Saco

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1/24/2025, 11:50:46 AM

やさしい嘘

君は、僕の為にやさしい嘘を付いてくれた
でも、優しすぎて涙が出た。

君の優しい嘘で 僕は、生き延びる事が
出来た。

だけど 代わりに君が僕の前から
消えてしまった....。

君との思い出が脳裏を駆け巡る

「後で 必ず追い付くから!」そう言って
君が僕の体を押して僕を外へと出させて
くれた。
最期に見た君の顔は安堵した笑顔だった。

1/24/2025, 8:42:23 AM

懐かしく思うことの続き

瞳をとじて

ぽかぽかとした心地良い陽気の中
バインダー局の室内は、外の天気に反して
ギスギスと刺々しい雰囲気を醸し出していた。

にこにことしているのに目が笑っていない
ハロルド
真顔のマリア 鋭い視線で睨む
ミーナ 顔に笑顔を貼り付け黒いオーラを
放つナイト 

その雰囲気を肌で感じながら 眼前で
繰り広げられる光景を遠くで眺める
ハイネ (この状態でよく普通で居られるよな....あいつ....)ハイネは、ため息を
吐きながらこのギスギスした雰囲気の
原因である人物を眺める。

そうしてこの雰囲気に全くと言って良い程
気付いていないシズクの事もそうしてこの
雰囲気を作った原因のルークの事もハイネは俯瞰して眺めていた。

「へぇ~このお菓子シズクちゃんが作ったの?」ルークは、シズクが作ったクッキーを手に取ると一口齧る。

「はい!....ミーナとマリアさんが手伝って
くれて....」シズクは、嬉しそうにルークに
微笑む ルークの笑顔が柔らかくなり
前よりも喋ってくれる様になりシズクは、
心の底から嬉しくてついつい話も弾んでしまう


シズクが楽しそうにしている中でまだ他の人達の中には、ルークの事を完全に許してはいない者が多い だからこんなギスギス
した雰囲気なのだ 多分シズクが居なかったらルークは、室内にも入れてもらえなかっただろう

ハイネだってルークに何も思って無い訳では無いのだが.... あの時ティアの魂の想いを感じてしまったハイネは、ふと考えてしまう もし自分もあの時シズクを完全に
失ってしまっていたらどうなっていたか
それこそルークみたいに悲しみを抱えて
しまっていたかもしれない

壊れてしまっていたかもしれない
そう思うとルークのしようとしてた事は、
許せないが シズクが自分の目の前に
戻って来た今 何となくルークの抱えていた悲しみも分かってしまい 最初は、
ハイネもルークの事を許せなかったが
シズクがあんなに喜んでいるのに 何より
シズクが大切と思っている人にハイネは、
ギスギスした態度は、取れなかった。

しかしハイネが一つだけ解せない事が
あるとするなら.....


「シズクちゃんこっちのチョコのクッキー
も美味しいよ!はいあ~ん」とルークが
シズクの口元にチョコのクッキーを持って
行くシズクは、ルークの手からクッキーを
食べさせてもらい嬉しそうだし
シズクもルークにお返しとばかりに
食べさせてあげていたり 何だか....
何だか..... ルークの態度が変わりすぎだし
やたら何だか二人の距離が近いし....

それに何だか....(俺と居る時より....)
シズクが楽しそうにして居るのが
ハイネには、解せなかった....

いや 二人の関係って叔父と姪だし
身内ならこの位普通なのかもしれない
(家の親だって未だに俺の事 
小さな子供扱いだし....)

しかし未だハイネは、シズクには、余り
自分からは、触れ合えないでいた。

この前シズクから 手を繋ぎたいと言われた時は、夢みたいに嬉しかったのに.....
嬉しいと伝える事も出来ず....

だから今このルークとシズクが仲良くして
触れ合って居る光景がハイネには
羨ましかった。

一層 シズクと身内だったら意識せずに
触れ合え 素直に自分の気持ちを言えただろうか....


好き その二文字が恋人と身内だと距離が
違う気がする

(嫌 違うか.... 結局 俺が駄目なのか

シズクの恋人が俺じゃなくて違う奴だったら シズクに素直に好きと言えて
もっとシズクを喜ばせる事が出来て.....
シズクと自然と触れ合えて....)

そんな事を思って 自己嫌悪に陥る
ハイネだった。




シズクは、ルークと久しぶりに楽しく
話せて嬉しかった。
お父さんとお母さんが居た時みたいに
またルークと笑え合える日が来て
本当に良かった。

シズクは、嬉しくて この嬉しさを
もっと嬉しくしたくて シズクは、自分の
一番 大好きな人の姿を探した。

そうして見つけた。
「ハイネ....」ソファーで膝を抱えて
座っているハイネにシズクは、
声を掛ける。

「お....おう....」ぶっきらぼうに返事を
するハイネ
シズクは、目をキラキラさせてハイネの
隣に座る。

「あっ....あのね....ルークさんがね
ハイネがくれたヘアピン可愛いって褒めてくれたよ!」とシズクは、嬉しそうに
ハイネに報告する。

「それ....ヘアピンが可愛いんじゃ無くって
お前が可愛いって意味じゃないか」とハイネに指摘されシズクは、丸い瞳をさらに
丸くさせびっくりした様に声を上げた
「そうかなあ.... えへへ そうだったら
嬉しいなぁ」とシズクは、照れた様な笑顔を作る

