しそひ

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【澄んだ瞳】
「……何ジロジロ見てんだよ」
視線がうるさいと思えるほどに凝視されていたので、思わずこちらから話をふっかけてしまった。
「いや?別に深い意味はないんすけど。柘榴さんって目ぇキレーっすよねーって感じで見てました」
なんだコイツ。
「当たり前だろ。神に愛されたとでも思ってもらおうか」
当たり前のこと言うなボケナスが。俺は左右で瞳の色が違って、左が昼の間全てを支配するような空。右が夜の間あらゆるものを把握する夜空。医学的観点から言えば虹彩異色症という生まれつきのものらしい。まったく、顔も良くてアクセントがあるなんて、どんなえこひいきだってんだ神様?
「うわーー出たぁー。柘榴さんの自信過剰〜」
「は?処刑処刑」
「いやわたしに死刑執行したら執行人減りますよ!?ヤバー!馬鹿じゃん」
「確定。お前は死罪」
「ふぁ〜w」
うざい。マジでうざい。……だが、その細めた目元から見える朱色。
その強く、しかしどこか透き通ったような色。
俺より綺麗な色をしていること、認めたくなかった。

7/30/2023, 10:34:27 AM