しそひ

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7/28/2023, 11:19:00 AM

お祭り(前日譚)
「こんにちは♪桃世ちゃん♪しあさって、この街でお祭りがあるんだって〜♪一緒に回らない?」
「鋸崎さんこんにちは。ええと……その日は特に予定もないので、大丈夫ですよ。……久しぶりだな、お祭り……」
「よーし♪決まり♪桃世ちゃんの浴衣姿、楽しみだなあ……♪」
「ちょっと待った!!」
「鑓水さん……!?」
「桃世ちゃん!わたしとも回ろう!!」
「え、でも、鋸崎さんとの約束が……」
「じ、時間制でどうかな!?」
「時間制!?!?」
「弥代依ちゃん。桃世ちゃんをレンタル彼女みたいにしないでほしいんだけど〜?」
「え?いたんですね乃和さん」
「あ、あの喧嘩は……」
「いたよ〜?わたしはずっと桃世ちゃんの隣にいるよ〜???」
「桃世ちゃん、か、可哀想に……」
「二度と立てない体にしてあげようか〜?」
「だめ!喧嘩はだめです!それ以上はしないで下さい……!」
「桃世ちゃん……安心して♪わたし、桃世ちゃんをペチャちゃんから守るって決めてるから♪」
「ちょっとボンボンボンさん。モデル体型って言って下さいよ。第一桃世ちゃんを安全に守れるのはわたしだけですから」
「それだと全部大きいことになっちゃうじゃん。真ん中へこませてよ」
(け、結局変わらない……どうすればいいのおじいちゃん……)

「やめなよ。みっともない」

「万智さん!?!?」
「あ!マッチ〜!」
「万智さんですよ〜」
「すみません来ていただいて早々になんですけど……こ、この状況どうにかできますか……?」
「できるよ」
「本当ですか!?」
「モモ、わたしと一緒に回ろう」
「……ん!?」
「マッチ?抜け駆けよくない」
「モモの真ん前で喧嘩してたらそりゃ嫌になるでしょ。わたしの元にいるのはとんでもない安パイ。おいでおいで〜」
「口ぶり的に弥代依ちゃんの友達かな?子どもは帰っておねんねしてな♪」
「何コイツ。乳でかくて顔良いだけのくせに出しゃばんなこんにゃろー」
「マッチ褒めちゃってるよそれ」
「ありがとうね〜♪」
「気持ち悪。なんで褒めてんのにお礼いってんの?」
「マッチ、まず落ち着こう」
(……当日、休んだほうがいいかな…………)

7/27/2023, 1:23:58 PM

『家族を大切にしろ。頼むぞ』




僕より先に逝かないでほしかった。
人間として、僕の弟として隣にいてくれたらどんなによかったかな。と幾度となく感じた。




「分かりました」




重厚な部屋に響いたその声は、誰にも聞かれず消えてしまった。

7/26/2023, 11:07:35 AM

「俺は何でもするぞ。誰かのためになるならば」
「うん、灼くん?そういうこというのやめたほうがいいぞ?」
「京。誰かのために尽くすことはとても大切なことなんだ」
「俺諭されてる?灼、違うのよその前が問題なんだよ」
「?過程の問題か?」
「は?かてい?」
「道のりのことだ」
「違うなあ。何でもするってところなんだよなあ」
「???」
「灼は純粋だからな。仕方ない、俺が言葉の怖さというものを手取り足取り教えてあげよう。とりあえずそこに寝転がってもらって」
「させませんけど?」
「あ、出たセコム」
「こらこら……」
「いいんですよ灼さん。コイツしばくだけなんで」
「ミィルくん、キミ俺の片割れみたいなもんだよね?」
「貴方だって灼さんがこんなことされそうになったら止めるでしょう」
「おお。ヤろうとしたやつ○すわ」
「でしょうね。一緒です」
「何故意気投合しているんだ……」

7/25/2023, 10:26:03 AM

わたしの名前はひよこ。生前の名前は小鳥谷楓。
×んで性格を変えられると思っていたけど、どうやら違ったみたいで。いや変わりはしたんだよ。忘れられないだけ。
自室。カミソリ。無数の川の字。腕ばかり傷付けていたから、致命傷にはならなかった。
風呂場。首。太い一の字。恐ろしいほど意識を失うのが早かった。
×体を発見して、汚いわたしを片付けたってところ、想像するだけで申し訳なくなって、もう×んでるのに×にたくなる。
生きてるときは、両親の鳥かごの中でずっともがいてたな。
誰にでも愛想良くして笑顔は絶やさず。都合のいい優等生だった。みんなから評価はされてたと思う。三者面談のときとか、あまりにも良い評価ばかりで、わたしには苦痛だった。

楓という名前。名前を思い出したから調べてみたら、花言葉があった。「遠慮」であった。気持ち悪いな。

いつになったら呪縛が解けるんだ。

鳥かご

7/24/2023, 10:57:11 AM

友情。
 小説を書くことをわたしは享楽としている。尊敬の念を持つ先生に褒められたのは、わたしの観察眼。学校では、友達同士で和気藹々と話している同級生。喧嘩をした後だと思われる独特の空気が流れている友達、だった者共。男子生徒同士の無邪気な馴れ合い。どこか微笑ましいと羨ましがられ、その発言に赤面するカップル。先日、初体験を済ませたと自慢する子供。学校で学べることといえば、様々な人間がいるということだけであった。もっとも、そのままの成績だと、義務教育を終わらせられない。そう教師から忠告を受けられた人間がわたしだが。
 前置きはさておき、ひょんなことからこんな奴にも仲良くしてくれる者が出てきた。本当にひょんなことなので、正直友が出来たことや、通り越して、生きていることに実感が湧かないが……名は二戸虹絵。何故か分からないが、非常に好かれている。最初は同級生とは思えないほどに頭が鈍いお子さんだと思っていたが、ただただ真っ直ぐにわたしのことを好いていると確信したときはある賞を受賞したときの心躍りに近いものだった。
「慧奈!なに考えてるの?」
「あ、いえ。次の小説のことについて考えていただけですよ」
「へ〜!わたし小説よめないけど、できるといいね!」
「はい」
あとやたらと距離が近い。世の中にそういう人間がいることはなんとなくと知っていたが、ここまで身近にいるとは……世間は狭いな。
「できたらさ!わたしに一番に見せて!慧奈はわたしの特別だもん!」
「あ……はい分かりました。一番最初に見せますね」
特別。胸が躍る言葉……!悪くないものだ。



「慧奈はわたしの特別なともだちだもん!大切なたからもの!」









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