Karin

Open App
6/4/2025, 5:52:12 PM

「独占欲か」
月もてっぺんに上がりきり、やや傾きだしたかと思われる頃、隣に横たわる男がそう呟く
思わずうだるような体を上げて、声の方を見る
顔にかかるすこし長い前髪をなんとなく払いのけると、普通の人には珍しい青色の少し微睡むような緩んだ目だけがこちらを追ってきた
普段は左右に流してしっかり固めてる姿しかしてないので、本人の気が緩む姿はこんな時でもないと見れない
私以外の誰も見ることのない、見せたくない姿
それこそ
「今のあなたのように?」
「お前もな」
とからかってみると、珍しく気が昂ってるのか普段の姿には似つかわしくない冗談とも言える返事が返ってきた
なんとなくそれが可愛くてもっと見ていたいと顔に手を立てて髪を帷のように垂らして蔽いかぶさる
たくましい肉体はそれだけでもびくともしないが、普段は位置が逆なため多少不意をつかれたような顔をされた
「こうしていると」
さらに唇が触れるくらいまで顔を近づけ
「貴方が私の中に閉じ込められているみたい」
「閉じ込められるのも悪くはない」
そう返されこちらに手を伸ばされる
「だが、閉じ込める方がやはり興が乗る」
そのまま顔をつつみこむように固定され、唇を重ねられる
そのまま舌を絡め合い再び縺れ合う
恋と呼べるほど純真ではなく、愛と呼べるほど崇高なものではない この感情は醜い独占欲だ
肌を重ねあっても満たされない、それどころかますます欲しくなる
それでも、それがそれなりに心地よく思えるのは、それくらいお互いが互いをもとめあっているからなのかもしれない

11/17/2024, 1:17:55 PM

8月の君の誕生日、有名な曲になぞらえて半袖と長袖のシャツをプレゼント
これからもその先も一緒に過ごせますようにと言ったら
「何それ」と笑われた
冬になったらそれを着て一緒にどこかへいこう
これからいっぱい思い出を重ねて

11/13/2024, 3:12:51 PM

別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。
花は毎年必ず咲きます。

もし好きな人が余儀なき結婚をして、長らえても世を去ってもその花を見るだけでもしかしたら自分を思い出してくれるかもしれないという想いの表れなのかもしれない

11/12/2024, 4:36:48 PM

君が見てない隙を狙って「大好き」と呟くのが私のマイブーム 聞こえるか 聞こえないかのスリルと意気地なしのこの想いを昇華させるにはちょうど良いと思ったからだ
もうこのままでもいいや そう思ってたのに
「俺も好き」と君の声
死んでもいいわ

11/11/2024, 2:27:50 PM

飛べない翼で思い出すのは夢野久作の「瓶詰地獄」

ああ神様…………私たち二人は、こんな苛責くるしみに会いながら、病気一つせずに、日に増まし丸々と肥って、康強すこやかに、美しく長そだって行くのです、この島の清らかな風と、水と、豊穣ゆたかな食物かてと、美しい、楽しい、花と鳥とに護られて…………。
 ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。
 神様、神様。あなたはなぜ私たち二人を、一思いに屠殺ころして下さらないのですか…………。

のこの文
アレは飛べない翼というよりかは「飛べなくさせられた翼」ノヤウナ気ガスル

Next