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11/1/2024, 11:45:54 PM

永遠に


震える声で話しかけたあの日のことを覚えていますか?

煌めくパーティー会場の片隅に佇む地味で垢抜けない私を選んでくれた貴方

着飾った女の子達の羨む視線

見つめあい
跳ねるステップ
はずむ息
ドレスの裾を翻し
揺れる2人

あの日が私のラストダンスになりました

貴方の手の温もりは永遠に忘れません

結ばれなかった今世の恋

来世は鮮やかなドレスを着こなす素敵な女性になってみせます

そして貴方を見つけたら
堂々と胸を張って一言


Shall we dance?



end

10/31/2024, 10:52:33 AM

理想郷


どうにもなんないけど
ジッとしてるのもナンだから
とりあえず働く けど
どうにも上手くやれなくて

神経ばっかすり減らして
言いたいことはヘラヘラごまかして
とりあえず謝っちゃうクセ直したい
思ったそばから
「すみません」

ハンドル握った途端に
あれこれ吐き出す
孤毒なオンナ

「理想郷」はどっちですか?
ってゆーか ほんとにあるの?それ

いいや
やっぱ
ヘラヘラしてよう


・・・ーーー・・・


end

10/30/2024, 10:29:35 AM

懐かしく思うこと


この時期歩いていると、どこからともなく金木犀の香りがしてきます。

突然ふわっと香るから、なんだかサプライズされたようで嬉しくて、ニオイの発生元は何処か探してしまいます。(表現方法合ってますか?)

幼い頃は金木犀に限らず、いい匂いの花を見つけると摘んで、水を入れた小瓶に浸し、自家製の香水を作っていました。

たいして匂わないそれを纏っては少しお姉さんになった気がして上機嫌になったものでした。

可愛い…私。

それが今や……
寝不足と激務に追われ頭が沸騰しそうになったり、夜中にTSUTAYAのDVDを2泊延滞していることが判明し頭を抱えたり、翌日店員から1000円超えの延滞料金を告げられ絶望したり、おおよその計算で(イケるだろう)と思った買い物かごが余裕で予算オーバーの数字を叩き出して白目になったり。

人って変わるもんですねぇ。

いやどうせならいい方に変わりたいわ!

end

どうでもいいことですが、古いイヤホンが調子悪くなってしまって。新しいイヤホンをどれにしようか検討中。
楽しみ😊









10/29/2024, 10:47:11 AM

もう一つの物語


「ただいま」
「おかえりー」
「あ、いい匂い、何これ?」
「でしょ?今日はあなたの好きなお鍋にしたよ、早く食べよう」
「その前に、はいコレ」
「またたこ焼き??飽きたってば」
「子ブタちゃんは文句が多いなあ」
「ブヒー」

今の仕事につかなければ、あの頃のように心穏やかな日々を送れたのかな。結婚して子供も出来て、私と彼のもう一つの物語を紡いでいけたかもしれない。
「真面目に職安通えばよかった」
ため息、なんて嘘。彼と出会えたのは今の仕事のおかげだから。

同期の彼はライバルから始まり、仲のいい友達になった。そこから恋人になるのに時間はかからなかった。


「はぁ…ちょっとやられちゃったな」
傷口を押さえる。
今回のターゲットは超優良企業トップに君臨する敏腕社長。しかし、あらゆる悪事に手を染める裏の顔を持つ男だ。
あの人が命懸けで手に入れたデータは全て頭に入れた。
ただ私が行く直前、少数だが精鋭の護衛を増やしたことはそこになかった。

「平気平気。こんなのかすり傷よ」

任務は完了。
後は彼の待っている我が家へ帰るだけ。
「ここまで離れたらいいかな」 
味方も近くまで来ているらしい、少し休もう。
暗闇の一角に座り込む。冷たいアスファルトが心地いい。

疲れた。帰ったら彼に抱きつこう!思いっきり甘えてたくさんキスもして、いっぱい愛してもらおう。早く会いたい。

任務完了祝いの意味も込めて晩酌もしないとね。
なんだか今日は映画が見たい気分。とびっきり甘々の恋愛映画。彼の嫌そうな顔が思い浮かぶけど、今日はわがまま聞いてもらおう。
飲みながら映画鑑賞だ。
とくれば、晩酌のお供が必要ね。

「たこ焼き…買って帰ろ…ぅ」


もう少し、もう少しだけ、休んだら…ね…




end



10/28/2024, 11:54:21 AM

暗がりの中で


私は37歳独身。
中小企業で事務職に就く普通のOLだ。付き合っている人はいても、いつも長続きしない。
結婚なんてとっくの前に諦めてる。

そんなある日突然、ポストに手紙が届くようになった。送り主の名は書いていない。不審に思い、警察に届けようかと思ったけど中身を見て思い止まった。

あの人の筆跡によく似た文字だったから。10年前に突然いなくなってしまった彼。
私が唯一、心から愛したあの人。

恋文と受け取れるような時もあれば、どこかの風景をただ描写していたり、不思議な言葉を並べただけの走り書きに近いものもある。
書かれた文字は歪んでいたり、かすれていて読みにくい箇所が多い。

本当は誰が書いたのかわからないそれを何度も何度も読み返した。全て暗記するほどに。

読むたびにあの人と過ごした日々が甦ってくる。そして、彼に会いたくて胸がギュッと締め付けられるのだ。


毎日手紙が届くようになって半年程過ぎた日のこと。
ある晩、近くの路地裏の暗がりの中にうずくまる人影を見つけた。


「おかえり」

「たこ焼き買ってきてくれた?」


男は黙って俯いている。
クシャクシャになった紙切れを手渡される。手紙と同じ筆跡のその文字は短い詩が書かれてある。


「見せて、傷口。」


大丈夫
私があなたを死なせやしない。



end

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