【君がいれば良いのに】
この前、親に「結婚はまだか」と迫られた。
もうすぐ30歳になるから、親も焦っているのだろう。
気のせいだろうか、最近は特に言われているような気がする。
親だけじゃない、
片手で数えられる程度しか会ったことの無い親戚にまで言われた。
ソファに座って考え事をしていると、猫が膝の上に乗ってきた。
「みゃあ」と鳴く君を撫でた。
毛がふわふわしている。
私は、君がいれば良いんだけどな。
君と一緒に暮らせるだけで、十分幸せなんだけどな。
【マジックアワー】
この間、午後5時半だろうか、不意に見上げた時の空がやけに美しく見えた。
地上の果ては派手な橙で、黄色、緑と移り変わり、夢みたいな青色を経て紺色へと変化していた。
そしてぽつんと1番星が輝いていた。
全てを照らすような星。
ああ、この日の為に生きていたのか、と思わせられるような空だった。
【中宮雷火が2024年を振り返る】
こんばんは、中宮雷火と申します。
ペンネームです。
今日のテーマが「1年間を振り返る」なので、2024年を振り返ってみたいと思います。
とはいえ、このアプリで投稿を始めてから半年にも満たず語れることが少ないので、中の人のプライベートな話がメインになります。
今年は年始から色々な出来事がありましたね。
「濃い」という言葉で表せないし、表してはいけないように思います。
私個人の話になりますが、今年から新生活が始まり、環境の変化が大きい1年でした。
それに伴い、去年まで上手くいっていたことが上手くいかなくなり、「自分の価値って何だろう?」と行き詰まることもありました。
考えても仕方の無いことなんですけどね。
今年、色々な人との関わりを通じて思ったことがあるんです。
それは、「孤独な時ほど、誰かと話すべき」ということです。
誰しも孤独を感じるときってあると思います。
私も例外では無いんですけど、孤独を感じるときって「私に味方なんて居ない」「寂しい」「もう消えてしまいたい」と思うものです。
そういう時って、誰かと話をしたくなくなったりして、ますます孤独になりがちだと思うんです。
だからこそ、自ら人との繋がりを求めて動くべきだな、と感じました。
そうして誰かと対話して、「あ、自分は今楽しいな」と思えたら良いと思います。
(そこに至るまでの時間が長い時もあるし、短い時もあるんですけどね。
でも、誰かといればいつかは孤独が解消されると思います。)
私は人間生活20年未満の新人なので、小説の中身も気づくことも、何もかも未だ低レベルです。
でも、仕方ないことだと思います。
人生の経験値が足りていないので、コツコツ貯めていきます。
来年の目標はまだ決めていないんですけど、「頑張りすぎると体をぶっ壊す」ということを学んだので、来年は休憩を適度に取ることを意識しようと思います。
なんかもう話にまとまりが無いような気がするんですけど、中宮雷火の2024年を断片的に記録できて良かったと思います。
来年の今頃には、小説家としての振り返りもできればと思います。
それでは皆さん、良いお年をお迎えください。
(余談)
明日は必ず小説書きます。
って書いときながら明日何も無かったらごめんなさい。
【サンタクロースの存在証明】
クリスマスイブ。
冷え込んだ街は、妙にカップルが多い。
ショーウィンドウを眺めるカップル、
記念写真を撮るカップル、
楽しそうに話しながら、時折笑顔を零すカップル。
家族連れも多いみたいで、小さい子供が両親の手をぎゅっと握って、まだ小さい足でとことこ歩いている。
それに対して、俺は一人だ。
マフラーも手袋も着けずに一人で街を歩いている。
誰かとすれ違う度に、恥ずかしくてたまらない。
楽しそうに話すカップルとすれ違うと、自分が一人で歩いているのが惨めに思えてくる。
俺は、独りだ。寒い。手を擦り合わせる。
「サンタさんにプレゼントおねがいしたぁ!」
前を歩く子供が両親に話している。
