クリスマスの過ごし方
クリスマスツリーにオーナメントを飾り
サンタやトナカイの形のマジパン人形を
乗せた クリスマスケーキや
ローストチキン
部屋の中は赤と緑のクリスマスカラー
さまざまなラッピングで彩られた
プレゼントを大切な人達に渡し
聖夜の夜にワインを開け乾杯する。
これが私のクリスマスの過ごし方
カチンとワイングラスを合わせて
メリークリスマス!!
イブの夜
クリスマスツリーの天辺で輝く 一際
大きな星 ジングルベルが奏でられると
イブの夜が始まる。
シャンシャンと鈴の音と共にサンタが街に
やって来る。
トナカイと共に煙突を探して
それぞれの家にお邪魔する。
寝静まった夜の元
子供達の寝顔を見ながら 一つ一つ
プレゼントをそっと枕元に置く
朝日が昇る頃 子供達の笑い声が聞こえる
まで クリスマスイヴの夜は、
終わらない。
プレゼント
街が寝静まった 静かな夜
高層ビルの窓からの明かりだけが
僕の部屋に伸びて行く
君からの メッセージカードが挟まれた
プレゼント
『メリークリスマス!!』 君の明るい声が
聞こえてきそうな ポップな文字で
そう書かれたメッセージカードを開き
僕は、涙する。.....
雫が、カードに垂れ インクが滲む
「当日までのお楽しみだよ!」そう言って
僕が聞いても 決して中身を教えてくれなかった君
クリスマスの日にプレゼント交換をしようねと 約束して お互いに渡すはずだった。
だけど そう言っていた君は、
今 僕の隣には、居ない
突然だった。車が君にぶつかり 君は
呆気無く 僕の前から姿を消した。
後に残ったのは、僕が君に贈るはずだった
プレゼントと 君が僕に贈ってくれた
プレゼントだ。
机には二つのプレゼントが並んで居る
僕のプレゼントは、君が デートの時
にお店のショーウィンドウで見つめていた
可愛い 小さな赤いハートが付いた
ネックレスだ。
君の方のプレゼントを僕は、丁寧に繊細に
扱う
壊れ物でも 入って居るんじゃないかって
位 怖々と......
中に入って居たのは....
ガラス瓶型の貯金箱だった
中身が透けていて 中に一万円札が一枚
入っていた。
そして小さなメモ用紙も...
『ずっと一緒に居る為の貯蓄
目指せ1000万
結婚資金を二人で貯めてゴールイン』
なんて サプライズ感を出したかったで
あろう文字が踊っていた。
僕は、思わず苦笑して
「君らしいなぁ・・・」と小さく呟く
そしてまた僕は、涙を零した。
この涙も 僕の君へのプレゼントも
全部 全部 君の居る天国に届けば
良いのにと思いながら......。
ゆずの香り
ころころと 口の中でキャンディーを
転がす そうすると ふわっとゆずの
香りが口の中に広がる。
爽やかで少し苦みのあるゆずの風味が
口の中をしゃっきとさせ 柑橘系の匂いが
鼻腔にも広がる。
「ん~美味しいけど 私は、もうちょっと
甘い方が好きかなあ~ そっちは何味?」
と私は、隣に座る彼氏に話題を振る。
私と同じく キャンディーを口の中で
舐めている彼氏は....
「ん~何だコレ 苺かなあ~ こっちの方が まだ甘いかなあ~ 俺はどっちでもいいけど....」
「あっ 私そっちの方が良かった
交換して!!」
「いや もう口の中に入ってるし無理」
彼氏に断られ 私は、キャンディーボックスに手を伸ばし 苺味のキャンディーを
探す。
もぞもぞもぞもぞと パッケージを
確認し 苺味のキャンディーを見つけ
まだゆず味のキャンディーが口の中に
入っている為 舌で舐めて小さくし
飲み込むのに時間が掛かった。
その為 まだ私の手の中には
苺味のキャンディーのパッケージが封を
切らずに 手の中に残っていた。
やっとゆず味を舐め切り 苺味のキャンディーのパッケージの封を切り 口の中に
放り込もうと キャンディーを指先で
摘まむと 指先が滑り キャンディーが
落ちてしまった。
「あっ!」ころころと床に....
「洗えばたべられるかなあ...」
と彼氏に 驚きの余り食い意地が張った
発言をしてしまう...
