夢へ!
彼女にはなりたいもののイメージなんかなかった
夢へ向かって頑張れとか言われても
夢を抱いたこともないし、
なんなら卒業文集に書かされる将来の夢や、人に聞かれた時の答えはいつも、
「医者」と答えるよう決めてた
でも、本当になりたいものではなかったから、
勉強への熱意もなく
そもそも、夢なんてないのだ。
夢をもて、なんて言う人は
夢を抱ける恵まれた環境なのだ。
たとえ、環境が悪くても、
希望がもてる、自由がある。
彼女にはない。
そもそも、感情がない。
感情の波があって、
それを彼女は自分の性格と感じてたが、
どうやらそれは異常な事態であって、
彼女の本来の感情ではない
もう混沌としてて、何が何だかわからなくなってしまってる
ただ一つ言えるとしたら、
夢ではないけど
解放されたい
あらゆるものから。
そう彼女はつぶやいた。
元気かな
元気かなと思って、
かつてとても気の合うと思っていた相手にLINEを送ってみたけど、
元気?
の答えが
ありがとうのスタンプだった
ありがとう🟰さよなら(もう連絡は結構です)
だと悟った
もう元気かな?なんて聞くのが怖くなった
私は寂しがりやで、
色んな人に元気?って尋ねてしまう
もちろん、相手のことを考える歳にもなったから、
いきなり、
元気?
とは聞かないけれど。
私が何かしたのかもしれないし、
相手にゆとりがないだけかもしれない
自分もそういう時だってあったし、これからもそういうこともあるかもしれない
でも、流石に
お元気ですか?
に
ありがとうのスタンプは
ちょっと堪えた。
遠い約束
約束という名の言葉は交わしていない
けれど
彼女は
彼は
きっと
遠い約束を交わしてる
私はそう思う
だって、
これはなんとなく、
彼女と彼のセオリーだから
離れても
点で繋がる
今世ではないかもしれない
来世でもないかもしれない
でも、きっと、
きっといつか
点は一つの線となり、繋がる
フラワー
彼女はとてもふんわりと、
香りでたとえたらフラワーみたいなら人だった
だけど芯はとても強く、目指す志は高かった
難しい資格試験に何度も挑戦して、〇〇士として働いている
SNSから流れてくる彼女の華々しい人生
私は歳下の彼女に憧れと尊敬の念を抱いていた
急に彼女に会いたくなって、連絡したら会ってくれるという
ご飯どころを予約して食事をした
しかし、SNSに描かれてることとは裏腹に
出会って恋に落ちて結婚した相手とは、
収入も知らずに結婚したものだから、開けてみてびっくり、自分の方が多かったことや、
彼女が育児と食事は分担してること、
なのにお惣菜だと文句を言われると言っていた
フラワーに飾られたようなキラキラした生活と勝手に思い込んでいたけれど、
それは彼女の生活の一部であって、
実際にはそうではなかったこと
出産間近まで働き、産後すぐにも働いていたこと
すごいなぁと思った
フラワーの香りをまとってて、柔らかい空気の彼女だが、芯の強さがそこにはあり、
私はまた一段と憧れた
新しい地図
彼女はとても方向音痴で道がおぼえられない
運転はカーナビだより
なので、古いカーナビで運転したり、ましてやカーナビもない、助手席に道案内してくれる人もいないような状況での運転はいつもドキドキだ
だけど、新しい道ができて、地図が更新される
古い地図と見比べるのは楽しいそうだ
彼女の進む道は決して真っ直ぐではなかった
まっすぐ進んでるようで、立ち止まってたり、横道にそれていってたり、、
でも、また戻ってきた。
元の道に。