちゃんみたいに暴れてさ。おむつくらい自分で変えられるよ。

人の顔色も基本興味なかったのに気取ったばっかりに苦しむ道を自ら選んでんだよ。もう全部今更だし全部手遅れだしもういいよ〜大丈夫!もう既に人生の意味はないし生きてる価値もないよ。だから気楽にしてればいい。「だからゴミはゴミらしく生きてるでしょ?」って言ったんだ。その言葉が僕は大好きだよ。それに他人からゴミだって思われても僕は僕の人生がゴミだとは心から思ってない。でも自虐的に思ってると人から言われてもショック受けないし。ああでもでも!実際他人の人生よりはゴミカスだと思ってるよ。ん〜矛盾してるけどそれでいいの!他人のことはぶっ刺したいけど優しくしたいとかって矛盾抱えてるのがデフォルトだよ。変なこと言ってるほうがいいよ。誠実な人って思われたらちょっとでも失敗したらガクンと減点されるけど、最初から駄目なやつだって思われてたら減点は………あるか!でもいい。私は誠実じゃないしお利口じゃないし賢くないしわがままだしひねくれてるしってもう今更だね。

もう既にゴミカスで駄目駄目な人間なんだし、今更もうなんにも命以外捨てるものないよ。無敵の人ってこうやって製造されてんだな〜。あ〜気楽だ!自分の人生を気ままに歩める!

Next