「洗ったらドロドロに溶けると思うけど...」と彼氏のもっともなツッコミに
まあ そうだよねぇ...
見るとキャンディーの数も残り少ない
(まあいっか!ゆず味も美味しかったし
また 買って来れば良いよね!)
私が半ばキャンディーの事を追い出して
一人で頭の中で納得していると...
「濡れてても良いならあげるけど...」
と彼氏がそんな事を言うので
まだ苺味あったっけ....
て言うか 私の洗えば食べられる発言を
真に受けて 本当に洗って来たのかなあ...
とそんな事を考えて彼氏の顔を見ると
彼氏の顔が目の前の近くにあり
私の唇と彼氏の唇が重なった
そして いつの間にか 私の口の中に
苺味のキャンディーが転がる。
唾液を含んだ ちょっと溶け掛かっている
キャンディーが...
まだゆず味の香りと風味の余韻が口の中に
残っていたので
苺の甘酸っぱさと ゆずのはっきりした
酸味とが合わさって
爽やかさと甘さが三位一体となり
舌の上で蕩ける。
私は、何が起こったか分からず
一瞬 動きが止まる。
隣を見ると 彼氏が何事も無かった様に
普通に座って居た。
そんな彼氏の顔を見て 私の顔は
逆に真っ赤に染まって行き
彼氏の顔を見ない様に俯いた。
こう言う事が普通に出来るのが
恋人同士と言う物だが 私は、
未だに慣れない為
しばらく沈黙していた。
彼氏は、そんな私を分かって居るのか
居ないのか....
しばらく向こうからも 話し掛けては、
来なかった
少なくとも この口の中の
苺味とゆず味の香りが消えるまでは
私は、無言を貫いた。.....
大空
真っ青な空が 白い入道雲を湧き立たせて
まるで 白いペンキを全面に零した様な
空だった。
手を伸ばせば 白い雲が 綿菓子みたいに
摘まめそうな 口に入れられそうなそんな
予感がする空だった。
俺は、屋上で寝転びながら ゆっくりと
動く雲を見ていた。
何処までも果てしない大空が スローモーションの映像を流すみたいに
雲を誘導する。
こうして、寝転びながら 綺麗な青を
纏った 大空を見ていると
体が宙に浮いて 上昇するような
感覚に陥る。
空に吸い込まれる様な
雲の上に乗れる様な 何処までも雲に
乗って飛べる様な
そんな自由になる この景色をみるのが
俺は、好きだった。
学校と言う箱庭で 皆して同じ態勢で
黒板を睨み付け ノートを板書するより
ずっと良い。
俺は、何だか嬉しくなって 寝転びながら
大きく深呼吸する。
ずっとこの時間が 続けば良い
青い空間に閉じ込められて居たい
そんな 俺のささやかな願望を
打ち砕く声が聞こえた。
「あ~また 君こんな所でさぼって!」
その声で俺の自由で 伸びやかな時間は、
終わりを告げた。
(はぁ~) 俺は、内心で溜息を吐き
起き上がる。
「委員長!」 俺は、生真面目に
眼鏡を掛け 長い髪を もっさい
三つ編みにし 校則通りのスカートの丈の
長さで 俺を毎回 迎えに来る
委員長を見上げる
「委員長 こんな所まで毎回来るなんて
暇だなあ~」俺は、欠伸を噛み殺しながら
ぼやく....
「暇じゃない!!先生に頼まれてるから
来てるだけだよ!!」
「はぁ~そうすっか」
先生 先生ってそんなに教師の評価を
上げたいかねェ....
俺は、委員長を横目で見遣る。
「ほら 早く 立ち上がって 行くよ!」
俺は、委員長の急かす言葉に気が進まず
その声を無視し しばらく 座り込んで
居た。
「ほら 早く!!」 委員長が俺の所に
来て 俺の腕を引っ張り 立ち上がらせ
ようとする。
俺は、反抗するのが面倒臭くなり....
「へいへい」と渋々立ち上がる
俺は、委員長と共に屋上を後にした。
でも俺は、どんなに委員長に怒られて
連れ戻され様とも
晴れた日の屋上通いを辞めるつもりは
無い
このどこまでも続く大空の澄んだ青を
この目に焼き付けて 手を伸ばし
『自由』と言う開放感をまた
手に入れる為に...
止められても 何度でも又 此処に来る。
大空と言う名の自由をこの手に
摑むまで・・・