手を繋いで
彼女は小学校の頃、先生の指示で男の子と手を繋ぐのが苦手だった
だけど、彼との初めてのデート
で丘を降りようとしたとき、
雨が降った後のその地面は少しぬかるんでいて、
彼女は転けまいとゆっくり彼の後ろを歩いていたら、
彼が手をそっと差し出してくれた
彼女は不思議とその手に触れることに抵抗もなく
手を繋いだ
その瞬間、「大丈夫」、
そう感じた
この人の手を繋いでいたら安心だ
手の温度、大きさ、肉のつき方
全てが理想的だった
彼女は繋いだ手を離したくない
そう思った
彼女にとって、そんな感覚は10年以上ぶりだった
繋ぎたい手に出会えたことは彼女にとって、大きな一歩だった
過去10年間、手を繋ぐ相手はいたけれど、彼女にとって、しっくりくる感覚がなかったのだ
いつも違う、違う、の繰り返し
やっと巡り会えた感覚だった
どこ?
心のある場所はどこにあるのだろうか?
ずっと、胸の中心にあると思っていたけれど、
脳の病気になって、
性格が変わってしまった
その時から心は胸の中心ではなくて、
脳にあるのではないかと思うようになった
でも、どうして、胸が苦しくなって、涙が止まらないのだろう
これらの症状は全て脳からの指示によるものなのだろう
なんだか、虚しい
脳という
自分の気持ちではコントロールできない
侵略者によって支配されてるような気がする
普段は大人しく、平静を装って過ごしていたとしても、
ある日突然、その侵略者は、
この身体を乗っ取り、違う人格になり、
その人が積み上げてきた、信頼、人間関係、あらゆるものを壊す
まるで、昔読んだ「寄生獣」のようだ
ただ違うのは、完全に乗っ取られるのではなく、侵略者は一通り暴れたあと、
パタリと奥に引っ込んでしまって、
乗っ取られた身体はその壊れた環境下で生きないといけない
いつまた侵略者に襲われるかに怯えながら
大好き
ギュッと抱き締めるのが好き
昔飼ってた犬を思い出す
犬はギュッとしたら嫌がるはずなのに、
一頭飼いしてたからかな、
ギュッとしても受け止めてくれた
私の留守中は帰りをずっとまっててくれた。
帰りが遅くなると、怒って吠えまくってたな。
なかなか鳴き止まなくって、
一人で寂しかったんだなと思った。
ごめんごめん。
電気つけて出かけたら良かったね、と。
可愛かったな。
大好きだった私の相棒。
私があの世に行ったらまた会えるかな。
叶わぬ夢
ブルーハーツの恋人よの歌詞のように、
私には諦めきれぬと諦めることを諦めた夢がある
叶わぬ夢 と分かっていながらも
時折空想してしまう
もし、〇〇だったら、が時折胸を騒がせるのだ
決して叶わぬ夢だし
もし、〇〇だったとしても、
私は夢が叶うような努力もしてないし、
自分に正直に生きてこなかった。
自分に嘘をついて
仮の姿を演じて
生きてしまった
今は、ありのままで生きている
いや、
ありのままで生きるよう努力している
花の香りとともに
友人からジャスミン茶をもらった。
茶葉を入れてポットにお湯を注ぐととてもいい香りが漂う
きっととてもいい品なのだろう
今までも好んで飲んではいたが、ここまでいい香りのするジャスミン茶を飲んだのは初めてだ。
茶葉と共に白い花びらがゆらゆらと湯の中で揺れている
ほっと一息、お茶を楽しむ時間
私は大切にしたいと思う
身体の力みや奥歯の噛み締めなど、気がつかないうちに入れてしまってる力で心も身体もカチコチになってる
だから、お茶を飲んで、ふーっ
と一息を吐くのはとても大切な時間だ