「何をお願いしたの?」
「パンダのぬいぐるみぃ!」
いいなあ、と思った。
いいなあ、プレゼントが貰えて。
大人は貰えないんだから。
というか、サンタクロースの存在を信じて疑わないのが子供らしい。
いや、子供にとってのサンタクロースは両親か。
子供にとっては、存在しているのだ。
家に着いてポストに手を突っ込むと、何かが入っているのに気づいた。
見てみると、不在票。
差出人は、母さんからだった。
もう3年くらい会ってない。
今年の盆は、顔くらい見せようと思ったのだけど、夏風邪でダウンしてしまい、結局帰省しなかった。
何だろう、いきなり。
翌日。クリスマス当日。
俺は宅配便の再配達を依頼し、荷物を受け取った。
少し小さめの段ボールをそっと開けると、中には青いマフラーと紺色の手袋が入っていた。
俺はそれらをゆっくりと手にとった。
ふわふわしている。
そして、マフラーの下にはメッセージカードが入っていた。
クリスマスプレゼントです
体調に気をつけて
俺は再びマフラーと手袋に目線を戻した。
少しだけ高級そうな手袋。
地元のデパートで買ってくれたのだろう。
マフラーは、きっと母さんお手製だ。
母さんは昔から編み物が得意だった。
ああ、なんかあったかい。
俺はそれらを大切に抱きしめた。
しばらく見なかった感情が底から沸き上がる。
サンタクロースは、こんな俺にもいるんだ。
俺はマフラーと手袋を着けて外に出た。
ちょっとそこのコンビニまで、ホットコーヒーを買いに行くつもりだ。
自動販売機じゃ、距離が近すぎる。
だって、この温かみを長く感じられないじゃないか。
【初雪】
「お母さーん、今日って雪降ると思うー?」
私は窓に顔をくっつけて、外の様子をまじまじと見た。
「ここは岡山だからねー、
降るかどうか分かんないよ」
お母さんはキッチンで朝ごはんを作りながら答えた。
「今日こそは、降ってくれたら良いのになあ…」
私が住む岡山は、「晴れの国」として有名だ。
なので、雪は滅多に降らない。
積雪なんか、10年に1度レベルだ。
だから、私は冬になると「雪よ、降ってくれ…!」と祈り続けるのだ。
それは近所に住む子たちも、きっと同じだろう。
ある日、起きると雪が積もっていた。
「お、お、お母さん、雪積もってる!」
私は珍しい光景に興奮した。
白い息で、窓が白くなる。
「お母さん、遊びに行ってくる!」
「気をつけるんだよー。滑らないようにね。」
マフラーと手袋を着けて勢いよく外に出ると、近所の子たちは雪合戦を始めようとしていた。
「ねえ、私も混ぜて」
「あ、ちょうど良かった。人数が足りなくて困ってたんだよ」
「一緒に遊ぼ!」
こうして、滅多に出来ない雪合戦をしたり、
雪でうさぎを作ったりした。
私は大学生になり、上京することにした。
私は楽しみで堪らなかった、
だって東京は岡山よりも雪がよく降るのだから。
11月になった。
空気がピンと張り詰めていて、冬の訪れを感じる。
寒いな、なんて思いながら信号が青になるのを待っていると、手に妙な冷たさを感じた。
上を向いて見ると、
雪が空から降っていた。
初雪だ。
初雪って、こんなに早いんだ。
私は目を輝かせた。
これが積もったなら、どんなに楽しいことが起こるだろうか。
私は今にも舞い上がりそうな気分だった。
「うわ、雪か。滑るから嫌なんだよなー。」
隣から声が聞こえた。
左を向くと、1組のカップルが話しているのが見えた。
「積もったら嫌だよね。歩きづらくなる。」
「電車止まったらヤバいんだけど。
明日、1限からなのに。」
右からも声がした。
「積もったら雪かきしないとじゃん。
ダルいわ。」
その時、私は理解した。
ああ、雪というのは、東京の人にとっては厄介な存在なのか。
私みたいに、目を輝かせる人は珍しいのか。
私は俯いた。
雪は、厄介。
厄介な存在。
信号が青になり、人が一斉に進みだした。
私も歩き出した。
雪なんかに、目もくれずに。