無色の世界
「ねぇ知ってるかい? 遠い遠い未来には
僕達はカラーなんだよ!!」
「カラー?カラーとは何だい?」
「色の事さ!!僕達お馴染みの白黒
だけじゃ無い 赤 青 黄色 緑
橙 水色 朱色 桃色 紫 茶色
黄土色 金 銀等々 エトセトラさ」
「そんなに名前があるのかい?」
「驚いて目を丸くするのはまだ早い
君のそのトレードマークのジャッケトにも
僕のお気に入りである
この煙草のパッケージのデザインにも
色が付くだけで愛着が湧くってもんさ!!」
「嗚呼 早く僕達の世界に色が付かない
かなあ....」
数年後 時代は白黒テレビから
カラーテレビに変わり僕達の世界は
色づき始めたのだった....。
桜散る
はらはらと桜の花弁が舞い落ちる
一片の花びらが盃の酒の湖面に落ちる
桜の儚さを見ながら盃の酒を
くいっと呷った。
夢見る心
夢見る心なんてこの年で持ち合わせてなんて居ないけれど
唐突に孫がトテトテと私の所に寄って来て
「おじいちゃん僕大きくなったら
ライオンになる!!」と堂々と胸を張って
言うので私は思わず聞いてしまった。
「どうしてライオンになりたいんだい?」
「王様で強くて皆を守って格好いいから
鬣も格好いい!!」孫が嬉しそうに
画用紙を広げライオンの絵を
私に掲げる。
鬣(たてがみ)と言う事は恐らくオスの
ライオンになりたいのだろう
でも実際に狩りをして家族を守っているのは鬣が無いメスのライオンなんだがと思ったがそんな些細な事は孫には関係無い
わざわざ指摘する事でも無い
孫はその鬣のライオンの格好良さに憧れ
そして自分もなりたいと自信を持って
言っているのだから
そんな孫の夢見る心にわざわざ偏屈な
ジジィが水を差す事は無い
「じゃあライオンの様に強くなる為に
いっぱい食べて大きくなろう!」
そう言ってやると孫は嬉しそうに
「うん!!」と大きく頷いた。
誰よりも、ずっとの続き
届かぬ想い
親友が目を丸くして固まっている。
「何故だ!! 何故あんなに勉強したのに
一位じゃ無い!!」
「いや....僕も一緒に勉強したし....」
と僕はやんわりとツッコム
「だったらスタート地点は一緒のはず
なのに何故だ 何故俺はお前に勝てない」
「何故でしょうね....不思議 不思議...」
僕はだんだんとツッコムのも面倒くさく
なって来た。
僕は周りに視線を配る。
クラスのみんなが僕達を中心に視線を
注いでいた。
いや訂正しよう正確には僕達にでは無く
親友に視線を注いでいた。
何故なら今日の親友はいつもの分厚い
レンズの眼鏡では無く
コンタクトレンズにしているからだ
僕はうおおぉっと唸っている親友を横目に
内心でため息を吐いた。
(だから...勿体ないってば....)
そうして僕は何度も言っている事を
親友に忠言する。
「あのね....毎回言ってるけど君には
君の僕には僕の得意不得意があるんだから
僕にばっかこだわって無いで君は
もっと視野を広げてそうすれば
バラ色の人生が待ってるから
他の人にも目を向けてそうすれば幸福な
人生が....」
「よし来週の中間テストでも勝負だ!!」
(聞いちゃいない....)
そうして内心では無く本当に僕は
ため息を吐いた。
僕は親友には心の底から幸せになって貰いたいのに
何故僕の言葉は親友の耳に通ら無いのだろう....
「そうと決まれば帰って勉強だ
ほら行くぞお前も俺と一緒に勉強しろ
スタート地点は同じにしないとフェア
じゃないその上で俺はお前に勝つ!!」
と親友は俺に手招きして走り出した。
「早くしろ何してる!!」
親友の大声が聞こえる
「あ~はいはい今行くよ!!」
こうして今日も僕の想いは親友には
届かないのだった....。
神様へ
【神様へ】
・お供えは神様にお供えした物です
だからどう扱おうが貴方の自由です。
だけどいくら寿命が長くて老いないからって 少し食べ過ぎではないでしょうか?
神としての威厳を保つ為にも少し控えた方が良いと思います。
・人間の願いは真面目に聞きましょう
人間は欲深過ぎると貴方は良く
言いますが貴方は人間の願いで
成り立って居るのです。
人間が貴方を神として崇拝信仰してくれるから貴方の存在は保たれて居るのです
その事を良く自覚したまには人間に
目をむけて下さい
何も願いを叶えろとは言いません
そんな虫の良い事願えません
唯背中を押されるきっかけとして
願える場所が欲しいのです
欲深い人間は挫折もしやすいですが
乗り越える力も強いのです。
神はそんな人間を滑稽にそして
面白可笑しく所謂余興として
たまに気まぐれに手を貸してやろう位で
良いので唯そうやって娯楽の一部として
ご覧になって下さい
だけどその願いだけは真面目に捉えて
下さるだけで私達人間は嬉しいのです
たとえ神様にとっては取るに足らない願いで下らない願いだとしてもそれだけで
また私達単純な人間は頑張れるのです。
長くなりまた説教じみてしまい申し訳
ございません
神様にとっては唯の戯れ言として聞き逃してくれてかまいません
私達人間は誰かに自分の気持ちを愚痴り
たい生き物なのです
神様はどうかそんな人間を鼻で笑って
仕方無いと呆れながら見守っていて下さい
それが私達人間の願いなのです。