ひそかな想い
「こら!そこ 巫山戯てないで座りなさい!」騒がしい教室の喧噪を断ち切る様に
私は、怒鳴る。
するとしーんと静まり返った静寂
最初は、皆分かってくれたかと思い安堵した だけれど暫く経つと何事も無かったかの様にまた喋り出す教室の面々
まるで私に偉そうにしないでよと言っているみたいに....
教室の喧噪がまた始まった。
私の気力を使った大声は、まるで無かったみたいに届かない
私は、顔中が真っ赤になり目尻に涙が出てきそうになる。
そんな私の心中を知ってか知らずか
鶴の一声が掛けられる。
「皆 委員長の話ちゃんと聞こうよ!」
2列目の真ん中の席に座るクラスの人気者の
男子の一声で何もかもがガラリと変わる。
皆さっきとは、別人みたいに聞き分けが良くなり大人しくなった。
「委員長 話続けて!」人気者君が続きを
促して話やすくしてくれた。
私は、「ありがとう」とお礼を言ってその場での話を纏める事が出来た。
私は、人気者君の顔を見るニコニコと嬉しそうだ....。
分かってる人気者君は、困っている私を
見かねてそうやって声を掛けてくれた事....
だけど....私の内心のひそかな想いは、
黒く濁っていた。
人気者君が最初から委員長をやれば良かったのに....そもそも私だって本当は、
委員長なんて柄じゃ無かった
だけど誰も立候補者が出ず
先生もHRを終えられず困り顔だったから
仕方無く手を挙げたのだ....
それなのに蓋を開ければ中身は、こんな物
委員長なんて唯の飾り決まり事なだけなんだ....私の内心の惨めな気持ちも知らず
教室では、また楽しそうな笑い声が
響いていた。
陰と陽はっきりと別れたその明暗に
私は、その区画を他人事の様に
俯瞰して見ていた。
教室の明かりが照らされた区画は、
別次元の様だった....。
あなたは誰
「あなたは誰? ねぇあなたの名前を教えて....」
そう声をかけられたのがまさか自分だとは
最初は気付かなかった。
教室の隅の席で本を読むのが私の日常だった。
目立つ様な自分から声を掛ける様な真似を
したら鋭い視線で睨まれるから....
だから目立たず 大人しく 自分の存在を
透明に 透明にそうしてなにも感じずに
過ごす事が私の学校生活を乗り切る術(すべ)だった。誰も私に興味なんか持つはず無い そう自分に言い聞かせて....
それなのに....「ねぇあなたは誰?何て
名前なの私に教えてくれないかなあ...」
そう 声を掛けてくれたあなたが私には
尊く眩しく見えた。
私は、あなたに自分の名前を知って貰いたくて 口を開いた。
「私の名前は.....」。
手紙の行方
窓からビリビリに破り捨てた あの手紙の
切れ端の行方をもし知っている方が
いらっしゃいましたら私に御一報下さい
あの時脳裏に焼き付いた泣き顔が頭から
離れないのです。
あの方は、どこに行ってしまわれたの
でしょう....
今さら遅い後悔の嵐....
胸に灼ける様な思いをやっと自覚して
私は、泣き腫らすのです。....
あの時の手紙の切れ端がまるであの方の
心をも一緒に破り捨てたかの様....
もう一度 重ね重ね 申し上げます...。
あのビリビリに破り捨てた手紙の切れ端の行方を知っていらっしゃる方がおりましたら私(わたくし)に御一報下さい....。
輝き
キラキラと輝いている光源
一体これは、何だろう?
見るとあちらこちらに輝いている。
通行人の背後に纏わり付く光
全く知らない赤の他人に光と言う光が
纏わり付いて輝いている。
嗚呼.....そうか..... これは 一人一人が
持っている輝きなんだ....
誰もが持っている輝き
人は、それを個性と言う。....
君の声がする
ハロー ハローお元気ですか?
こちらはスカイツリーが見えます。
そちらは今何が見えますか?
フローム僕
こんにちわ お元気ですか?
こちらは、今東京タワーが見えます。
スカイツリーと言うのは、こちらからは、
見えません いつか見える様になるのかなあ.....
フローム私
2×××年~僕
1○○○年~私
時を超えて僕には、君の声が聞こえる
不思議な電話線で繋がりその電話線で繋がった電話で僕は、君と会話が出来る様になった。
電話越しで話す君との会話は、心地良く
楽しくて時代は、違うはずなのに君との
会話は、弾んでいた。
君の声がするこの電話越しの会話がいつまで続くか分からないけど もしかしたら
未来や過去に何らかの影響を及ぼすかも
しれない危険性も孕んでいるが
僕は、何らかの別れが来るまでは、この
電話越しの会話を続けたいと思っている....
例えいつかは、君との別れが来るとしても....