最初から決まってた
「和楽さん……朝起きたら、紋香さんは……もう」
「気にすんなモッモ。もんちゃんが犠牲になるの、ワイは想定済みだったし」
「ですが……!」
「元々こういうところじゃん。デッドオアアライブ的な。ワイ全然気にしてないし」
「声、震えてます」
「モッモも人のこと言えないっしょ」
「でも、紋香さんと一番良くしていたのは、あなたじゃないですか……」
「…………もんちゃん、頭もいいし勘もすごくよく当たるから、狙われやすそうだな~とは思ってたよ。まさか、最初から決まってたとは思わなかったけどね」
「あーあ、寂し…………」
「氷天ちゃん!昨日こんなことがあってさ〜!」
京子さんのしてくれる話はいつも温かい気持ちになれる。
不思議だな……性格が似てるとは絶対言えないのに、居心地が良くてとても楽しい。
「ふふ……」
ぎこちないとは思うけど、彼女といると笑っていられる。
「氷天ちゃんのその顔、大好き」
「……はえっ!?」
「暖かい太陽みたいでね、わたしも嬉しくなるの」
こういうことも普通に言える……罪な方だと思う。
「わ、わ、わたしも……」
「ん?」
「わたしだって……京子さんのこと、太陽のように眩しい存在だと、思って……いるんですけど……」
なんてことを口走っているのだろう!?わたし、そんなこと言える立場じゃないのに……!
「そ、そうかな……」
ああああわたしってなんて愚か……
「じゃあ、お揃いだね。んへへ……嬉しいなあ」
……ず、ずるい…………そんな顔もするなんて……わたしだけこんな気持ちにさせるのも……!
「……ね、今夜そっちにお邪魔してもいい?氷天ちゃんと……もう少しお話したくて」
「は、ひゃい……大丈夫だと思うので…………どうぞお好きに……」
「わ、本当!?じゃあ、また夜にね!」
「は、はい……また後で……」
「ず、ずるいなあ……氷天ちゃんは…………」
【太陽】
鐘の音
「あっ!薫人さん!なんかおっきいのがありますよ!あれ鐘ですよね!」
「鐘だね。鳴らしてみる?」
「えっ!ヰノでも鳴らせるんですか!?うう……背低くて届きそうにないですけど……」
「はい。届くかな?」
「わえっ!?!?あ、あのゆき、ゆきとさん、これって……!?」
「鳴らさなくていいの?」
「な、鳴らします……」
カラーン…………
「あう……下ろしても大丈夫ですよ……?」
「すごく軽いから大丈夫だよ」
「そ、そうですか……?じゃあこのまま……」
「ところで、ヰノちゃん今何歳?」
「いっ、今ですか?今は17です!」
「そっか。……あと1年だね」
「なにがですか?」
「結婚」
「はわわわわわ……………………」
「わあ、コラコラ……暴れちゃ危ないよ」
「あ!島さ〜ん!なにしてるんすか〜!」
「ひなたぼっこ〜」
「俺もやります〜!」
「島さん!なにか手伝いましょうか?」
「おお〜手伝って〜」
「了解!やりましょ〜!」
「島さん〜遊びましょ〜〜」
「犬山ってさ〜」
「はい?」
「どこに行っても俺についてきてくれるけどさ〜」
「はい〜」
「つまんなくない?大丈夫なの?」
「まあたまにつまんないときはありますね〜!」
「だろ〜?つまんなそうなときは来なくてもいいんだぜ〜」
「えっ、なんでそんな酷いこと言うんすか!?」
「たまには犬山のしたいことしていいんだぞ」
「えっ……ああいやいや!平気っすよ!島さんと一緒にいれると、つまんないことでも嬉しくなるんですよ……へへへ」
「本当か〜?嬉しいこと言ってくれるじゃ~ん」
「うわああくすぐったい!?ハハハ!?!?」
「でもまあ、俺もたまにはわがまま聞くからさ、遠慮なく言ってくれよ」
「へへへへ〜じゃあ俺の話でも聞いていただきましょ〜!」
「面白い?」
「つまんなくはないです!つまります!」
「じゃあ面白いな〜聞かせて頂戴な」
「はい!」
つまらないことでも
目が覚めるまでに
「も〜〜〜あげはちゃん!!?いつまでねんねしてるの!?」
「春駒。蝶羽は本気で起きないタイプよ。待つしかない」
「えへんへん……そんなあ……ひよこちゃん……」
「泣き方やば……」
「どうしても三人でお出かけしたいい……」
「なんかアクションをしてみなさいよ」
「アクションってなにすればいい?」
「知らないわよ……お母さんのマネとか?」
「なるほど!」
「納得した……」
「あげは〜起きて〜朝だよ〜〜」
「変わってないわよ」
「ちょっとテンション下げてみた」
「……?」
「起きた!?」
「おはよ〜あげはちゃん!ロングスリーパーだね〜」
「…………兄さん」
「兄さん?あ、寝ぼけてるな〜!!わたしは春駒だよ〜……んええ!?」
「会いたかった……」
「蝶羽!?それは春駒!!寝ぼけすぎよ!」
「……グス」
「あ、あげはちゃ、な、泣いてる!?ひ、ひよこちゃん、これ見捨てちゃだめだよね!」
「……そのままにしてあげたほうがいいかも」
「だよね!よーしよしよし、おはよおはよー」
「……目が覚めるまでに何分かかるやら」