待ってて
「待ってて!」と言われて 待たされてから 30分 待てど暮らせど一向に
彼女は、現れない...
人気のチョコレート店に入って行って
そのまま きっと店員と話し込んで
いるのだろう...
それは、別に良いのだが...
待たされる方は 何と言うか
手持ち無沙汰だ
スマホの電話に掛けてみようかと
スマホをポケットから取り出した時...
突然 紙袋を持った彼女の腕が差し出された。
「これ...あげる...」と彼女が俯いて
差し出す。
「何?」俺が首を傾げて尋ねると
彼女が照れた様に
「ハッピー バレンタイン」と俺に告げた
俺は、その言葉に反射で
「ありがとう」と思わず告げる。
嬉しさのあまり顔が綻びそうになるが
そこで はたと気付く
「あれ?バレンタインデーって明日じゃない?」と俺は、疑問を口にする。
すると彼女は唇を尖らせてすねた様に
上目遣いで
「だって明日 渡したら他のチョコに
紛れるじゃない.... そんなの嫌だもん!!」とそんな子供っぽい事を
子供っぽい表情で言うから
俺は、思わず噴き出した。
「っく ふふっ あははは」と俺は、
彼女の前で思いっきり笑ってしまった。
彼女は、そんな俺を見て
益々拗ねた顔し 顔を真っ赤にして
怒った様に つんと顔を背け
ずかずかと俺を追い越して
どんどんと歩いて行ってしまった。
そんな彼女の前を行く背中を見て
俺は、心の中で...
(待ってて良かったなぁ...)と呟いた。
俺は、紙袋の中をそっと覗き見る。
可愛い 赤いボックスで
真ん中が透明なプラスチックになっており
中のチョコが見える様になっていた。
そこには、小さくサイコロ状に綺麗に
並んだチョコレートが入っていた。
食べやすく並んだチョコレートを見て
彼女の心遣いが目に見える様だった。
俺は、彼女の背中に
「まってよ!」と声を掛け
彼女を足早に追い掛けた。
伝えたい
携帯電話で 友達と喋って30分
そろそろ切らないと 塾の時間だ
しかしなかなか切り所が分からない
伝えたい話しが多すぎて 楽しすぎて
相手が大笑いする。
私もつられて大笑い
アハハハ アハハハ 笑いが大きくなり
止まらない
あと10分
あと5分
もう塾さぼっちゃおうかな?
こんなに楽しいんだもん
水を差す必要なんてないよね...
勉強は、家でも出来るし...
もう少しこのままで...
楽しい時間は、あっという間であり
永遠に過ごして居たい時間でもある
もう塾の時間だ。....
さぼり決定!!
伝えたい事がお互い 多すぎて まだまだこの長電話は、続きそうだ....。
多分 携帯の充電が切れるまで...。
続きそうだ....。(笑) ....
この場所で
この場所がいつも貴方の定位置だったね
この場所で お茶を飲み
この場所で テレビを見て
この場所で 日向ぼっこをして
いつも私や 家族の事を見守ってくれたね
大好きだった おじいちゃん
今も もちろん大好きだよ!
おじいちゃんがいつも座っていた席
おじいちゃんがいつも座っていた 椅子の
方を見ると 今もおじいちゃんが優しい
笑顔を浮かべて 温かく手を振っている
姿が目に浮かぶよ
これからも 私やひ孫達を変わらない
眼差しで見ていてね!
天国に先に旅立った
おばあちゃんとこれからも仲の良い夫婦で
いてね!
二人ともずっと変わらず大好きだよ!
これからもずっと
そう想いを込めて私は、二人の遺影の
写真が並んでいる仏壇に花を添えた。...。
誰もがみんな
私には、憧れの人がいる。
クラスの人気者で リーダー的な存在の
縫野芽生(ぬえの.めい)さん
優しくて、明るくて、皆の輪の中心で
活発で、はきはきしていて
皆に頼られて...
私とは、正反対
私は、地味で おどおどしていて
喋るのも緊張して、辿々しい
(縫野さんみたいになれたらなぁ...)
「芽生 昨日のテレビ見た?」
「見た 見た超 面白かったよねぇ」
私 縫野 芽生は、友達の輪の中で
喋りながら ちらっと 廊下側の席で
静かに本を読んでいる。
女の子を見る。
橋本加奈(はしもと.かな)ちゃん
お人形みたいに 長い黒髪に
物静かで おしとやかな感じが私の
憧れだった。
私は、ズバッと物を言ってしまうので
たまに友達と行き違いのトラブルがある
トラブルと言ってもそんな大きな物では、
無いので すぐ仲直りできるのだが...
そう言う 一歩 踏み出し過ぎてしまう
所が 私の短所だった。
橋本 加奈ちゃんみたいに
落ち着いて 話してみたい...
縫野さんみたいにはっきりとはきはきと
喋べってみたい...
私 橋本加奈の ささやかな願いだ....
誰もがみんな自分にコンプレックスを
持っている。
短所を持っている。
しかし 自分では、短所だと思っている
所が他の人には、憧れの的だったりするのだ。...
自分の中の短所 それは、自分しか
持てない 長所でもあるのだ...
誰もがみんな違う 性格 容姿 体型
肌の色 性別 言語の違い
文化の違い 五体満足 不満足
みんな みんな違う 一見
平等 不平等に 見えるかもしれない...
しかし 自分と全く違うと言う事は、
自分とは全く違う価値観に出会えると言う
事でもある。
その中で また合う 合わないと価値観の
相違の問題も出て来るだろう...
その中で また悩み 葛藤するだろう....
人間関係の悩みは、一生付いて回る。
だけど それで良い
正解は、自分で選べる。
自分で選択できる
友達になって 喧嘩して 疎遠になったり
また 仲直りしたり それを繰り返して
自分の考えも また変わって行く
育って行く 泣いて 立ち止まって
傷つき 傷つけ そうやって何度も失敗して 自分で正解に辿り着ける
間違っても 誰かに 偉ぶって
点数をつけられたりしない
だから大丈夫 !!
評価を恐れなくて良い
決まった正解など無いのだから....
世の中は、みんな同じじゃなきゃいけない
様な風潮がある。
だけど こんな言葉もある。
皆 違って 皆いい
最後にこの言葉を貴方に送って
綺麗に終わろうと思う....
END
花束
リーン ゴーンと厳かに チャペルの鐘が鳴る。
白いタキシードを着た男性と腕を組んで
純白の白いドレスで着飾り 紗のベールで
長い髪の毛を 纏め 隠し
ゆっくりと二人して
チャペルの階段を降りて行く
周りは、最高の笑顔で祝福する様に
花びらをひらひらと撒いては、
道に 花びらのロードが出来上がる。
最後にドレスを着た女性が後ろを
向いて 花束のブーケを空に高く
放り投げた。
ハッピーウェディング
末永くお幸せに!!