しろ

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手を繋いで

彼女は小学校の頃、先生の指示で男の子と手を繋ぐのが苦手だった

だけど、彼との初めてのデート
で丘を降りようとしたとき、
雨が降った後のその地面は少しぬかるんでいて、
彼女は転けまいとゆっくり彼の後ろを歩いていたら、

彼が手をそっと差し出してくれた

彼女は不思議とその手に触れることに抵抗もなく

手を繋いだ

その瞬間、「大丈夫」、
そう感じた

この人の手を繋いでいたら安心だ

手の温度、大きさ、肉のつき方

全てが理想的だった

彼女は繋いだ手を離したくない

そう思った

彼女にとって、そんな感覚は10年以上ぶりだった

繋ぎたい手に出会えたことは彼女にとって、大きな一歩だった

過去10年間、手を繋ぐ相手はいたけれど、彼女にとって、しっくりくる感覚がなかったのだ

いつも違う、違う、の繰り返し

やっと巡り会えた感覚だった

3/20/2025, 2:26:04 PM