1年間を振り返る
今年もあと1日で終わり
振り返ると 同じ一日を繰り返していた様な気がする。
だけど全く同じと言う訳では、無くて
些細な小さな 一つ一つの変化に
一喜一憂し 小さな幸せに 嬉しさや
喜びを感じ 胸の中をほっこりさせる。
そんな 一日一日だった。
積み重なった一日一日が 一年として
記録され ダイアリーとして
見返し 振り返ると いろんな人達の顔が
浮かぶ。
一人一人との関わり 関係性
繋がり 皆との日常を絆を 感じられた
一年を愛しく感じながら....
新年もよろしくお願いします。!!
みかん
私は、みかんが大好きだ
家でみかんを作っているというのもある。
いつも 出来上がったみかんを近所の人に
お裾分け
そうして 必ず 最後にお裾分けする
家が君のとこ
ピンポーン 玄関チャイムを鳴らし
君が出て来るのを待つ
君がドアを少しだけ開けて 隙間から
目を覗かせ 恐る恐る見る
私だと分かると君は、安心したように
ドアを全開にさせ 私を迎えてくれる
「みかん持って来たよ!」
私がにっこり微笑むと
君も口元を綻ばせ 頷く
そうすると 君の蜜柑色の髪の隙間から
君の嬉しそうな 目元が覗く
君の髪の色は、他の人とは、違う
太陽の光をいっぱい浴びて色づいた蜜柑の
様なオレンジ色
君は、その髪の色を他の人に揶揄われて
いじめられる事が多く
家に引きこもる事が多くなったね!
でも 私は、君の髪の色すごく綺麗だと
思う
だから そこから出て来て欲しい
一緒に陽の光を浴びて 遊ぼうよ!
そうして 何度も通って行く内に
君は、心を開いてくれた。
最初は、みかんのお裾分けを理由に
通っていたけど
君の顔が笑顔に徐々に変わって行く内に
君に又 会いたいと思う様になったんだ...
そうして 君が 私を迎えてくれて
家に上げてくれて
一緒にみかんを食べる この一時が
いつまでも続けば良いなぁと願うんだ。
冬休み
白い半紙に ボトッと墨汁の筆を乗せる。
簡単な漢字で 『山』 『川』 『小』など
「う~んどの字が良いかなあ...」
私は、半紙を掲げて 見比べる。
「よし!これに決めた!」
私は、『山』と言う漢字を選択する。
漢字が決まったら ひたすら
『山』『山』と同じ漢字を書き続ける。
右と左の直角の部分が曲がった。
真ん中の線が長くて バランスが悪い
次々と書いては、決め 消去して行く
そしてとうとう....
一番 バランス良く書け 墨の筆圧が濃い
一枚を選ぶ
「これに決めた!」私は、乾かす為に
床に広げる。
私は、上から見下ろし
へへんと得意気に鼻の下を擦った。
指先に付いた墨が 鼻の下に移った。
冬休みの宿題
書き初め終わり!!
手ぶくろ
「ハァ~」と熱い吐息を掛けて
赤く 霜焼けになった手を温める。
まだかなぁ まだかなぁ 手を擦り合わせて じっと待つ
途端にひょいと 手の中に温かい
甘酒が渡される。
「待った ごめんね!」
彼氏がにこにこと私の前に来る。
「ううん 大丈夫!」
私は、笑って 手の中の甘酒で両手を
暖める。
彼氏も笑って 同じように 両手に
甘酒を持って 手を暖める。
お互い 甘酒で暖まった手の片方を繋ぎ
自分達の体温でお互いの手を包む
もう片方の手にそれぞれ甘酒を持って
家路を急ぐ
外出先で それぞれ手ぶくろを
嵌めて来なかった。
間抜けなカップルの暖の取り方....
変わらないものはない
「あ~あ退屈だぁ!」俺は大きく伸びをし
欠伸を噛み殺す。
たまの休日 明日からは、又変わらず仕事
毎日 毎日 同じ事の繰り返し
暇だぁ~ 退屈だぁ~
「あ~あなんも変わんねェ つまんねー」
俺はそんな事を考えゴロゴロしていた。
そろそろ小腹が空いたので
コンビニにでも出掛けようと思っていた時
突然 電話が鳴った。
着信表示を見ると 実家からだった。
俺は、出るのを躊躇う
又 お袋の小言や愚痴を延々に聞かされる
羽目になると思い 俺は、そのまま
着信音が止まるのを待った。
だが いつまで経っても 着信音は、
鳴り止まない。
俺は、苛立ちに負け とうとう画面を
スクロールする。
「もしもし お袋!」
俺は、怒り気味の声で電話に出た。
しかし 何分待っても 電話の返答が
来ない
いたずら電話かと思い 俺は、切りボタンに手を伸ばそうとした その時
「孝弘...」低い 重々しい声が 俺の耳に
飛び込んだ。
「親父...」親父が俺に電話を掛けてくるとか珍しい事もあるもんだ
親父は、無口でお袋の言う事を黙って聞き
入れている印象が強い為 そう思った。
「何」俺が聞き返すと 親父のさらに
重々しい声が響いた。
「母さんが亡くなった...。」
俺は、その言葉を聞いた瞬間 電話を
落としそうになった。
俺は、親父との通話を切り
取るものも取りあえず 貴重品と鍵だけ
持って駅に向かった。
駅に向かう足が自然と早足になる。
俺は、数秒前の自分を思い出す。
『あ~あ何も変わんねェ つまんねー』
あんな台詞を吐いた自分を殴りたくなる。
変わらないいつもの日常が欲しくて
たまらない
今の俺には、残酷な程 変わらないものなどない事が 辛く 重く のしかかった。