お題:花畑
花畑で日傘を差すあなたを写真に収めたいけれど、ックション!……どうも花粉にやられてしまって、ブレブレになんです。ロマンチックな写真とは、程遠い、っくション!
お題:空が泣く 二
水分を抱えきれなくなったのかな。
空っぽだから水分で埋めたくなったのかな。
ゴロゴロ唸ってるのは機嫌が悪いのかな。
それともこっち見てよ!の癇癪かな。
大事な資源だから恵みなんだろうね。
そら、泣いてたって傘は差してあげられないね。
■
あなたの涙で皮膚が濡れました。
あなたの涙で喉が潤いました。
あなたの涙を飲んだんです。
恵みの水。
しょっぱいですね。
美味しいですね。
どうぞ、もっと泣いてください。
お題:夜明け前
夜明け前、無名だった。
気づかれたくない。放っておいて。塞ぎ込みたい。何も知りたくない。隠してほしかった。覆い被さってほしかった。だから夜が好きだった。怖いものから守ってくれる。だから夜明けが怖かった。暗闇が守ってくれなくなるから。
いつものブランケットにくるまって、いつもの匂いを嗅ぎながら、暗闇の中で怖いものから隠れていた。夜明けが嫌いだ。安心から遠ざけようとする。夜明けが嫌いだ。ブランケットを引き剥がそうとする。夜明けなんて来なければいい。夜明けなんて大嫌いだ。いつもいつもいつもいつもいつも押しつぶしてくる。夜明けが僕のことを嫌いだから僕も夜明けが大嫌い。
「ほら」
ブランケットの中に手が突っ込まれ、腕を掴まれ、引っ張りだされた日のことをよく覚えている。嫌だ嫌だと駄々をこねた。それはもう激しく駄々をこねた。「嫌だ絶対行かないブランケット返して」と喚く私を望みの通りほったらかして外へ引っ張って行った。
息が白くなる寒い日のことだった。
促されるまま顔を上げた。
ぼんやりと光芒をなぞる。
その先、黄金に煌めく太陽があった。
ちか、ちか、きらりきら。
東の彼方から広がる淡い金のベール。
輝く星々を覆い隠し、月を脱色し
朝は黒へと射し込んで
紺へ、紫へ、青へ、空色へと薄めてゆく。
夜明けだ。大嫌いな、僕を連れ去る。夜明け。
震える指を抱きしめた。
夜明け前、私は何も無かった。
お題:喪失感
泣きたかったわけじゃない。
留まってほしかったわけでもない。
引き止めてほしかったわけでもない。
連れてってほしかったわけでもない。
攫いたかったわけでもない。
花で埋めたかったわけじゃない。
洗い擦っても取れない掴み掴まれたその太さ。
服に縋って嗚咽する。
お前の匂いを知っていた。
お前の重さを知っていた。
お前の味を知っていた。
立ち尽くしては零れ落ちてく。
お題:世界に一つだけ
口にするだけは簡単。
一般人に証明は不可。
「必ず絶対」は困難。
世界規模の割に陳腐。