変わらないものはない
「あ~あ退屈だぁ!」俺は大きく伸びをし
欠伸を噛み殺す。
たまの休日 明日からは、又変わらず仕事
毎日 毎日 同じ事の繰り返し
暇だぁ~ 退屈だぁ~
「あ~あなんも変わんねェ つまんねー」
俺はそんな事を考えゴロゴロしていた。
そろそろ小腹が空いたので
コンビニにでも出掛けようと思っていた時
突然 電話が鳴った。
着信表示を見ると 実家からだった。
俺は、出るのを躊躇う
又 お袋の小言や愚痴を延々に聞かされる
羽目になると思い 俺は、そのまま
着信音が止まるのを待った。
だが いつまで経っても 着信音は、
鳴り止まない。
俺は、苛立ちに負け とうとう画面を
スクロールする。
「もしもし お袋!」
俺は、怒り気味の声で電話に出た。
しかし 何分待っても 電話の返答が
来ない
いたずら電話かと思い 俺は、切りボタンに手を伸ばそうとした その時
「孝弘...」低い 重々しい声が 俺の耳に
飛び込んだ。
「親父...」親父が俺に電話を掛けてくるとか珍しい事もあるもんだ
親父は、無口でお袋の言う事を黙って聞き
入れている印象が強い為 そう思った。
「何」俺が聞き返すと 親父のさらに
重々しい声が響いた。
「母さんが亡くなった...。」
俺は、その言葉を聞いた瞬間 電話を
落としそうになった。
俺は、親父との通話を切り
取るものも取りあえず 貴重品と鍵だけ
持って駅に向かった。
駅に向かう足が自然と早足になる。
俺は、数秒前の自分を思い出す。
『あ~あ何も変わんねェ つまんねー』
あんな台詞を吐いた自分を殴りたくなる。
変わらないいつもの日常が欲しくて
たまらない
今の俺には、残酷な程 変わらないものなどない事が 辛く 重く のしかかった。
12/27/2023, 12:56:45 AM