ハイネは、今頃 気付いたのかよと言った
表情で ため息を吐いた。

しかしハイネは、此処で自ら墓穴を掘る。

「....あれ? じゃあ 前....ハイネが
可愛いって褒めてくれたのはヘアピンの
事じゃなくて..... 私の事....」

シズクのその言葉にハイネは動揺し
ソファーからずり落ちる。
「は!っ ち違っ・・・・」
「違うの?....」シズクは、残念そうな
表情でハイネを見る。

「っ....」ハイネ シズクのその表情にたじろぐ

そうして何かが込み上げて来てハイネは、
ぎゅっと目を瞑り意を決して切り出す。

「おい 馬鹿シズク ちょっと目ェ瞑れ」
「え?」シズクは、ハイネの言葉に首を傾げる。

「良いから瞑れ!」「はい....」シズクは、
素直に目を瞑る。

そしてシズクが目を瞑って待っている姿を見てハイネもまたぎゅっと目を瞑る。



そうしてハイネはミーナとナイトの言葉を思い出す

『したい時にすれば良いじゃない』
『寧ろ無理矢理そう言う事やったらそっちの方が最低よ』

これは、無理矢理だろうかと内心 心の中で心配するハイネだったが堪えていた
感情は、もうどうやっても止まる事が
出来なかった

ハイネは、心臓が今にも爆発しそうな程
ドキドキさせながらシズクの小さな唇に
自分の唇を触れ合わせる。

触れたか 触れないかの小さな触れ合い
だった。
触れられたシズクの方も暖かい感触に
思わず目を開いてしまう
するとハイネの顔が自分の近くにあり
ハイネの柔らかい唇が自分の唇の体温に
触れたと同時自分の体の体温も上がって
しまう

「ハ....イ....ネ...」シズクは、何が起きたか
分からず目が回ってしまう

ハイネの顔を見ると此方も顔をまっ赤にしていた。

そうしてまっ赤な顔を俯かせながらハイネはぼそりと呟く

「馬鹿シズク....他の男と楽しそうにしてん
じゃねェ.... たまには....俺の事で困り
やがれェ 馬~鹿」そんな事を投げ遣りに
ハイネは、言うと その部屋から一目散に
逃げ出して去ってしまう

後には、顔をまっ赤にしてソファーから
暫く立ち上がれないシズクだけが残された。



後日 シズクは、暫く目を閉じて眠ろうと
するとハイネにキスをされた事をいつまでも思い出してしまい眠れない夜が続き
それが原因で熱を出して寝込んでしまい
バインダー局の事務局に顔を出せず
休んでしまう日が何日か続いた。



ハイネはハイネで我に返り頭を抱え
自己嫌悪に陥り ミーナにシズクが
休んでいる理由に付いて追及されたが
ハイネは自分から説明する事が出来ず
ミーナからの説教を反省する様に大人しく
受けるのだった。....

1/22/2025, 11:09:18 PM

あなたへの贈り物

走る 走る あなたの元へ届けたくて

急ぐ 急ぐ 少しでも長くあなたの
笑顔が見たくて.....

喜んでくれるかなぁ..... 喜んでくれると
良いなぁ.....

あなたの姿が見えて来て 私は、
思わせぶりに後ろ手に隠している
贈り物をあなたへと差し出した。

1/21/2025, 10:37:07 AM

羅針盤

生前 祖父の相棒であり そして家族への
遺品でもある祖父愛用の羅針盤(コンパス)

山登りなどが趣味で自然を愛していた
僕の祖父は、この羅針盤(コンパス)を必ず
リュックに入れて持ち歩いていた。

東西南北の目盛りを見ながら険しい山
なだらかな山 平坦な山 様々な
山登りに挑戦していた 僕の祖父
このコンパスを見るとそんな祖父の姿が
まざまざと思い浮かぶのであった....。

1/21/2025, 1:42:44 AM

明日に向かって歩く、でも

明日に向かって歩く その事に何の
疑いも持たず 私は、一日一日を
前向きに今まで生きてきた。

でも、ある日突然その生き方があっけなく
壊された。

それは、前触れも何も無い悪意と呼ばれる
物だった。

嘲笑 蔑み 軽視 差別 誹謗中傷

それらの悪感情が 私の心に一気に浴びせ
られた。

私は、いつしか明日を信じられなくなった

苦しくて 悲しくて だけど誰かに助けを
求めるのも怖くて....

気付いたら 私は、無意識に赤信号の
道路に体を進ませていた。

大きなブレーキの音が響いた様な気がした
けど 私の耳はその音をはっきりとは
知覚出来なかった....

しかし私の体は、大きな機体にぶつかる
前に体が傾いて持ち上げられた。

気付くと私は、誰かの腕の中だった

「大丈夫かい?」ほっそりとした痩身の
男の人が自分の腕の中にいる私に呼びかけた。

私は、その男の人の『大丈夫かい?』と言う何気ない言葉にホロリと涙を零していた

私は、その男の人の言葉に安堵して涙を
零しているのか それとも余計な事をして
くれたこの男の人に八つ当たりの様な
憤りを感じているのかどっちの心で
私は、涙を零しているのか 私は、最初
分からなかった....

だけど私は、涙を自覚してしまった自分を
止める事は、出来ず また自覚してしまったので嗚咽を我慢出来ず

気付いた時には、私は、その見ず知らずの
男の人の腕の中で思いっ切り大声で
赤ん坊みたいに泣いていた。




それから数日が経った....
私は、少しずつだが また前みたいに
明日を信じて生きてみようと思える様に
なっていった。

もちろん前みたいに強く自信を持って生きて行こうとは、思えない 自信は、無い....

害される前の自分には、もう戻れ無いのだから....

でも.... もう私は、一人じゃ無い
一人ぼっちじゃない....
私は、自分の隣を見つめる そこには、
穏やかに私を見つめ笑ってくれる貴方がいた。

私は、隣人の手をそっと握る
隣人も返事の様に私の手を強く握り
返した....。

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