明日、もし晴れたら
君と海へ行きたいな
そこで一杯遊ぼう!
泳ぐの好き?僕も!
そこでご飯も食べて
思い出に残そうよ!
海よりも君のほうが
ずっと綺麗だからね
見惚れて溺れるかも
……なんちゃって!
助けてくれるの!?
ありがと!大好き!
【明日、もし晴れたら】
だから、一人でいたい。
「ぬ、額狩さん……」
「いいのよ。無理に話しかけようなんて思わないで」
「そんなつもりは、」
「一人じゃないと、壊れそうなの」
「こわ、れる?」
「……友好的に接してくれている、あなただから話すわね。……わたし、家族がいないの」
「っ、そう……なんですね……」
「そう。全員、わたしが高校に行っている間に心中していた」
「し……」
「同じ部屋でみんなでてるてる坊主の様になっていたの。それだけでも辛かった」
「……もっと辛かったのは、恋人の最期。あんなに優しい人、会ったことなかった」
「はい……」
「神様は優しい人ほど先に連れて行ってしまうのよ。彼は病気で逝ってしまった」
「まるで死神よ。わたし」
「!……そんなこと」
「邨松さん、……わがままを言うわ。あなたはわたしと関わらないで欲しい。たくさん生きていて欲しい」
「わたしの大切な人がいなくなるのは、もう、耐えられない……」
「だから、一人でいたい。お願い……」
【澄んだ瞳】
「……何ジロジロ見てんだよ」
視線がうるさいと思えるほどに凝視されていたので、思わずこちらから話をふっかけてしまった。
「いや?別に深い意味はないんすけど。柘榴さんって目ぇキレーっすよねーって感じで見てました」
なんだコイツ。
「当たり前だろ。神に愛されたとでも思ってもらおうか」
当たり前のこと言うなボケナスが。俺は左右で瞳の色が違って、左が昼の間全てを支配するような空。右が夜の間あらゆるものを把握する夜空。医学的観点から言えば虹彩異色症という生まれつきのものらしい。まったく、顔も良くてアクセントがあるなんて、どんなえこひいきだってんだ神様?
「うわーー出たぁー。柘榴さんの自信過剰〜」
「は?処刑処刑」
「いやわたしに死刑執行したら執行人減りますよ!?ヤバー!馬鹿じゃん」
「確定。お前は死罪」
「ふぁ〜w」
うざい。マジでうざい。……だが、その細めた目元から見える朱色。
その強く、しかしどこか透き通ったような色。
俺より綺麗な色をしていること、認めたくなかった。
「嵐が来ようとも、僕はキミを守るよ」
「?」
「……ごめっ、い、言ってみただけだから……忘れて……ホシイデス…………」
「忘れないよ」
「あの、椋ちゃん、これだけは忘れて欲しい…………」
「嵐が来ようとも守ってくれるんでしょ。王子様」
「へっ!?」
「あれ?プロポーズじゃないの?」
「……はい。……も、もう一回いいですか…………」
「えー。我が子にパパのプロポーズはこうだったよ〜って言いたいのに」
「は、恥ずかしいっ!!?!?!お、お願い椋ちゃん……」
「ハハハハハ」
「ちょっと〜!?」
お祭り(前日譚)
「こんにちは♪桃世ちゃん♪しあさって、この街でお祭りがあるんだって〜♪一緒に回らない?」
「鋸崎さんこんにちは。ええと……その日は特に予定もないので、大丈夫ですよ。……久しぶりだな、お祭り……」
「よーし♪決まり♪桃世ちゃんの浴衣姿、楽しみだなあ……♪」
「ちょっと待った!!」
「鑓水さん……!?」
「桃世ちゃん!わたしとも回ろう!!」
「え、でも、鋸崎さんとの約束が……」
「じ、時間制でどうかな!?」
「時間制!?!?」
「弥代依ちゃん。桃世ちゃんをレンタル彼女みたいにしないでほしいんだけど〜?」
「え?いたんですね乃和さん」
「あ、あの喧嘩は……」
「いたよ〜?わたしはずっと桃世ちゃんの隣にいるよ〜???」
「桃世ちゃん、か、可哀想に……」
「二度と立てない体にしてあげようか〜?」
「だめ!喧嘩はだめです!それ以上はしないで下さい……!」
「桃世ちゃん……安心して♪わたし、桃世ちゃんをペチャちゃんから守るって決めてるから♪」
「ちょっとボンボンボンさん。モデル体型って言って下さいよ。第一桃世ちゃんを安全に守れるのはわたしだけですから」
「それだと全部大きいことになっちゃうじゃん。真ん中へこませてよ」
(け、結局変わらない……どうすればいいのおじいちゃん……)
「やめなよ。みっともない」
「万智さん!?!?」
「あ!マッチ〜!」
「万智さんですよ〜」
「すみません来ていただいて早々になんですけど……こ、この状況どうにかできますか……?」
「できるよ」
「本当ですか!?」
「モモ、わたしと一緒に回ろう」
「……ん!?」
「マッチ?抜け駆けよくない」
「モモの真ん前で喧嘩してたらそりゃ嫌になるでしょ。わたしの元にいるのはとんでもない安パイ。おいでおいで〜」
「口ぶり的に弥代依ちゃんの友達かな?子どもは帰っておねんねしてな♪」
「何コイツ。乳でかくて顔良いだけのくせに出しゃばんなこんにゃろー」
「マッチ褒めちゃってるよそれ」
「ありがとうね〜♪」
「気持ち悪。なんで褒めてんのにお礼いってんの?」
「マッチ、まず落ち着こう」
(……当日、休んだほうがいいかな…………)